トランプ大統領に委ねる「核ボタン」 の懸念広がる

トランプ大統領に委ねる「核ボタン」 の懸念広がる

北朝鮮へ先制攻撃の可能性、権限分散求める声も

2017年11月28日

トランプ大統領に「核のボタン」を委ねてよいのか -- 。

核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対してトランプ氏が挑発的な言動を繰り返す中、核攻撃を命じる権限を大統領が握っていることへの懸念が強まっている。

米国による核先制使用の可能性を指摘する声も上がる中、権限を分散すべきだとの意見も出始めている。

議論の発端は、11月14日に大統領の核使用権限をめぐる公聴会が約41年ぶりに上院で開かれたことだった。

公聴会では 「不安定で直情的」 なトランプ氏が北朝鮮に対し、「ツイートするように (気軽に) 核のボタンを押す」可能性を懸念する声が相次いだ。

米戦略軍のケーラー元司令官は、大統領から核攻撃の命令が下ったとしても「違法な命令」に関しては「疑問を呈する義務がある」と述べ、拒否する可能性もあるとの考えを示した。

だが、「違法な命令は拒否できる」としたものの「合法性」をどう判断するのかは曖昧なまま。

ケーラー氏は核攻撃命令について、軍は攻撃規模などから適切かどうかを判断すると説明する一方、軍事攻撃に関する大統領の権限をいたずらに制限すれば抑止力に影響が生じるとして、慎重な対応が必要だとの見方を示した。

大統領が命令を実行するよう主張した場合、軍は「前代未聞の立場」に追い込まれると認めざるを得なかった。

専門家の間では、米国に差し迫った脅威がない状況で議会承認なしの武力攻撃は認められないとする意見が主流だが、トランプ氏が脅威を拡大解釈する懸念は残る。

軍縮・核不拡散専門家のアブナー・コーエン氏らは米紙への寄稿で核使用のハードルがこれまでになく低くなっていると強調し、誤判断を防ぐため核使用の権限を分散させることを真剣に検討すべきだと提言した。

野党民主党の議員団は10月、米国に差し迫った脅威がない状況で大統領が議会承認を得ずに北朝鮮を先制攻撃することを禁じる法案を提出している。


(2017年12月16日号掲載)