Wednesday, 17 April 2024

米政府のコロナ規定変更なし、マスク着用求める声も オミクロン株変異ウイルス「BA.2.75」 SDに接近

2022年8月1日

米政府は先月、バイデン大統領が新型コロナウイルス検査で陽性となった後も、感染を防ぐためのホワイトハウスの規定を変更しない方針だと表明した。

オミクロン株派生型「BA.5」の感染が急拡大する中、マスク着用など予防措置への関心を改めて喚起する「機会を逃した」 (専門家) との意見も出ている。

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は記者会見で、既存の規定は十分厳しく、維持すると説明した。

対策チームのジャー調整官は、感染の可能性は常にあり、バイデン氏はワクチン接種や薬のおかげで軽症で済んだとアピールした。


ホワイトハウスは米史上最高齢の大統領バイデン氏 (79) を守るため、会う人には事前の検査を義務付け、屋内では極力マスク着用と距離確保を求めてきた。


今回はそれでも感染した。

ペンシルベニア大医学部のエマニュエル教授は政治サイト、ポリティコに「検査で陰性だった人と接触した後に陽性になった」と指摘。

マスク着用を強化する必要がある」と強調した。


しかし、米社会のコロナ疲れは顕著で、マスク着用には拒否感が強い。

政権としては11月に中間選挙が控えていることもあり、これ以上強い規制を打ち出すのは得策ではないと判断しているようだ。

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新型コロナウイルスのオミクロン株の一種「BA.2.75」 (2.75系統ケンタウルス) がインドを中心に増えている。

これはオミクロン株の「BA.2」系統の変異ウイルス。

世界の多地域では依然としてオミクロン株の「BA.5」が主流で、「BA.2.75」の感染力や重症化の度合いについては詳しく分かっていない。

世界保健機関 (WHO) によると、今年5月にインドで初めて報告され、7月までに21か国で見つかっている。

日本でも確認された。


日本の国立感染症研究所の見解では、「BA.2.75」は「BA.2」に比べてスパイクたんぱく質に数か所の変異が加わっており、例えば「G446S」という変異はオミクロン株「BA.1」と同様に、ワクチン接種で得られた中和抗体を逃避する可能性もあるという。


京都大学の西浦博教授 (感染症疫学) は「BA.2.75」は「BA.2」や「BA.5」よりも感染力が強い可能性を想定し、重症化のリスクやワクチンの効果についての情報を発信する態勢を作る必要があると述べた。

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カリフォルニア州保健当局の発表によれば、オミクロン亜型「BA. 2.75」は5月下旬からインド国内で急速に広がった後、ロサンゼルス郡でも確認された。

州内で最初に検出されたのは、6月中旬にベイエリアで採取されたサンプルに含まれていた同型の痕跡だった。


サンディエゴ郡では「BA.2.75」は検出されていないが、専門家によると、州内で人口数1位と2位のLA、SD両郡ではオミクロン株の活動が活発で、米政府が最小限の感染症対策を継続していることもあり、SD郡でこの派生型の存在が確認されるのは時間の問題だという。


UCSDの感染症・国際公衆衛生学主任デビッド・スミス博士は「サンディエゴでは夏になると人々が集まる。

BA.275は他のすべてのオミクロン亜種よりも感染力が強いとの予測もあり、感染対策の見直しも含めて警戒を強めるべきだ」と警告している。



(2022年8月16日号掲載)