Thursday, 28 March 2024

麻薬王脱獄、周到な準備と強大な影響力

麻薬王脱獄、周到な準備と強大な影響力

ティファナでも発見された「スーパートンネル」

2015年7月13日


drug tunnelメキシコ最大級の麻薬組織「シナロア・カルテル」 のホアキン・グスマン元最高幹部の脱獄を受け、昨年、メキシコ当局と共に同元幹部を拘束した米国の当局者の間でいら立ちが広がっている。

元幹部は2001年にも協力者の手引きで別の刑務所から脱獄したことから、麻薬組織との癒着が横行するメキシコの刑務所では同様の事態が起きると再三指摘されていた。

元幹部はメキシコ最高のセキュリティーを完備していると言われる刑務所で、唯一監視カメラの死角だったシャワー用スペース付近に開けられた約50センチ四方の穴から逃亡。

梯子 (はしご) で約10メートル下り、照明や換気装置を備えた約1.5キロのトンネルを抜けたとされる。

トンネルの先には空き地に囲まれた建築中の家があった。

麻薬輸送用トンネルは、これまで米国・メキシコ国境を挟むティファナ~オータイメサ間の地下でも複数発見されている。

2013年10月に発見された一つは、ティファナの工業地帯からオータイメサ入国管理施設近くの倉庫に通じており、内部はブロック壁で固められ、エレベーター、照明、空調、換気設備に加え、電動トロッコ用のレールが敷かれている 「スーパートンネル」 だった。

やはりシナロア・カルテルが関与しているとみられる。



(2015年8月1日号掲載)