Tuesday, 16 April 2024

科学軽視のトランプ氏「地球温暖化はでっちあげ」 に抗議

科学軽視のトランプ氏「地球温暖化はでっちあげ」 に抗議

世界600都市で環境保護デモ実施、SDでは15,000人参加

2017年4月23日

科学者らが警告する人類活動による地球温暖化を否定し、対策予算の大幅削減や規制撤廃を進めるトランプ大統領に抗議する「科学のための行進」が、地球環境保護を謳 (うた) う「アースデー」の4月22日、サンディエゴや首都ワシントン、ニューヨークなどで行われた。

多くの参加者が「温暖化は「フェイクニュース (偽のニュース) じゃない」などと訴えた。

サンディエゴでは、トランプ氏が地球温暖化を事実と認める姿勢を示さず、科学研究機関への連邦政府補助金カットを断行する方針に異議を唱える一般市民、科学者など約15,000人がダウンタウンに集合した。

カリフォルニア大学サンディエゴ校 (UCSD)/スクリップス海洋研究所のラルフ・キーリング教授/気象学者 (58) が演壇に立って「人間によって引き起こされた気象温暖化をフェイクと決めつける無知」を非難すると、参加者から万雷の拍手が沸き起こった。

この後、参加者は思い思いのスローガンを書き込んだプラカードを掲げ、シビックセンター・プラザからウォーターフロントパークまで行進。

この中にはトランプ氏を皮肉る “Let’s Make America Smart Again” (もう一度アメリカを賢くしよう) というメッセージもあった。

抗議の行進は世界各国の600か所以上で実施された。

ワシントンでは雨が降り、肌寒い天気の中、参加者が「政策に科学を」「かけがえのない地球を守って」などのメッセージを書いたプラカードを掲げ、ホワイトハウス近くの広場から連邦議会までの約1キロを行進。

温暖化対策を担う環境保護局(EPA) が入る建物に差しかかると 「ありがとう EPA、生き残って」の大合唱となった。

「科学は米国を偉大にする」 のプラカードを持ったビル・ピータージョンさん (60) は森林生態学者。

「子どもに可能性に満ちた未来やお年寄りに良い医療を提供できるのは科学しかない」 と話した。

同じ日に首都ワシントン郊外の軍医療施設に出向いたトランプ氏はアフガニスタンで負傷した米兵を激励した。

大統領の車列は、雨の中、環境保護を訴える科学者のデモ隊と遭遇。

「地球温暖化はでっちあげだ」と公言するトランプ氏は環境を軽視するかのような冷徹な声明を出した。

抗議の声は相変わらず耳に届いていないようだった。

「地球が死にかけているのを否定するのはやめろ」。

プラカードを掲げたデモ隊の横をトランプ氏の車列が何事もなかったかのように通り過ぎた。

デモが続く中、トランプ氏はアースデーの声明を発表。

「米国の勤労者世帯を傷つけることなく環境を守る。

だから米国の労働者や企業を縛る無駄な規制を減らしている」。

経済優先の主張に変化はない。

ツイッターでも「経済成長が環境保護を加速させる。

雇用は重要だ」と訴えた。




(2017年5月16日号掲載)