カリフォルニア州「3分割」 案投票へ、11月の中間選挙時
自治改革案、「南カリフォルニア」 の最大都市はサンディエゴ
2018年6月15日
全米で人口最多のカリフォルニア州を3分割する提案の賛否を問う住民投票が、中間選挙が行われる11月6日に実施されることが6月13日までに決まった。
小規模化で州の意思決定を迅速にし、インフラ整備や教育制度の充実を図るのが狙い。
だが、有権者の過半数の賛成が必要で、可決しても法整備や連邦政府との交渉でかなりの時間がかかるとされ、実現のハードルは高い。
カリフォルニア州は南北に長く、面積は日本より大きい約42万3900平方キロで、全米3位の大きさ。
人口は約3950万人。
提案は州都サクラメントとサンフランシスコがある「北カリフォルニア」、ロサンゼルスがある「カリフォルニア」、サンディエゴがある「南カリフォルニア」の3つに分割する内容。
ロサンゼルス・タイムズ紙などによると、IT企業が集まる同州シリコンバレーの男性投資家が提案した。
有権者40万人以上の署名提出を受けた州が6月12日、実施条件を満たしたと確認した。
近く正式に発表する。
カリフォルニア州は各州に割り当てられる大統領選挙人の数も最多で、分割が実現すれば米国政治にも大きな影響をもたらしそうだ。
国際通貨基金 (IMF) が発表した世界各国の経済規模ランキング (4月) によると、カリフォルニア州を独立国に見立てた場合、 同州のGDPは2兆7470ドルで英国を抜いて世界第5位に躍り出る。
州3分割提案の核心は、強力な州内総生産を基盤にした自治の効率化を実現することにある。
その一方で、トランプ政権発足直後に 「独立運動」 を求める動きが出たことも記憶に新しい。
西海岸は伝統的にリベラル色が強く、カリフォルニアでは独立への住民投票を求める署名集めがサンディエゴから始まった。
この運動は「Yes California Independence Campaign (イエス・カリフォルニア独立キャンペーン)」と称され、サンディエゴを本拠地として、米国からの離脱の判断を求める2019年春の住民投票に向けて始動したが、法制度上の高すぎるハードルに阻まれている。
カリフォルニア州憲法は「アメリカ合衆国から切り離せない」と規定しており、米国憲法でも州の離脱をめぐる規定は示されていない。
州離脱の最終決定権は連邦政府にあるとの法解釈が支配しており、「カリフォルニア国」実現の現実味は薄らいだ。
それぞれの提案実現の成否はともかく、カリフォルニアは自治改革を積極的に進める州として注目されている。
(2018年7月1日号掲載)