サンディエゴ動物園のジャイアントパンダ“帰国”へ
中国政府との契約期間満了、一般公開は4月27日まで
2019年4月1日
サンディエゴ動物園と中国政府とのパンダ貸与契約に基づいて、同動物園で飼育されている2頭のジャイアントパンダ (バイ=ユン♀27歳、シャオ=リーウー♂6歳) が4月末に“帰国”することになった。
動物園側が3月22日に発表した。
バイ=ユンはサンディエゴ滞在23年の最長記録を持つパンダだ。
一般入場者が園内でパンダを見られるのは4月27日まで。
1996年からサンディエゴ動物園の人気者として愛されてきたマスコット的存在が姿を消す。
昨年10月にはガオ=ガオ (♂28歳) が中国に戻っており、半年間に3頭のパンダがサンディエゴを離れることになる。
中国・四川省の「臥龍 (ウォーロン) パンダ飼育センター」から送られた2頭のジャイアントパンダ (シー=シー♂、バイ=ユン♀) がサンディエゴに到着したのは1996年9月10日。
その後、サンディエゴ動物園でのパンダ飼育/繁殖計画のもとで人工授精を含む6頭の子パンダを誕生させることに成功した。
1999年に人工授精で誕生したフア=メイ (♀=2003年に帰国) は、当時北米で4日以上生存したパンダとして全米の注目を集めた。
現在では、サンディエゴ動物協会/ジャイアントパンダ保護飼育センターが開発した優れた繁殖技術が世界中で適用されている。
サンディエゴ動物園で飼育計画が提示されたのは1950年前後。
実際に中国へ代表団を派遣し、パンダ貸与契約の交渉を開始したのは1979年のことだった。
1980年代後半に中国政府から合意を受けたが、もう一つのハードルを越える必要があった。
当時、米政府は商業活動としての動物輸入を厳しく制限していた。
中国からのパンダ貸与も商業目的との判断から長く保留されるという事態に直面する。
動物園側はパンダ生息数の維持を目的とする中国との共同研究の意義を強調した新しい計画書を作成。
ようやく米政府から輸入許可を得ることができたのは1994年のことだった。
以降、この認可プロセスが動物輸入の可否を決定する基準となり、多くのケースに適用されている。
世界自然保護基金 (WWF) の報告によると、20年ほど前には1,000頭未満だった野生パンダの総数が2014年には1,864頭まで増えた。
サンディエゴ動物園のプロジェクトが絶滅危惧の緩和に寄与していると言える。
動物園側は今後の展望について、新たなパンダ貸与の可能性を探る目的で中国側と非公式な折衝を続けていくという。
ただ 「実現が何年後になるかは見当がつかない」とのことだ。
現在、米国内で飼育パンダが見られるのはスミソニアン国立動物園 (ワシントンDC)、アトランタ動物園 (ジョージア州)、メンフィス動物園 (テネシー州) の3か所のみ。
(2019年4月16日号掲載)