Friday, 19 April 2024

「トモダチ作戦」 の被曝元米兵へ資金支援を … 小泉元首相

「トモダチ作戦」 の被曝元米兵へ資金支援を … 小泉元首相

東電などへの損害賠償訴訟、サンディエゴ連邦地裁で審理続く

2016年10月20日


小泉純一郎元首相は米軍による東日本大震災の被災者への救援活動「トモダチ作戦」 に参加した元米兵らが、今も被曝 (ばく) の影響に苦しんでいるとして支援に全力を挙げている。

7月に基金を設立しており、「口だけの感謝では済まない。

来年3月までに1億円を集め、見舞金として渡したい」と協力を呼び掛けた。

元米兵らは米原子力空母「ロナルド・レーガン (CVN-76」 の乗組員として、東日本大震災の発生直後に三陸沖に派遣された。

東京電力福島第1原発事故の影響が正確に伝えられず、被害を受けたとして、2012年に東京電力などを相手に損害賠償訴訟をサンディエゴの連邦地裁に起こした。

原告は徐々に増えて400人以上。

訴訟を米国の法廷で続けるかどうかなどの手続き論で、連邦高裁の審理が続く。

小泉氏は今年5月、原告の元米兵ら約10人とサンディエゴで面会。

鼻血や内臓腫瘍などの健康被害のほか、妊娠していた女性が障害児を産み、その子がしばらくして亡くなったケースもあったという。

会見で小泉氏は、当時の支援活動の内容や病状を聞いて「現在も病気の人が増え、症状が重くなっていることが分かった」と語り、「(日本の) 原発反対論者も推進論者も病に苦しむ兵士に何ができるか共同で考えるべきだ」と主張した。

今回のインタビューで小泉氏は「日常生活が送れずに除隊せざるを得なくなり (医療保険がないため) 高額の医療費を取られている」 と涙ながらに語った。

サンディエゴの連邦地裁は2014年10月、訴えを退けるよう求めた東電の主張を認めず、訴訟を継続する判断を示した。

乗組員らは金額を特定しないまま健康被害などに伴う損害賠償を求めているほか、東電に対して10億ドル (約1150億円) 規模の基金を設け、健康診断や治療をするべきだとしている。

小泉氏によると、米国防総省は米議会に「被曝による結果と断定できない」 と説明。

日本外務省は「訴訟中のため日本政府として何もできない」としている。


(2016年11月1日号掲載)