Friday, 29 March 2024

創刊148年のSD・ユニオン =トリビューン紙、社説に変化

創刊148年のSD・ユニオン =トリビューン紙、社説に変化

保守的論調と共和党支持の伝統破り、反トランプ氏表明

2016年10月3日


大統領選で伝統的に共和党候補を支持してきた地方各紙が、相次いで同党のトランプ氏不支持を表明している。

差別的な主張や数々の暴言が論調と合わないとの判断だが、有権者が抱くメディアへの不信感も根強く、投票行動に与える影響は未知数だ。

地元紙の「サンディエゴ・ユニオン =トリビューン」は10月2日、民主党候補のクリントン氏を推薦する社説を掲載。

148年前の創刊以来、大統領選で民主党支持に回ったのは初めてのことで、長年の読者からは驚きの声も聞かれた。

社説では、トランプ氏について「下劣な指導者を選べば、国は道を誤ってしまう」と批判。

国務長官在任時のメール問題などを抱えるクリントン氏も評価できないとしながらも、トランプ氏よりは「安全な選択だ」と指摘した。

アリゾナ州最大手の日刊紙「アリゾナ・リパブリック」も9月27日の論説で、1890年の創刊以来の伝統を破ってクリントン氏を支持。

トランプ氏は「保守ではなく、その資格もない」として、戦死した米兵遺族らを中傷したことを問題視した。

オハイオ州やテキサス州でも保守的な立場を貫いてきた地方紙がクリントン氏を支持。

背景には、対立を煽 (あお) るトランプ氏の言動が伝統的な価値観をゆがめ、米国を分断してしまうとの危機感があるようだ。

同氏を「いまそこにある危機」と断じた新聞もある。

ただ、トランプ氏支持者らの反発も強く、抗議で購読を解約する人々も出ている。

既存の政治を批判することで人気を集めてきたトランプ氏は、これらの新聞を「既得権益に縛られている」と批判、支持固めに利用している動きもある。

反トランプを打ち出した各紙の編集者は、根強いメディア不信が根底にあることを認めた上で「激戦州の有権者の一部にでも影響を与えられれば、違いを生み出せるはずだ」と話している。


(2016年10月16日号掲載)