アラスカ開発続々解禁、雄大な自然、先住民警鐘

アラスカ開発続々解禁、雄大な自然、先住民警鐘

経済成長を優先、野生動物保護区内での石油掘削も

2018年8月17日

雄大な大自然が残るアラスカ州で、経済成長を優先するトランプ政権がオバマ前政権下で規制された開発計画を続々と解禁する方針を示し、先住民や自然保護団体が反発を強めている。

クマの子の狩猟や野生動物保護区内での石油掘削も認める意向で、北極圏に暮らす先住民は「一度失った自然は二度と戻らない」と警鐘を鳴らす。

保護区外では油田掘削が進む。

石油に依存する州財政を潤す一方で、水や大気の汚染が指摘され、近隣先住民には健康被害の懸念も広がる。

保護区はトナカイの繁殖地で、開発が進めば絶滅の恐れもあり、生計が立てられなくなる。

「次世代に伝統の暮らしを引き継ぎたい。

目先の金にとらわれる大統領は、国民にとって害悪だ」 トランプ政権は昨年6月、地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定離脱を表明、前政権が不許可とした開発計画を次々と転換している。

アラスカでは他にも、世界最大の天然サケ生息地の湾に注ぐ川の上流で、銅鉱山開発が認められる見通し。

ジンキ内務長官は狩猟団体の要望を受け、冬眠中や幼獣を含む野生動物を、投光器や菓子類でおびき寄せる狩猟方法を認める方針を示した。

先住民グウィッチンはアラスカ北東部とカナダ北西部に居住し人口は約9,000人。

抗議デモを繰り返してきたが、トランプ政権の与党共和党の力が強い州当局には無視され続けている。

州中部フェアバンクスに拠点を置く「グウィッチン運営委員会」のバーナデット・ディメンティフ代表 (42) は「世界最後の自然が残るアラスカの乱開発は、地球全体の危機。

世界中の人にトランプ政権の問題を知ってもらいたい」と訴える。

自然保護を訴える民間非営利団体 (NPO) と協力し、政権を相手取り多数の訴えを起こし抵抗を続けてきた。

過去の共和党政権も踏み込んでこなかった野生動物保護区での開発計画推進について、代理人のバレリー・ブラウン弁護士 (53) は「反対運動が大きくなる前に着手しようと焦っている」とみる。

トランプ政権は長くても残り6年。

「訴訟を繰り返してでも阻止したい」と意気込んでいる。


(2018年9月1日号掲載)