Friday, 29 March 2024

三菱マテリアル、強制労働の94歳元米兵に謝罪

三菱マテリアル、強制労働の94歳元米兵に謝罪

戦後70年、カールスバッド在住の存命退役軍人も同席

2015年7月20日


mitsubishi apology第二次大戦中、日本国内の銅山や鉱山などで米国人捕虜らに強制労働をさせたとして、三菱マテリアルの木村光常務執行役員、社外取締役の岡本行夫氏らがロサンゼルスで7月19日、元米兵捕虜でサンタバーバラ郡サンタマリア在住のジェームズ・マーフィー氏 (94) らと面会し、謝罪の言葉を直接伝えた。

第二次大戦中の米兵捕虜による強制労働に対して、日本政府はこれまでに謝罪しているが、企業による元捕虜への公式な謝罪は初めてとみられる。

式典は人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」で行われた。

エイブラハム・クーパー副所長によると、木村氏らがマーフィー氏に謝罪の言葉を伝えて深く頭を下げ、マーフィー氏が受け入れると表明した。

木村氏によると、三菱マテリアルの前身である三菱鉱業が捕虜約900人を日本国内4か所の鉱山に受け入れ、過酷な労働を強いた。

マーフィーさんはその1人で、労働させられたのは秋田県にあった鉱山とみられる。

AP通信によると、マーフィーさんはフィリピンで捕虜となり、収容所に連行される過程で多数が死亡したとされる「バターン死の行進」で生き残った。

その後日本に送られ、鉱山で奴隷のような扱いを受けたと言っており、戦後70年間、謝罪を切望していたという。

木村氏は「事業を継承する会社として道義的な責任を感じている」と述べ、謝罪の表明は自社単独で決断したと説明した。

マーフィー氏は「歴史的な出来事を目の当たりにした。

われわれ捕虜は70年間、この謝罪を待ちわびていた」と述べた。

また、AP通信によると、19日の謝罪の場には、福岡県の三井三池炭鉱で強制労働させられたカールスバッド在住の元米兵レスター・テニーさん (94) も同席した。

テニーさんは安倍首相が4月に米議会で行った演説を傍聴し、存命の被害者への視点が欠けていると批判した。

*写真下:日本軍に投降した米兵が連行された「バターン死の行進」 (1942年 = フィリピン・ルソン島)



(2015年8月1日号掲載)