エンゼルスを選んだ二刀流スター、10日間の “大谷狂騒曲”

エンゼルスを選んだ二刀流スター、10日間の “大谷狂騒曲”

本命視されていたパドレス、争奪戦に敗れた衝撃と無念

2017年12月18日

プロ野球日本ハムで投打の「二刀流」 で活躍し、ポスティングシステムでの大リーグ移籍を目指していた大谷翔平 (23) のエンゼルスへの入団が決まった。

12月8日、同球団と大谷の代理人のネズ・バレロ氏の発表で明らかになった。

ポスティングシステムの新協定が発効する2日前の11月29日に大谷がロサンゼルスに到着し、以後10日間、獲得交渉の行方を追う米メディアの過熱ぶりは “大谷狂騒曲” と呼ぶにふさわしかった。

最初の “ 衝撃波 ” は12月3日に訪れた。

大谷に使える契約金が全30球団中2番目に多く、松井秀喜、田中将大ら日本人の所属実績もあり、一部では最有力候補とみられていたヤンキースとは契約の意思がないと伝えられた。

“栄光の球団 ” は本格的な交渉を前に早々と争奪戦から脱落。

ヤ軍のキャッシュマンGMが「(大谷は) 西海岸の中小規模の都市にある球団を望んでいるらしい」 とコメントしたことから、大谷の意中の球団を絞り込む記事が続出し、この日を境にSD・ユニオン=トリビューン紙は「パドレス・大谷」の現実味を伝える論調になっていく。

まさしくパドレスは西海岸の中小規模チームであり、大谷は “金満球団” のヤンキースを一蹴していることから、契約金重視ではないという感触も希望を募らせる要因となった。

(昨オフに合意した労使協定により、23歳の大谷はドラフト対象外の25歳未満の外国人選手として扱われるため、マイナー契約しか結ぶことができず、契約金も各球団の総額に制限が設けられた。エンゼルスの上限額231万5千ドルに対し、パドレスは約30万ドルだった)

パドレスが大谷にフィットする強味として掲げていたのが「ジャパン・コネクション」。

プレラーGMには大谷の高校卒業時に真っ先に獲得に動いたという自負があり、球団フロントは日本人メジャー選手の草分け的存在の野茂英雄氏 (アドバイザー)、複数の球団でクローザーとして実績を残した斎藤隆氏 (アドバイザー) を擁している。

さらに、日本ハムの元トレーニングコーチ中垣征一郎氏を 「スポーツ・サイエンス・ディレクター」 の肩書きで招き入れ、大谷にとって理想的な環境であることを強調していた。

最終候補に残ったと言われているのは、マリナーズ、レンジャーズ、エンゼルス、ジャイアンツ、ドジャース、カブス、パドレスの7球団。

エンゼルスを選んだ理由を分析すると、指名打者制のア・リーグ球団 (日本ハム時代と同条件)、先発投手の勝利数がリーグで2番目に少ない、左の強打者がいない (通算本塁打614本のプホルズ、MVP2回のトラウトは右打者) など、大谷を二刀流で十分に生かしたいチーム事情と大谷の思惑とが見事に一致する。

大谷の移籍先が決定した12月8日、パドレスのプレラーGMはショックを隠せず、ユニオン=トリビューン紙から獲得失敗の理由を尋ねられても「ノーコメント」の姿勢を貫いた。


(2018年1月1日号掲載)