続く緊張、見えぬ敗北宣言  トランプ陣営、法廷戦術へ

2020年11月5日

大統領選は共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領が激しく競り合い、トランプ氏陣営が法廷戦術を繰り出すなど緊張が続く。

大統領選では劣勢の候補が国民向けに敗北宣言をして決着を図るのが慣例となっているが、今回はどちらも譲る気配を見せず、敗北宣言をするかも不明。

「潔き不文律」の行方が注目される。
 

米国では、大統領選に絡む暴動や略奪への懸念から窓を板で覆う店が目立つ。

11月4日にはホワイトハウス周辺で、親トランプ氏の極右組織「プラウド・ボーイズ」のメンバーを自称する男女3人が刺される事件が起きるなど険悪な空気が広がる。

候補が自発的に敗北を認める行為は、支持者の不満や怒りをなだめて平和的に政治手続きを進めることにつながり、選挙戦を通じて膨らんだ党派対立に区切りを付ける効果もあるとされてきた。
 

敗北宣言は法律で規定されているわけではない。

1896年の選挙で敗れたウィリアム・J・ブライアン (民主) が相手のウィリアム・マッキンリー (共和) に祝意を伝える電報を送ったのが始まりだとされる。

これが伝統になり、勝者だけでなく、敗者の振る舞いにも視線が注がれてきた。
 

共和党のジョージ・W・ブッシュ (当時テキサス州知事) と民主党のアル・ゴア (当時副大統領) による2000年の選挙は、司法判断に持ち込まれて決着に5週間を要する歴史的な迷走となった。

国民の不信が広がり、連邦最高裁はフロリダ州での手集計再開を否定し、ゴア氏は法廷闘争の継続を断念。

「連邦最高裁の決定には強く反対するが、受け入れる。国民の結束と民主主義のために敗北を認める」と宣言し、党派対立に疲れた国民に感銘を与えた。
 

米主要政党で初の女性大統領候補として2016年の選挙を戦った民主党のヒラリー・クリントン (前国務長官) は、勝利したトランプに「全国民のための素晴らしい大統領になってくれることを願っている」と言葉を贈った。

無念さを押し殺すように気丈に語ったのは記憶に新しい。


(2020年11月16日号掲載)