Thursday, 25 April 2024

コロナ禍における米国コミュニティ調査(ACS)の実施状況について

米国国勢調査局は、米国民および経済に関する統計情報を提供する重要な役割を担っています。


COVID-19のパンデミックにおいても国民に情報を提供し、そして調査員や回答者の安全を確保するために、本年においては調査やその他のデータ収集の方法を変更する必要がありました。



今回のパンデミックの影響で、米国コミュニティ調査(ACS)のデータ収集にも支障が生じました。

この調査は国勢調査局が実施し、米国の人口に関する最も包括的な情報源の1つです。


米国コミュニティ調査(ACS)とは


ACSは、国勢調査のように10年に1度、全人口を数えるのではなく、毎年、約350万件の住所を人口サンプルとして抽出し、それを調査することで全米、州、および「トラクト」と呼ばれる近隣レベルのコミュニティの統計データを作成します。


ACSは毎年実施されるため、地域統計としては全米で最も最新の情報を提供し、信頼性が高く、入手しやすいデータソースになります。

これら統計は全国において比較することができ、他では入手できないデータも多く含みます。


ACSでは、2020年国勢調査で尋ねられる質問項目がさらに拡大され、政策などを計画する上で以下のような重要な項目に関する情報を提供します。


• アジア系人口および言語の内訳

• 学歴

• 世帯収入および個人収入

• 退役軍人

• 雇用

• 通勤時間

• 住居費

• 障がい者認定


ACSのデータは、国勢調査と合わせると、毎年何千億ドルもの連邦予算および州予算の資金配分を決定するのに役立っています。



通常のデータ収集方法


毎月、約29万5千戸の住居の住所に対し、調査への参加を依頼しています。

対象となった住所のまとまりを「パネル」と呼んでいます。


各パネルのデータは、2つのフェーズを経て収集します

•    セルフレスポンス:まず各住所にオンライン回答を促すメールをお送りします。

その後、未回答世帯に対し紙の調査票を送り、郵送での回答を依頼します。回答の有無や回答のタイミングにより、1か所の住所に最大5通の回答依頼書が送られる場合があります。 


•    未回答者のフォローアップ:オンラインまたは郵送で回答を得られない場合、現地調査員を派遣して該当する住所を戸別訪問することがあります。"

現地調査員はノートパソコンを使って、質問を尋ね、回答を記録します。

今回のパンデミックでは、どちらのフェーズでもACSデータを収集することが困難になりました。



セルフレスポンスの障壁


2020年3月中旬から6月にかけ、主要な活動が休止されました。

例年のように5通ではなく、以下の情報を含む2通を郵送しました(オンラインでの回答方法の案内、一部の住所に対しては紙の調査票、該当する世帯にはオンライン回答を促すリマインダー)。


2020年10月になると、多くのスタッフが対面で業務をできるようになったため、以下の活動を再開しました。

•    現行パネルの中で未回答となっている全住所に対し、調査に関する書類をまとめて郵送

•    回答を促す3回目のリマインダーを郵送


2021年4月からは通常通り5通郵送する戦略に復帰しましたが、それまでは上記の対応を続けました。



未回答世帯のフォローアップの障壁


今回のパンデミックにおいても、未回答世帯へのフォローアップを継続しました。

2020年7月には一部の地域、2020年9月には自宅待機命令の出ていない全ての地域で戸別訪問を再開しました。



集団居住地区への影響


今回のパンデミックでは、老人ホームや大学の寮、刑務所など集団生活を送る人々から情報を収集する方法にも大きく影響が発生しました。

通常、集団生活をしている人に対するデータ収集は戸別訪問を実施していましたが、パンデミックに伴う様々な制限により、戸別訪問を一時的に中断せざるを得ませんでした。


まとめ


調査員および回答者を守るため、以下のような多くの業務を一時的に停止しました。

•    回答を促すために、各世帯宛に情報を郵送する

•    未回答世帯に対し、戸別訪問を実施してフォローアップする

•    集団生活を送る人たちからのデータ収集


今回の調査はパンデミックの影響で多くの課題に直面しましたが、例年の約3分の2にあたる回答を得ることができました。


ここで、次のような疑問が発生します。

「この結果は、ACSが今秋に公表する詳細な人口動態、社会、経済、住居に関する統計データにどのような影響を与えるのだろうか。」


2020年のACS統計データは、例年とは異なるものになると予測しています。

今回の調査は歴史的な年に実施されたものだということ、そしてパンデミックが調査自体に影響を与えたことが理由です。