Friday, 29 March 2024

変化

 

▽森下仁丹が1960年代に売り出した、口の中に強烈な「仁丹」の香りが広がる、その名も「仁丹ガム」は子供にも大人気だった。小学校低学年の私は、薬局で買える異質さと相まって、ガム1枚と同サイズの「おまけカード」の魅力に取り憑かれた。新車を写真で紹介するカードが欲しくてたまらない。小遣いを注ぎ込んで集めたカードを毎日のように眺めながら、クルマへの興味を募らせていく。そして、子供には難しすぎるジープのプラモデル製作に挑んだ。説明書を読み込んで、無数のパーツを丹念に組み立てて、接着と塗装に細心の注意を払いながら完成。雨の日で湿度が高く、塗料を乾かそうと、電気コンロの前に放置していたら溶け始め、気が付けば、私の労作は無意味なオブジェに変化していた。あの日を境に、車への興味と知識は消えた。▽私の印象は人によって全く違うらしい。真面目な人、面白い人、怖い人、飄々 (ひょうひょう) としている人・・。同時多発的に変化する、私という男の “人物描写”。酷いものになると「地獄から這い出てきたような人」というのもあった。(若い頃はガリガリに痩せていて、ムンクの有名な絵画『叫び』 の顔真似が得意だった) 「人格を一元化する必要はない」とウソぶく私を尻目に、「史上最強のマイペース男」という一言で、私の人物評が一致しない謎を解いたのは妻だった。 (SS)
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▽「ビッグデータの進展によって、スポーツも変化しているんだよ。例えば、野球投手の変化球。大谷のジェットスライダー、ダルビッシュの消えるツーシーム、あれは魔球だね」と、MLBに詳しい友人から聞いた。ここ数年、センサーを用いたデータ分析が進み、投手たちは自分の投球を改善し、新しい球種を生み出しているそうだ。我らがパドレスのダルビッシュ投手は、頭脳派ピッチャーの代表格で、変化球の魔術師として有名だ。チーム最年長の36歳だけど、進化が止まらない。▽「先日、高校の同窓会に出席したら、30年前とは全く違う顔つきの人ばかりで、ビックリした」という友人からの LINE に集合写真が添付されていた。老化の進み具合は人によって異なるが、玉手箱を開けちゃったような人もいれば、まるで時間が止まっているような人もいる。「でも、本質は全く変わっていなかった。見た目は変わったけれど、内面は変わっていなかったよ」という友人の言葉に救われた気がした。▽モノの本によると、人間の行動の約半分は習慣として行われているそうだ。習慣を変えることは、生き方そのものを変えることになるとのこと。しかし、脳は大きな変化を嫌うようだ。だから、日常生活にちょっとした変化を取り入れることが大切なんだとか。その繰り返しが、やがて、大きな習慣に成長するのだそうだ。(NS)
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yoko
最近、小学生の息子が原石や鉱物に興味を持ち始めた。何も予定のない休日に、時々、息子と娘を連れて、散歩がてらオールドタウンに赴く。無料のミュージアムに入り、興味のあるお店を見て回り、風景や建物の写真を撮り、トルティーヤスタンドで出来立てのトルティーヤを買い食いしたりする。必ず行くのが Rocks and Minerals Store と Gems and Minerals Store。そこで天然石や鉱石を見て楽しみながら、気に入ったものを数個選んで、お土産に買って帰る。コレクションが少しづつ増えて楽しんでいる息子を見て、夫が先日、ナショナルジオグラフィックの “Crystal Lab” を買ってきた。自分で結晶が作れるらしい。Crystal Growing Powder をお湯と混ぜ、容器に入れ、そこに Seed Rock を入れておく。すると3、4日で結晶が作られていく。結晶がどんどん成長していく毎日の変化が面白い。それから2週間が経ち、クリスタルはかなり大きくなったが、気が付くと、浸かっている液体がかなり少なくなっていた。結晶の空気に触れている部分が乾燥していたので、夫が容器に水を足した。すると翌日、結晶がぺったんこに!! 息子に泣かれていた。。。 (YA)
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suzuko-san
人は自分からは、なかなか変化を求めない。いつもの慣れた空間で時間を過ごすのが楽チンだから。例えば会社。クビになったならともかくも、自ら辞めて新世界に飛び込むには、やる気と勇気が必要。その気概を持たない人たちはしない。変化を好まない。しかし、社会は好むと好まざるとに関わらず、日々変化を続けている。もちろん良き方向へ、便利な生活へ。例えば日常生活。火を起こし薪をくべて煮炊きをしていた時代から、スイッチポンでご飯が炊ける時代へ。他の生活家電も然り。最も顕著な例が通信ツールだ。それまで手書きだった原稿。間違えば消しゴムを使って何行も書き直していた作業が、カーソルを動かすだけで添削できるワードプロセッサーの出現で、どれほど手間を省けるようになったか。それらの原稿や手紙が FAX で送れるようになり、世界中どこにいても、送受できる時代に変わった。さらには携帯が登場。一家に一台の電話が一人に一台に。通信に至っては、印刷不要のパソコンで瞬時に自分の主旨が相手に伝わる。それがスマホになり、移動中でもネットで情報収集が可能になり・・・。これら、日進月歩の変化に付いていくには、それなりの努力と時間が必要だが、変化の時代に生きる人たちは、好奇心を存分に発揮して変化を好み、変化に順応していく。さながら変化を楽しむが如く。実に、時代が変わったもんだ!(Belle)
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jinnno-san
久しぶりに「米国あるある」を体験してイラッときた 笑。車がエンストしちゃって (これはイラッとこない 笑)、牽引車が来てくれたのは3時間後!(怒)。ところが「オーシャンサイドからサンディエゴまでは行くのはムリ。次の出口 (0.5マイル先) までしか牽引できない」とな (怒怒)! 業社の責任者に電話して「それはないべ」と伝えたら、どうにかサンディエゴまで行ってくれたけど・・笑。歯医者さんの予約を3か月前にした。予約日3日前に、時間をズラしてほしいと留守電を残したら、予約はキャンセルされ「次回は1か月後です」とシラッと担当者 (怒)。この方、この道20年。“予約入れのプロじゃねぇの?” と思うと、さらに (怒怒)。米人の国民性は昔も今もあーんま変わんない 笑。ニッポンでは、、WBCを観戦に行くわたしの友達がいることを知った妹が「“大谷タオル” を球場で買ってきてと頼んでほしい」と。わたし的には “試合も見に行かないのに相変わらずミーハーだな” とクスっ。球場は混み合って友達は買えなかった。翌日、妹から「球場のグッズ売り場に並んでます (9am!笑!)。2pmには店に入れるけど、欲しいものある?」・・ドッヒャーッ! おめえは高校生か?! 笑 この子、昔からミーハーだと思ってたけど、今も? 笑。性格って変化しないのよねー (という自分が、イチバン変わんない! 笑)。(りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
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進学、仕事、引越、結婚、出産など、今まで様々な変化を経験してきたが、これらの変化が嫌だったり、後悔したことはない・・多分。引越なんか、アメリカに来てから何回したことか。そのたびに、ご近所さんも友達も変わる。これらの経験で、環境の変化に順応する能力はかなり向上したのでは? これも変化が大好きな旦那のおかげかも。全ては、彼のポジティブ思考が数々の変化を生んでいるのだと思う。浮かんだアイデアは実行しないと気が済まない、まずは行動あるのみの人間。私はどちらかというと変化は苦手だった。どうしてもリスクを先に考えてしまうから、始めの一歩が踏み出せない。でも、旦那による多くの変化に巻き込まれながら、少しずつ変化を恐れないようになってきた。ちょっと感謝。変化と言えば、テクノロジーの進歩。私にとっての No.1 は Google Maps。今までは、紙の地図を見ながら自分の居場所を確認し、さらに目的地までの行き方を自分で見つけなければ動けなかったが、今は Google Maps で目的地を指定するだけで、行き方も、所用時間も一発で教えてくれる。方向ド音痴の私には欠かせないテクノロジーだ。今、これが無くなってしまったら、私はどこにも行けなくなるだろう。多少の環境変化には対応できるようになってきたが、Google Maps はもう手放せない。(SU)

(2023年4月1日号に掲載)