Friday, 29 March 2024

SDで大地震発生の可能性? “接合断層” の潜在パワー

SDで大地震発生の可能性? “接合断層” の潜在パワー

スクリップス海洋研究所の調査結果、科学専門誌に掲載

2017年3月20日

ラホヤのスクリップス海洋研究所は3月中旬、ロサンゼルス沿岸部からオレンジ郡の沖合に伸びるニューポート/イングルウッド断層と、ラホヤ沿岸部からサンディエゴ湾まで北西 — 南東ラインに走るローズキャニオン断層が独立した活断層という従来の見解を否定する調査結果を発表した。

2つの活断層は海底で繋がっていると判断され、日本の「南海トラフ」に似た “接合断層” による大型地震発生帯を形成している可能性があるという。

両断層帯で地震が発生した場合、最大でマグニチュード7.4の規模に達する恐れがあり、サンディエゴを含むカリフォルニア南部とメキシコ北部の広域沿岸部に甚大な被害を及ぼすと警告している。

カリフォルニアは地震多発地帯として知られるが、サンディエゴでは市制施行の1769年以来、マグニチュード7以上の大震災の記録はない。

サンディエゴ郡内でもこれまで、ローズキャニオン断層、コロナド断層、サンディエゴ郡東部のラ・ナシオン断層など複数の活断層が確認されている。

これらの断層の多くは、太平洋プレート (海洋底プレート) と北アメリカプレート (地殻プレート) の2大プレートの動きがもたらす地殻圧迫の結果として生成されたものだ。

サンディエゴ市の人口密集地帯に接しているローズキャニオン断層は、準平行に並ぶ幾層もの断層と地層褶曲 (しゅうきょく) によって形成され、ソルダッド・マウンテン近くの白亜紀系地層と第三紀系地層が置き換えられた形となっている。

断層群は側面への歪 (ひず) みを伴って北西方向へ徐々に移動し、垂直段差も確認されている。

過去100万年の間に北西へ約1キロメートル動いており、年間では1ミリメートルのペースとなる。

ローズキャニオン断層は200〜300年周期でマグニチュード6規模の地震を発生させるエネルギーを秘めていると言われてきたが、ニューポート/イングルウッド断層との接合説が発表され、潜在的脅威が高まったと言える。

サンディエゴ郡で記録された最大規模の地震は1862年5月27日に発生している。

この地震でオールドタウンの建物が損壊し、サンディエゴ・リバー河口付近の地表に亀裂が生じた。

震源地はローズキャニオン断層、あるいはコロナド断層と想定され、被害状況からマグニチュード6.0と推定されている。

スクリップス海洋研究所の調査結果は権威ある科学専門誌「地球物理学研究ジャーナル」 (Journal of Geophysical Research) に掲載された。


(2017年4月1日号掲載)