日米首脳会談、貿易赤字削減の具体策求めるトランプ氏

日米首脳会談、貿易赤字削減の具体策求めるトランプ氏

「好条件なしに、環太平洋連携協定 (TPP) には復帰せず」

2018年4月18日

日米は茂木敏充・経済再生担当相とロバート・ライトハイザー米通商代表部 (USTR) 代表による新たな貿易協議の枠組み設置で合意した。

貿易赤字削減の具体策を求める米国は、日本が時間稼ぎをしていると不信感を募らせる。

首脳会談でも隔たりが埋まらず、外交の火種は残ったまま。

「米国は日本に巨額の貿易赤字を抱えている」 トランプ大統領は首脳会談2日目の4月18日、のっけから本題を切り出した。

会談の冒頭はテレビカメラを意識して融和ムードを演出することが多いが、トランプ氏はこだわらない。

安倍首相は「日米が力を合わせ、両国の貿易と投資を拡大させたい」と返すのが精一杯。

共同記者会見でもトランプ節は止まらず、「好条件が示されない限り、環太平洋連携協定 (TPP) には復帰しない」と言い切った。

安倍氏は今回、トランプ氏の気持ちをTPPに向かわせようと、担当の茂木氏に加えて梅本和義TPP首席交渉官を急きょ同行させた。

だが、トランプ氏は会談初日の夜、ツイッターに「私はTPPが嫌いだ」と投稿。

安倍氏の淡い期待は早々についえた。

ただ、交渉関係者の一人は 「狙ったところに落とせた」 と会談結果を評価する。

日本にとって最悪の展開は、米国に2国間自由貿易協定 (FTA) の交渉入りを押し切られることだった。

防衛ラインを突破されず乗り切った形だ。

米国の対日貿易赤字は7兆円規模に上り、中国、メキシコに次いで3番目に大きい。

北米自由貿易協定 (NAFTA) や米韓FTAはトランプ氏主導で再交渉が進み、相手国は厳しい条件を突き付けられた。

日本も自動車や農業で市場開放を求められるのは必至。

トランプ氏は3月に鉄鋼などで輸入制限を発動した際、安全保障上の脅威を理由にしたが、制限除外と引き換えに通商交渉で譲歩を引き出そうとしているのは明白だ。

新設される枠組みは、米側が協議前進の役割を期待している可能性が高い。

強硬派のライトハイザー氏が米側トップに座ることになり、経済官庁幹部は警戒感を隠さない。

TPP復帰に関する発言が二転三転するなど、トランプ氏の通商政策はつかみどころがない。

鉄鋼業界関係者は「輸入制限を解除してもらうのは並大抵でない。

国別の除外は政府に頑張ってもらいたいが、品目別は我々も米国の取引先に全力で働き掛ける」と緊張感をにじませた。


(2018年5月1日号掲載)