カナダへ不法越境する移民急増
米国に失望、トランプ政権に不安感
2017年5月1日
米国からカナダへ不法越境する移民が急増している。
イスラム教徒やヒスパニック系移民に対するトランプ政権の厳しい政策への不安感が背景にあるようだ。
難民の支援体制が整い、移民も積極的に受け入れてきたカナダ。
しかし、受け入れを制限すべきだとの声も強まっている。
米国からの不法入国は大統領選があった昨年秋から増え続け、1月は315人、3月には887人に上った。
トランプ大統領は就任後にイスラム諸国からの入国制限を打ち出した。
ニューヨークのイスラム教指導者団体役員は「彼らは『米国で迫害され、市民権も得られない』との危機感を強め、すがる思いでカナダを目指している」と心境を代弁する。
カナダ側の小都市シャンプレーンの国境前では警官が24時間張り込む。
越境すればその場で逮捕だ。
それでも難民申請をすれば多くの場合釈放され、審査中はカナダ政府の生活支援が受けられる。
警官が不法越境した子供に笑顔で接している様子が報道されると、越境者はさらに増えた。
難民認定に詳しいカナダの弁護士は「母国で深刻な危険にさらされ、米国でも行き場を失った人々を受け入れるカナダを誇りに思う」と胸を張る。
(2017年5月16日号掲載)