G・オーウェル著『1984年』 が突如人気

G・オーウェル著『1984年』 が突如人気

独裁国家の恐怖小説、新政権発足後に

2017年1月26日

© 1984 / Penguin Classics; New Ed edition

監視国家の恐怖を描いた英作家ジョージ・オーウェルの近未来小説『1984年』 が米国内で突如、人気になっている。

1月25日時点のインターネット通販大手アマゾン・コムでも、売れ筋ランキングで1位に。

批判的なメディアなどを敵視するトランプ政権の発足が影響しているとみられる。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、トランプ大統領が就任した1月20日以降、『1984年』の売り上げは9,500%増に。

出版社は既に75,000部を増刷したが、追加発注も検討しているという。

『1984年』 では、独裁国家が新しい言語「ニュー・スピーク」を強い、歴史を改竄 (ざん) し、国民の論理的な思考を封じる様子が描かれている。

スパイサー大統領報道官は、2009年のオバマ前大統領の就任式と比較して大幅に少なかったとみられるトランプ氏の就任式の人出が「過去最高」だったと主張。

スパイサー氏は批判を受けたが、この主張を「オルタナティブ・ファクト (もう一つの事実)」と擁護したコンウェー大統領顧問の発言が、『1984年』の内容を想起させるとの指摘が相次いでいる。


(2017年2月16日号掲載)