新型コロナの新亜種「XBB.1.5」 米国で急速拡大 ワクチン効果なし? 強力な免疫回避力に危機感


2023年1月3日

米国疾病対策予防センター (CDC) はオミクロン株の下位系統「XBB.1.5」が米国で急速に広がっているという、気になるデータを発表した。

11月中旬に報告され、昨年末の時点で、全米で確認された新型コロナ患者の約41%に関与しているという。

また、CDCはこの菌株の広がりが年を越して急上昇していると指摘。

警戒感を強めている。


XBB.1.5亜種はXBB株の近縁種。

主に米国北東部での感染ペースが目立つ。

メイン州で報告された症例の70%以上がこの亜種だった。


憂慮すべきはXBB.1.5の強力な免疫回避力だ。

XBBは「最悪の変異株」と呼ばれてきたが、専門家の見解ではXBB.1.5がこれを凌駕 (りょうが) する感染力を備えており「ワクチンすら効果がない」と危機感を募らせる。


XBB.1.5亜種はオミクロンの原型であるBA.2亜種「ステルスオミクロン」から派生した。

医学博士でスクリプス研究所副所長のエリック・トポル氏によると、BA.2亜種の子孫であるXBB.1.5亜種はACE2受容体との結合がより強固で、それが感染力を高めているという。

同博士はXBB.1.5亜種が米国全域で増加すると予想している。


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世界保健機関 (WHO) の新型コロナウイルス感染症の集計で、昨年12月26日から今年1月1日までの週間感染者数は、日本94万6,130人世界最多だった。

一方、感染拡大が懸念されている中国は韓国、米国に次いで4番目に多い21万人超に留まっている。

しかし、WHOはこれらの国々の実態を正確に反映していないとみている。


同期間の週間死者数は、米国最多2,501人日本2番目に多い1,941人

中国は5番目に多い648人だが、新型コロナ感染者が死亡した際、呼吸器系不全が原因でない場合は死者数に含めていないため、WHOは死者数も過少報告されているとの見方を示している。

                            
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英国拠点の医療系調査会社エアフィニティは12月29日、中国で新型コロナウイルス感染による死者数が1日当たり9,000人に上っているとの推計を発表した。

同社は12月21日付の発表で1日当たり5,000人超の可能性があると指摘しており、ここ数日で大幅に増加したとみている。

1日当たりの感染者数は推計180万人としている。


エアフィニティは中国当局が集計方法を変更する前の各省のデータなどを基に推計。

1日からの累計感染者は1,860万人、死者は10万人に達したとの見方を示した。


感染者数は今年1月13日に最初のピークが到来するとみられ、1日当たり370万人と予測。

死者数は同23日頃に最多となり、1日当たり25,000人に達するとした。


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一方、中国政府は12月26日、新型コロナウイルス感染防止のため行ってきた規制を緩和し、海外から中国本土に入る際に義務付けている集中隔離措置を1月8日に撤廃すると発表。

新型コロナを隔離措置を含む厳格な対応を取る感染症として扱っていたが、格下げする。

隔離は海外から中国を訪れる際の大きな障害だった。

「ゼロコロナ」政策が事実上崩壊したことを受け、隔離はほとんど意味をなさなくなっていた。

海外との交流を正常化させる狙いもあるようだ。


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サンディエゴ郡保健福祉課は昨年12月28日の統計で、新型コロナウイルス確定患者の入院者数480人と発表した。

この数字は感謝祭ウイーク時点の2倍以上。

10月以降、SD郡の1日あたり平均確認患者数は3倍近くに増え、12月24日現在で10万人あたり19.7人に達している。

CDCはSD郡のCovid-19感染度レベルを「中程度」に位置づけている。

SDではホリデーシーズンに旅行客の往来が急増。

感染力の強い新亜種XBB.1.5の出現により、今後も感染者数/入院者数の上昇傾向が続くとみられている。


全米で昨年秋よりインフルエンザが猛威を振るい、SD郡では例年より数か月早く19,000人以上感染し、29人死亡している。

同郡の過去5年間の年間平均インフル感染者数約11,000人を上回っている。

SD郡公衆衛生担当官ウィルマ・ウーテン博士は「例年のピークは1月下旬から2月にかけて。毎年、インフルエンザの流行度は予測できない。予測不能であることが予測できる」と、苦しいジョークを含めてコメントした。



(2023年1月16日号掲載)