NAFTA初交渉、「原産地規則」 協議難航、年内妥協には合意

NAFTA初交渉、「原産地規則」 協議難航、年内妥協には合意

SDのセンプラ・エナジーも注視、メキシコへのインフラ投資の行方

2017年8月21日

米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定 (NAFTA) 再交渉の初会合が8月20日に閉幕した。

初会合では大幅な進展はなかった。

3か国は年内妥結を目指し、交渉を加速することで合意。

共同声明は初会合でNAFTAのルールを改正する重要性を再確認し、20以上の交渉分野について幅広く協議したと説明した。

交渉を加速するため、9月1日~5日にメキシコで行われる次回会合に続き、9月下旬にカナダで、10月に米国でそれぞれ会合を開き、さらに、年内に追加の会合を予定していると声明は明記している。

「原産地規則」など各交渉分野の具体的な中身には触れていないが、年内に少なくともあと4回の会合を開くことになった。

8月16日から首都ワシントンで開かれた初会合では、3か国内で生産された部品をどの程度使えば完成品の関税をゼロにするかを定めた原産地規則の基準について、協議が難航したもよう。

トランプ政権は、米国に輸出されるメキシコ産の自動車に米国産部品が多く使われるようにするため、基準を引き上げたい考えだが、カナダとメキシコは反対している。

年内妥結を目指すスピード交渉を進める背景には、来年秋の中間選挙を控え、できるだけ早く合意に持ち込み、有権者に成果を誇りたい米政権の焦りが見え隠れする。

トランプ大統領が経済成長につながる政策の柱に掲げた税制改革やインフラ投資は停滞している。

低迷する支持率を回復させる切り札は経済面では通商政策しかないのが実情だ。

サンディエゴの有力企業で、SDG&E、サザン・カリフォルニア・ガスなどの親会社として発電事業やガス輸送を手がけるセンプラ・エナジー社もNAFTA交渉の行方に注目している。

昨年、同社のメキシコ子会社「IEノバ」は天然ガスパイプライン、再生可能資源や液体燃料のエネルギーインフラ建設に参入し、総額50億ドル超 (約5500億円) を投じた。

メキシコは1917年公布の「革命憲法」 の下、石油などの天然資源は「全て国家に属する」と規定。

これを根拠にメキシコ政府は1938年、同国内の石油産業を国有化した。

メキシコは世界8位の産油国だが、新たな油田の探査ができずに生産量が伸び悩んでおり、ペニャニエト大統領は昨年、この現状を打破する目的から憲法改正に着手し、それまで認めていなかった石油資源開発への外国企業参入を解禁した。

だが、1994年に発効したNAFTAにはメキシコのエネルギー事業に関する合意規定が盛り込まれておらず、今回の交渉テーブルに具体的な規制案が含まれる可能性がある。

サンディエゴのセンプラ・エナジーを含む米墨両国の関連会社は、これまで進めてきた投資計画が頓挫する恐れを抱きながら、3か国交渉の行方を固唾 (かたず) をのんで見守っている。



(2017年9月1日号掲載)