トランプ大統領の移民政策に不安募らせる日本人

トランプ大統領の移民政策に不安募らせる日本人

ハーバード大で法律を学ぶ不法滞在の20歳学生

2018年3月21日

トランプ大統領の移民政策に不安感を募らせる米国在住の日本人がいる。

静岡県富士宮市出身の田中大史さん。

ハーバード大で法律を学ぶ20歳だ。

幼い頃に両親に連れられて渡米し、不法滞在の身。

オバマ前政権下で猶予されていた強制送還がトランプ政権の発足で現実味を帯び、将来に暗雲が垂れ込めてきた。

米国で弁護士になるという夢を「壊さないでほしい」と訴えている。

米国に来たのは6歳。

観光ビザで入国し米国で職を得た父の常雄さん (63) とフィリピン出身の母ルースジョイさん (45) に連れられて来た。

不法滞在に気付いたのは中学生の時だった。

修学旅行で欧州に行こうとしたところ、住民登録がなく、パスポートを取得できないことを知った。

「とてもショックだった」。

田中さんは「ドリーマーズ (夢見る人たち)」と呼ばれる不法移民の子どもの一人。

大学進学への道を開いたのは、オバマ前大統領が2012年に定めたドリーマーズの強制送還の猶予措置だ。

米政府によると猶予措置の対象者は約70万人。

ほとんどが中南米諸国の出身者だが、約130人の日本人も含まれる。

不法移民対策の厳格化を掲げるトランプ氏は昨年9月、猶予打ち切りを表明した。

裁判所の判断で執行は一時的に差し止められているが、政権側は司法闘争を続け「勝訴を確信している」 (サンダース大統領報道官) と自信満々だ。

「この国の移民制度には問題が多い。

政治を変え、制度改革を実現させたい」。

こんな思いから移民問題を専門とする弁護士を目指す田中さん。

2019年5月に卒業予定だが、司法審理の行方次第で「いつ拘束されてもおかしくない」 と語り、「トランプ氏は移民を犯罪者のように扱っている」と非難する。

両親は2016年に自主的に日本に戻り、静岡県内で暮らしている。

ルースジョイさんは「弁護士になるのは彼の小さいころからの夢。

米国は彼にとって故郷も同然で、何とか実現させてやりたい」と語った。


(2018年4月16日号掲載)