Wednesday, 17 April 2024

三菱重工業への損害賠償請求9000億円に

三菱重工業への損害賠償請求9000億円に

サンオノフレ原発廃炉めぐり、SCEが仲裁申し立て

2015年8月1日


reactor decommissioning三菱重工業は7月下旬、サンディエゴ郡北端沿岸部にあるサンオノフレ原発の廃炉をめぐる電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン (SCE) からの損害賠償請求額が、75億7千万ドル (約9300億円) になる見通しだと発表した。

エジソンは2013年10月、故障して廃炉の原因となった蒸気発生器を製造した三菱重工が全損害の賠償責任を認めないことを不服とし、国際商業会議所 (ICC、所在地:パリ) に仲裁を申し立てた。

三菱重工は、契約上の責任の上限は約1億3700万ドルにとどまると反論。

エジソンの請求に対し、「交渉の経緯などを正確に反映しておらず、要求は不当だ」として争う姿勢を示している。

三菱重工によると、ICCの仲裁判断は2016年中か2017年前半に出る見込み。

エジソンは当初、40億ドル以上とする損害賠償を三菱重工に求めていたが、7月27日付でICCに提出した資料で請求額が最終的に75億7千万ドルに上ることが判明した。

サザン・カリフォルニア・エジソンは2013年6月に修理費や維持費が高すぎるとして廃炉を決め、製造元の三菱重工に損害賠償を求める意向を示していた。

サンオノフレ原発は2009年以降に蒸気発生器を交換したが、2012年1月に放射性物質を含む水漏れ事故を起こして運転を停止。

原因となった蒸気発生器 (スチームジェネレーター) の設計上の問題点を製造元の三菱重工やエジソン社が事前に把握していたことが明らかになった。

事故は交換したばかりの蒸気発生器の細管に多数の異常な摩耗が生じて起きたとされる。

米原子力規制委員会 (NRC) が2013年3月に公表した事故報告書には、細管の振動に伴う摩耗を抑える設計変更を2005年にエジソン社と検討しながら、最終的には見送って当初設計のまま交換したことが記されていた。


(2015年8月16日号掲載)