Friday, 19 April 2024

エルカホンで警察官が丸腰の黒人男性射殺、批判高まる

エルカホンで警察官が丸腰の黒人男性射殺、批判高まる

拳銃でなく電子たばこ所持、ビデオ公開要求、SD郡内で抗議集会

2016年10月3日


サンディエゴ東郊のエルカホンで9月27日、警察官が精神疾患を持つとされる丸腰の黒人男性 (38) を射殺、翌28日にはこれに抗議する約300人が地元警察署付近でデモを行った。

10月1日にもエルカホン、ダウンタウンSD、バルボアパークで聖職者らの主導による集会が開かれ、エルカホンではプレスコット遊歩公園に約200人が集まった。

米国ではノースカロライナ州やオクラホマ州で警察官による黒人の射殺が相次いでおり、全米で警察批判が強まっている。

射殺されたのは難民として米国に暮らすウガンダ出身の男性で、車道を歩くなどの行動を取ったことから、男性の家族から警察に保護を求める要請が入った。

警察官2人がレストランの駐車場にいた男性に近づき、両手を上げるよう命令したが、男性はポケットに手を入れて何かを取り出し、両手で銃を撃つような仕草をしたため、警察官が男性を狙撃したという。

だが、男性が取り出したのは電子たばこと判明し、警察の “暴挙” を糾弾する動きが広まった。

抗議デモの参加者は、警察が証拠として持っている射殺現場のビデオ映像を公開するよう強く要求。

これを受けて、エルカホン市警察は9月30日、現場が録画されている2種類のビデオをリリースした。

一つは現場近くのレストラン付近に設置されている防犯カメラの映像。

音声のない97秒間の録画には、黒人男性と2人の警察官が対峙 (たいじ) して激しい口論を交わす様子が写されていた。

もう一つは携帯電話の映像。

身内と思われる女性が男性に話しかけた直後、4発の銃声と女性の悲痛な叫び声が録音されていた。

警察官による黒人射殺が相次ぐ米国。

ノースカロライナ州シャーロットで9月20日に黒人男性 (43) が警察官に射殺されたケースでは、市民の抗議デモが続く中、警察が射殺時の状況を撮影した映像と写真を公開した。

それまでは捜査に支障が出るとして映像公開に消極的だったが、デモ参加者らの間で公開要求が強まり、これに押された形となった。

このケースでは、警察側が主張する男性の銃所持を遺族側が否定。

実際に所持していたかどうかが焦点の一つとなっていたが、公開された映像からは判然としなかった。

映像は2本で警察車両内部から現場を撮ったドライブレコーダーと、警官が装着したボディーカメラの記録。

いずれのビデオ映像にも男性が撃たれる前後の様子が写されていた。

エルカホンで起きた黒人射殺のケースでは、射殺された男性が所持していたのは、拳銃ではなく電子たばこであることが確認されているいることから、警察への不信感が一層高まるものとみられる。


(2016年10月16日号掲載)