北米国際自動車ショー、米国経済への貢献を強調

北米国際自動車ショー、米国経済への貢献を強調

メーカー各社、「米国第一主義」を掲げる大統領の批判警戒

2018年1月17日

デトロイトで開催中の北米国際自動車ショーで、メーカー各社は投資や雇用など米経済への貢献策を相次いで表明した。

米国第一主義を掲げるトランプ大統領就任から1月20日で1年。

企業を激しく攻撃することもあるトランプ氏を警戒し、各社はアピール合戦を繰り広げている。

「30年にわたり日産自動車は米国事業に110億ドル (約1兆2千億円) 以上を投資してきた」。

日産の北米事業を統括するホセ・ムニョス氏は15日、自動車ショーの記者会見で胸を張った。

ドイツ自動車大手BMWの幹部も「米国は私たちの第二の故郷だ。

この偉大な国で7万人の雇用を抱えている」と強調。

中国大手の広州汽車も米国に開発拠点などを設け、来年には販売を始める方針を明らかにした。

ショーが始まる前からアピール合戦は始まっていた。

トヨタ自動車とマツダは10日、計約16億ドル (約1770億円) を投じてアラバマ州に共同で工場を新設すると宣言。

欧州自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ (FCA) も11日、10億ドル (約1107億円) 超を投じてミシガン州の工場設備を強化し、ピックアップトラックの生産を2020年にメキシコから移管すると発表。

FCAのマルキオンネ最高経営責任者 (CEO) が「(トランプ政権が決めた) 米国の税制改革は米国の事業環境改善につながることを投資で証明する」との声明を出すと、トランプ氏は「私に投票したミシガン州の有権者はとても幸せだ」とツイートした。

トランプ氏が掲げる政策は、自動車業界にとって不都合なものもある。

その代表例が米国とカナダ、メキシコによる北米自由貿易協定 (NAFTA) をめぐる混乱だ。

トランプ氏が近くNAFTAからの離脱を宣言するとの報道もある。

多くのメーカーがメキシコに生産拠点を構えており、域内で一定の部品を調達すると関税がゼロになる優遇措置を受けている。

米国が協定から離脱すれば、経営への打撃は避けられない。

自動車業界は「(協定の) 維持を望んでいる」(ホンダの神子柴寿昭=みこしば・としあき=専務) のが本音。

各社にはトランプ政権を極力刺激したくないとの思惑がありそうだ。

市場の縮小もリスク材料だ。

買い替え需要の一巡で2017年の米新車販売台数が8年ぶりに前年を下回ったこともあり、今後は米市場全体が緩やかに縮小していくとの見方が多い。

ニューヨーク原油先物相場は約3年1か月ぶりの高値水準にあり、ガソリン価格の上昇というリスクもちらつく。

ガソリン価格の上昇が、現在の新車販売を牽 (けん) 引する大型車の販売不振につながれば、米国での投資拡大が過剰設備につながる恐れもある。

*写真 (上) は北米国際自動車ショーで日産自動車が初公開したコンセプトカーの 「Xmotion= クロスモーション =SUV」(1月15日 = デトロイト)


(2018年2月1日号掲載)