ウォルト・ディズニー、21世紀フォックスの娯楽部門買収

ウォルト・ディズニー、21世紀フォックスの娯楽部門買収

進出著しいIT大手の脅威に対抗、「マードック帝国」縮小へ

2017年12月2日

© s_bukley

娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーが12月14日、同業の21世紀フォックスの娯楽部門を買収すると発表した。

動画配信やインターネット広告収入で巨大化するIT大手の脅威が、伝統的メディアのディズニーを再編へ突き動かした。

メディア企業の大型再編は今後も続きそうだ。

半面、21世紀フォックスを率いるルパート・マードック氏が築いた「メディア帝国」 は縮小に向かう。

「新しい技術や競争相手、消費者の好みの変化で業界図は塗り替わった」。

マードック氏は14日の電話会見で「努力と熱意で」帝国を築いたことを振り返った後、そう語った。

マードック氏はオーストラリアの地方紙経営を振り出しに新聞、テレビ、映画といった事業の買収を繰り返しメディア王と言われるようになったが、21世紀フォックスは今回、大部分の事業をディズニーに売却する。

マードック氏は「退却では絶対にない」とも強調した。

マードック氏の長男で共同会長のラクラン氏は「われわれの原点に戻る」とした上で「人は必ずニュースやスポーツ中継を見る」と述べ、競争力のある分野に特化する方針を示した。

米メディア業界はIT企業の進出が著しい。

ケーブルテレビの顧客離れが進む一方で、ネットフリックスやアマゾン・コムの動画配信の利用者は拡大。

ネットフリックスは2018年に番組制作などに最大80億ドル (約9000億円) を投入する。

ネット広告市場のシェアの大部分を占めるグーグルやフェイスブックも動画配信を強化している。

「われわれの最優先の戦略は傑出した作品を創り出すことで、今回の買収はその目的を果たす」。

ディズニーのロバート・アイガー会長兼最高経営責任者 (CEO *写真左上) は14日の電話会見で、映画『アバター』などを例に挙げ、豊富な作品が手に入ると説明した。

ディズニーは2017年9月期決算が8年ぶりの減収減益。

主力のメディア事業の不振が響いた。

2018年にスポーツ、2019年に映画など個人向けの独自の動画配信を始め、立て直しを図る。

ネットフリックスへの映画配信を打ち切り「料金はネットフリックスより安くする」 (アイガー氏) と対抗心を隠さない。

ディズニーは21世紀フォックスの映像コンテンツを米国や欧州、アジアで配信する方針だ。

今回の買収で米動画配信大手Hulu (フールー) への出資が過半となり、活用しやすくなる。

IT勢の台頭に伴い、メディア企業の大型再編の動きが米国で広がっている。

米通信大手AT&Tは2016年10月、CNNや映画のワーナー・ブラザースを擁するタイム・ワーナーを買収すると発表した。

メディア業界に進出したIT大手は日本で事業を拡大している。


(2018年1月1日号掲載)