サンディエゴ動物園の新飼育園 “Africa Rocks” オープン

サンディエゴ動物園の新飼育園 “Africa Rocks” オープン

アフリカペンギンなど絶滅危惧種が集まる、6つの自然域再現

2017年7月15日

昨年、開園百周年を迎えたサンディエゴ動物園が約6800万ドル (約77億円) を投じ、同園史上最大規模となる飼育園 「アフリカ・ロックス」 (Africa Rocks) が7月にオープンした。

新設飼育園はアフリカ大陸に生息する多種多様の生物の紹介と飼育を目的に、8エーカーの敷地に6つの自然域を再現したもの。

ロケーションは動物園の中央北側。

入り口から右に折れ、 「エレファント・オデッセイ」と「アーバン・ジャングル」 に挟まれた南北に伸びるエリアにある。

特に目を引くのは65フィート (約20メートル) の人工滝だ。

観光客は滝の裏側に回り込んで飛泉を眺めることができる。

滝の周囲はアフリカ産鳥類の飼育場にもなっている。

7月にオープンしたのは、アフリカ大陸最南端に位置する 「ケープ・フィンボス」 を模した一画。

ケープ・フィンボスは南アフリカケープ州に分布する植生地域で、絶滅危惧種の自然保護区になっている。

ケープ半島東岸のボルダーズビーチに生息するアフリカペンギンが世界的に知られ、サンディエゴ動物園内の模擬エリアで愛らしい姿を見せてくれる。

飼育場には数多くの巨岩を配置するなど、現地の環境を忠実に作り上げている。

ケープ・フィンボスでは最大級のサメで獰猛 (どうもう) なタイガーシャーク (イタチザメ) も観察できる。

アフリカ・ロックスは「ケープ・フィンボス」のオープニングを皮切りに、西アフリカの森林地帯「ウェスト・アフリカン・フォーレスト」(ニシアフリカコビトワニ等)、マダガスカル島の森林地帯「マダガスカル・フォーレスト」(キツネザル等)、低地森林地帯「アカシア・ウッドランド」(ヒョウ、ミドリザル、ハチクイムクドリ等)、エチオピア高原「エチオピアン・ハイランズ」(マントヒヒ、ゲラダヒヒ、ヌビアアイベックス = 巨大ヤギ)、小高い丘の「コピエ・ウッドランズ」(イワトビカモシカ、ミーアキャット = 二本足で直立、ダルマワシ等) の全6エリアが近く開場となる予定。

アフリカ・ロックスは娯楽性に満ちた動物エンターテイメントではなく、アフリカの絶滅危惧種の保護に焦点を当てた教育的プログラムとして登場。

その背景には米国内での動物保護運動の高まりがある。

昨年5月、シンシナティ動物園で4歳の男児がゴリラの飼育場に転落し、17歳のゴリラが男児の足をつかんで引き回したことから、さらなる危害を案じた動物園側の判断でゴリラを射殺する事態となった。

以後、米国内では園内の安全対策はもとより、動物園での展示を伴うゴリラ飼育を疑問視する声が聞かれるようになった。

シーワールド・サンディエゴでは、フロリダの姉妹園で調教師がシャチに襲われて死亡した事故を発端にショー目的の飼育に非難が寄せられたことから、シャチが芸を披露する娯楽ショーを今年1月8日で終了し、シャチの生態観察を中心とする「オルカ・エンカウンター」 を開始した。

このような教育的プログラムにシフトする動きは全米のアニマルパークで加速している。




(2017年8月1日号掲載)