セクハラに初の国際基準、条約で拘束できるかが焦点

セクハラに初の国際基準、条約で拘束できるかが焦点

国連の労働機関 ILO、5月28日から年次総会で議論

2018年5月18日

国連の国際労働機関 (ILO) は年次総会を5月28日から6月8日までスイス・ジュネーブで開き、職場での暴力やハラスメントを撲滅するための新たな国際基準を話し合う。

セクハラを含め、仕事に関わるハラスメント全般を直接扱った国際基準はこれまでなく、今回の議論を経て来年の総会で採択を目指す。

条約で基準に拘束力を持たせることができるか否かが焦点となる。

今回の総会では、加盟187か国の政府・労働者・使用者の代表が、事前に各国の見解をまとめた「たたき台」 を基盤にして討議する。

基準を ① 拘束力を伴う条約、② 拘束力のない勧告、③ 拘束力を伴う条約を勧告で補完 —— のいずれにするかが議論の争点となる。

ハラスメントの定義、対象となる労働者や行為者の範囲、防止措置や被害者支援も議論する。

たたき台は最も拘束力のある ③ を支持し、ハラスメントを「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす」「許容しがたい一連の行為と慣行」と定義。

労働者の範囲は求職者やボランティアなども包括的に設定する内容となっている。

ただ、各国や政労使の間で見解は分かれ、日本の場合、労組がたたき台の内容に賛同する一方、政府は「勧告が望ましい」と消極的な立場だ。

ILOがたたき台の作成に先立ち80か国の現状を調査した結果、仕事に関する暴力やハラスメントを規制する国は60か国で、日本は「規制がない国」に分類された。

日本は男女雇用機会均等法で職場のセクハラ防止措置を事業主に義務付けるが、セクハラの定義や禁止規定はなく、被害者保護・救済の壁になっている。

日本の場合、パワハラについて企業に防止措置義務もなく、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で夏ごろから検討が始まる。

条約を批准すれば日本国内法の整備などが義務づけられる。


(2018年6月1日号掲載)