Friday, 29 March 2024

コミュニケーション(術)

 

私たち夫婦は仲が良いと言われるが、それが永遠に続くという幻想は持っていない。出会った頃は、人生の伴侶となる予感がなかった。ボールルームダンスのパートナーとして相性は◎。でも、人生観、価値観の違いから衝突は日常茶飯事。モノを運ぶ例で言うと、「風呂敷の包みを固く結ぶべき」と言う私に「風呂敷を解いて別の用具に移すべき」と妻が反論する。意見の不一致が悉 (ことごと) く顔を出し、苛立つ妻が飛びヒザ蹴りで私に襲いかかり、ドアをブチ抜いたことも。見解の相違は何か? よく考えてみると、モノを安全に運ぼうとする「目的」は一致している。ケンカの種は「過程」の不一致。「入口」は異なるも「出口」は同じ。相手のプロセスを尊重すれば、知らない “景色” が見えて、生活が2倍楽しめる? 加齢とともに、生命力を浪費する夫婦ゲンカを避けてきたが、最近、妻が本音を爆発させた。初めて聞く私への不満が堰 (せき) を切ったように迸 (ほとばし) り出て、慌てた。EVENのバランスが維持できないと、夫婦仲は簡単に崩壊する。感情論を排したコミュニケーションは随分と積み上げてきた。最後の決め手はユーモアかも。笑いのセンスが共有できなくなれば、関係解消の現実味が帯びてくる。雇用主/被雇用者の関係も同じ。要望する仕事のクオリティーと完成度にギャップが生じた時、感情を排除した単刀直入のコミュニケーション術がモノを言う。1〜2行のメモが効力を発揮する。(SS)
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▽祖母は聞き上手だった。「やんだおら、先生にそんなことを言われだのが〜」「それは、つらかったべ〜」。自営業で忙しい両親に代わって、会津弁で反応しながら何でも聞いてくれた。受験に落ちたときも、仕事の「愚痴」を言っても、「んだ、んだ」(そうだ、そうだ) と聞いてくれた。祖母に話を聞いてもらうと、不思議と元気が出てきた。▽「コミュ力」がズバ抜けてる友人がいる。彼は学生時代から、どんな人に対しても、見事なまでに相手の懐 (ふところ) に入る名人で、男女問わず大モテ。現在は大手広告代理店の偉い人になっている。話のネタが豊富で、とにかく愛想が良く、自分をさらけ出し、相手の話を最後まで聞いて、質問上手。父親を早く亡くして苦労した分、彼は相手の気持ちに寄り添うことができるような気がする。▽コミュニケーションの基本は「傾聴力」。頭の中では分かっていても、実践するのは難しい。旦那の話をさえぎってしまったり、お客さんの前では次の話題ばかりを考えているし、友人の痛いところを突いてしまったり、同僚に余計なアドバイスをしてしまったり、還暦を過ぎてなお “会話の手りゅう弾” を連発している。考えてみれば、仕事でもプライベートでも、ほとんどの時間を我々は「聞く/聞かれる」の中で過ごしている。会話の起点が常に相手にあることを忘れずに、祖母のような会話の名キャッチャーを目指したいと思う。(NS)
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我が家にはオスとメスの猫が1匹ずついるのだが、オス猫の方が人間とのコミュニケーションに積極的なタイプ。この子はよく鳴く。庭での昼寝を終えて家に入ってきて、私たち家族と出会うと「にゃーん」とまず鳴く。「ただいま〜」と挨拶しているように聞こえる。抱き上げると「やーーん」と鳴く。「やめて〜」にも聞こえる。撫でてほしい、構ってほしいなどアテンションが欲しい時は、前足でちょんちょんと突いてくる。爪を出さないように注意しながら、そっと伸ばしてくる前足が可愛い。最近始まった新しいコミュニケーション方法がある。甘えたい気持ちが高まると、こちらの指をかじるようになったのだ。甘噛みして離して舐 (な) める、というのを繰り返す。最初は思いっきり噛まれるのではと、怖くて指を引っ込めていたが、どうやら、こちらに危害を加えるつもりはなさそう。甘えている赤ちゃん猫がこんな感じなのかな。でも、さらに最近、かじる度合いが進行して、手加減しながらの甘噛みから「痛っ!」くらいの強さになることもある。母に甘えるという感覚から、トカゲやネズミを捕獲する気分になってしまうのだろうか。すぐにやめさせても、時々、しつこく指を求めてくる。このコミュニケーション方法、危険だ。甘噛みでストップしてくれる良い方法はないかな。(RN)
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suzuko-san
目は口ほどに物を言い・・。確かに、目が口の代用をしてくれる時もあるが、目だけでは会話は成り立たず、やはり口の力を借りなければ、意思の疎通は図れない。さて、その口。上手に使えば、人との関係を上手く保つことができるが、使いようによっては、関係を悪化させる原因にも十分になる。かつて、日本に一時帰国中の私にSNSを通じて電話が。「大きいサイズのマヨネーズを2本買ってきてほしい」。はぁ? 約1キロのマヨネーズ? 日系マーケットでいくらでも買えるだろう! しかも、ご丁寧に「私へのお土産はそれだけでいいです」というダメ押し付き。ノーと言えず、重い思いをして、仕方なく買ってきてあげたのだが、それで気を良くしたのか、次回帰国中の際は、いきなり「詰め替え用のローション2種、2袋ずつお願いします」。この時も私はかなりムカついた。「買ってきてもらえますか」と聞いてくるのならまだしも、形こそ丁寧形だけど、明らかに命令形である。人と会話する時、特にモノを頼む際は、決して高飛車に出るのではなく、できるだけへりくだるのが原則。そうすれば、関係が壊れる可能性は少ないのではと思う。これこそ、コミュニケーション術の鉄則なのでは。まぁ、かくいう私も、どこかで誰かをこの口で傷つけているかもしれない。気をつけよう! 気をつけよう!(Belle)
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jinnno-san
スターバックスのベンチシートが好きなので、そこに座ろうと思ったら、隣に、ほんとーに大柄なオバさんが座っていた。でも、ベンチシートだから余裕があるはず、と思ったけど、彼女の横には、中に大きな何かが入っている業務用ゴミ袋が、ドンと置いてある。家族全員の洗濯物? 笑。それでも、小さいわたしは、その横をスリ抜けて、ちょこんと座った。ベンチシートの下に、充電できるコンセントはあるかな、とシートの下を覗いたけど、奥行きが深く、ハイハイして進まないとコンセントに届かない。スカートも汚れるし、あっさりと諦めた。そしたら、その大きなオバさんが電源コードを持っていたので “あ、オバさんが下にもぐるのは、サイズ的にムリだろうから、手伝ってあげよう” と、コミュニケーションを図ろうとしたら、、、その電源コードが、、なんと、普通サイズのプリンター用だった! 移動式オフィス? 笑 もっと驚いたのは、、、そのプリンターが業務用ゴミ袋から出てきた! 笑! わたしが何を言わんとしてるかを察したようで「大丈夫よー、コンセント見つけたわ!!」と、でっかいオケツでシートの下にもぐりこんだ。後で話したら、5人の子供を育て上げた肝っ玉かあちゃんだった 笑。母はプリンターの入ったゴミ袋もカバンのように持ち歩けるのね 笑。知らない人と話すのって、おもろいわ 笑。 (りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
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我が家の犬 (4歳オス) はいつも情けない顔をしている。パグとポメラニアンが混じっていて、全身は茶色で、つぶれた顔にタレ目、目と鼻と口の周りが黒い。この顔で、人がご飯を食べている時にジ〜っと見られると、何もあげないことに罪悪感を感じる。特に躾 (しつ) けもしていなかったので、お座り、伏せ、お手くらいしかできないのだが、気分によっては何もしてくれない。食べ物をちらつかせれば、大体言うことを聞く。私と子供たちは英語で犬とコミュニケーションを図っているが、旦那は韓国語と日本語、英語をミックスして話すので、いつも犬は混乱している? 最近、旦那が「ごはんたべる?」と日本語で言ったら、エサを食べ始めてたので分かっているのかも。韓国語の 「パプ モゴ! (ご飯食べて!)」も分かるようだ。素晴らしい。我が家の犬はトライリンガルか!? これだけで、犬とコミュニケーションを取れているとは言えないかもしれないが、我が家ではこんなやり取りが当たり前になっている。結構アホかと思っていたが、ソファーの上に寝てはいけないことも分かっていて、私が階段を降りてくる足音を聞くと、急いで自分のベッドに戻り、そこで寝ていたフリをする。怪しいと思い、ソファーを触ると、温かい・・。うーん、なかなかズル賢い犬ではある。(SU)

(2022年8月16日号に掲載)