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民主党勝てば社会主義国

トランプ氏、危機感あおる

2019年3月5日

トランプ大統領が来年の大統領選での再選を狙い、自身に挑戦する民主党を「社会主義」「過激な極左」と決めつけ、攻撃を強めている。

大統領選を 「自由主義と社会主義の選択」 (ペンス副大統領) という構図に持ち込む戦略。

民主党で民主社会主義と呼ばれる左派の候補が台頭しているのは事実だが、各候補の主張は多様で、民主党は国民の危機感を煽 (あお) る政権の策略を警戒している。

「米国は決して社会主義国にならない」。

トランプ氏は3月2日、首都近郊での保守系団体の行事「保守政治行動会議 (CPAC)」で演説し、民主党が政権を取れば社会主義国になる印象を与えて保守層に団結を訴えた。

「社会主義は公正や美徳ではない。支配層のための権力だ。ベネズエラを見れば分かる」とも主張。

民主党左派が唱える地球温暖化対策は非現実的で経済を破綻 (たん) させると酷評した。

ペンス氏も前日に演説し 「社会主義国になれば米国は米国でなくなる」 と警告した。

格差是正を訴えて国民皆保険や大学教育無償化を掲げる民主社会主義は若者の間で共感が広がり、ハーバード大の調査では民主党支持層の64%が賛同。

民主党の大統領選候補で最左派のサンダース (写真右上)、ウォーレン (写真右下) の両上院議員は世論調査平均の支持率が2位と4位で、15人前後の党候補指名争いの先頭集団にいる。

サンダース氏は2日、トランプ氏の演説とほぼ同時刻にニューヨークの大学で初の選挙集会を開催。

「私は経済的に苦しい家庭で育った。高層ビルを建てる資金を親から与えられなかった」と語り、トランプ氏と違って経済的弱者の境遇が分かると強調。

「嘘 (うそ) や差別のない政府」を樹立すると述べ、若者ら約1万人の喝采を浴びた。

一方、中道派候補は民主党が左派のレッテルを貼られて中間層の支持離れが起きるのを警戒。

ハリス上院議員は格差の問題に取り組むとしながら「民主社会主義者ではない」と明言し、出馬を検討する若手のオルーク前下院議員も「私は資本主義者」と一線を画した。


(2019年3月16日号掲載)

暴行自演容疑の男優拘束

米警察「人種差別利用」

2019年2月23日

シカゴの警察当局は2月21日、男2人に殴られたと警察に虚偽の被害を届け出た疑いで訴追された黒人男優ジャシー・スモレット容疑者 (36) を拘束した。

警察幹部は記者会見で、容疑者が自らの報酬に不満を抱いており、名前を売り込むため「人種差別に伴う痛みと怒りを利用」し、自作自演の暴行を計画したと指摘した。

容疑者は同性愛者と公表しており、警察は当初、憎悪犯罪 (ヘイトクライム) として捜査していた。

警察幹部は、同容疑者が事前に、人種と同性愛に関する差別的な内容の脅迫状を自らに宛てて送っていたと説明した。

スモレット容疑者はシカゴ中心部の路上で1月29日未明、覆面をした2人組の男に顔を殴られ、首にロープを巻かれたと通報。

2人がトランプ大統領の選挙キャンペーンの合言葉や、人種や性的指向を差別する言葉を口にしたと語っていた。

警察当局は3月13日、ナイジェリア系の兄弟2人を拘束して事情聴取。

2人がスモレット容疑者から計3,500ドル (約39万円) を受け取って暴行被害を装う手助けをしたと証言した。

スモレット容疑者は2月21日に保証金を支払い、保釈された。


(2019年3月16日号掲載)

トランプ氏の不正調査加速

ウィキリークスは証言否定

2019年3月1日

トランプ大統領の元顧問弁護士コーエン被告が2月27日の議会証言で違法な不倫口止め料など不正へのトランプ氏の関与を証言したことで、下院を主導する民主党は弾劾訴追を求める党内の声を踏まえ、トランプ氏による犯罪の疑いについて調査を加速させる構えだ。

被告が不正との関与を指摘した内部告発サイト「ウィキリークス」やトランプ氏の側近らは一斉に証言を否定した。

下院監視・政府改革委員会のカミングス委員長(民主党)は27日の公聴会後、トランプ氏の長男ジュニア氏と、金庫番として知られる複合企業トランプ・オーガニゼーションのワイセルバーグ最高財務責任者(CFO)に議会証言を求めることを検討していると明らかにした。

両氏はトランプ氏の不倫口止め料に関与したとしてコーエン被告が公聴会で名指しした。

コーエン被告は2016年大統領選中にロシアによるサイバー攻撃で民主党から流出したメールをウィキリークスが暴露した計画について、トランプ氏が元側近のストーン被告から事前に報告されていたと証言。

これに対し、ストーン被告は「証言は真実ではない」 と反論。

ウィキリークスも創設者アサンジ氏がストーン被告と話したことはないと否定した。

ジュニア氏はツイッターでコーエン被告を「嘘つきだ」 と非難する投稿を連発した。


(2019年3月16日号掲載)

航空券に「男女」以外も

米業界、各国に影響か

2019年2月24日

米航空会社の業界団体エアラインズ・フォー・アメリカ (A4A) は2月22日までに、利用者の航空券購入時の性別申告について、これまでの 「男」 と 「女」以外に「特定しない」「公開しない」などの選択肢を設ける方針を明らかにした。

6月1日から始めるという。

欧米では近年、法的な文書に 「中立の性別 (ノンバイナリー = non-binary)」の記載を認める動きが拡大。

米航空業界の決定を人権団体は歓迎している。

カナダでも追随する動きが伝えられるなど、各国に影響が広がりそうだ。

A4Aは声明で「米航空会社は職場においても利用者に対しても多様性の文化を尊重する」と主張。

国際航空運送協会 (IATA) と性別の選択肢設置で合意に至ったとしている。

報道によると、アメリカンやユナイテッド、アラスカ、ジェットブルーなどの航空会社が予約システムの変更を準備中で、A4Aに属していないデルタも同調する姿勢だ。

心と体の性が一致しないトランスジェンダーの権利団体は「ノンバイナリーの人は空港などで差別的な対応を受けてきた」と決定の重要性を強調した。

日本ではノンバイナリーは「Xジェンダー」とも呼ばれる。


(2019年3月16日号掲載)

中絶制限措置めぐり政権提訴

「女性への攻撃」 とカリフォルニア州

2019年3月6日

トランプ政権が計画している人工妊娠中絶の制限措置に対し、カリフォルニア州が3月4日、措置は違法だとして差し止めなどを求める訴えをサンフランシスコの地裁に起こした。

同州のベセラ司法長官は「政権は女性の健康への攻撃を強めている」と非難した。

知事が民主党に所属するニューヨーク州やワシントン州など20前後の州も提訴する構え。

2020年の次期大統領選に向け、中絶問題が大きな争点の一つとなりそうだ。

米メディアによると、同措置は米保健当局が2月に発表。

連邦政府から補助金を受け、人工妊娠中絶手術を行う医療サービス機関に対し中絶手術に関わることを禁じ、違反すれば補助金の打ち切りなどの対応を取るとの内容で、5月から施行される予定だった。

出産や避妊における女性の自己決定権を啓発するNPO 「プランド・ペアレントフッド」などが対象で、医師団体も反発を強めている。

トランプ氏は一般教書演説で中絶制限への意欲を強調し、保守派を中心とする支持層にアピールした。

ペンス副大統領も中絶や同性婚に強く反対する保守的な姿勢で知られる。


(2019年3月16日号掲載)