トランプ氏、所得税逃れ報道で防戦
「成功者」 に傷? 合法的節税を強調
2016年9月12日
大統領選の共和党候補トランプ氏の陣営は10月2日、同氏が巨額損失を計上し、所得税支払いを免れてきた可能性があるとの報道を受けて防戦に追われた。
支持者らは「税法を知り抜いた天才の証拠」 と同氏を擁護するが、有権者を引き付けてきたビジネスの成功者の金看板に傷が付きかねない。
NY・タイムズ紙は10月1日、トランプ氏が1995年に提出した納税申告書の一部を入手し、事業で約9億1600万ドル (約930億円) の損失を計上したと報道。
この損失により毎年5000万ドル以上の税控除が発生し、最大18年間、所得税を支払わずに済んでいた可能性があると指摘した。
トランプ氏は2日、ツイッターに「過去の大統領候補の誰よりも税法を熟知している」と投稿。
合法的な節税だと強調したが、報道内容は否定しなかった。
巨額損失はNYのホテル買収など数々の事業の失敗が原因とみられる。
不正申告はなかったようだが、ビジネス実績を前面に出して選挙戦を展開してきたトランプ氏には手痛い失点。
富裕層に与えられた優遇措置ともいえる制度を利用して税を逃れていたとすれば、労働者層の反感を買う恐れもある。
(2016年10月16日号掲載)