中間選挙、民主党8年ぶりに下院多数派を奪還

中間選挙、民主党8年ぶりに下院多数派を奪還

トランプ政権の暴走歯止めへ足場、前途は多難

2018年11月6日

史上稀 (まれ) に見る盛り上がりをみせた中間選挙は、トランプ大統領と対峙する民主党が下院多数派を奪還し、2016年11月の前回大統領選での惨敗から一矢報いた。

トランプ共和党政権の誕生と、その後打ち出された数々の大胆な政策、大統領によるメディアなどへの無軌道な言動から「民主主義の危機」が叫ばれており、民主党が政権の暴走に抵抗する足場を築いた意味は大きい。

年明けの議会新会期以降、民主党はさまざまな手段を通じて政権への牽制と追及を進めるだろう。

欧州連合 (EU) 離脱を決めた2016年6月の英国民投票に端を発する世界的なポピュリズム台頭の流れに対し、一定の歯止め効果も期待できる。

選挙戦で浮かび上がったのは、前回大統領選に続き、やはり米国社会の分断の深化だった。

党派を軸とする深刻な分断はリベラル政策を進めたオバマ前政権時代からあった。

しかし、白人中間層の男性という「中核支持層」に徹底的に肩入れし、リベラル派や移民への怒りと警戒心をあおるトランプ流の「米国第一主義」が、移民や女性をはじめ国民各層の強い反発を招き、それが民主党にエネルギーを与えたのは間違いない。

危機感を抱いた女性が性的暴力への抗議や政治参加への機運を急速に推し進めたのも、「トランプ主義」の伸長に対する反作用の色彩が濃い。

特定層の利益を追求するあまり、他の集団の利益を損ねる政治のあり方は近年、ポピュリズムを助長する 「アイデンティティー政治」 として警戒され 「民主主義に対する最大の脅威」 (スタンフォード大のフランシス・フクヤマ氏) との指摘もある。

米国内の分断は党派間にとどまらず、性別や人種、学歴、居住圏 (都市か郡部か) が異なる人々の間に拡大、「部族主義 (トライバリズム)」と呼ばれるに至った。

こうした現実を一度の選挙で解消できるわけもないが、多くの米国民がその第一歩として期待を抱くのは自然だ。

しかし、民主党の前途は容易ではない。

2020年の次期大統領選で再選を狙うトランプ氏に対抗する「顔」 が全く見えない。

党内は穏健政策を唱える中道派と、民主社会主義者を自任する超リベラル派がぶつかる。

大統領選に向けた党指名争いで、多数の候補が乱立するとの見方も出ている。

何より、下院多数派を失ったことなど気にもかけずに従来路線を突き進むとみられるトランプ氏と、どう向き合い「透明で公正な立法活動」 (民主党のペロシ下院院内総務) を展開するのか、力量が問われる。


(2018年11月16日号掲載)