声上げる米女子、2連覇
サッカーW杯、大統領激怒
2019年7月7日
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サッカーの女子ワールドカップ (W杯) フランス大会で、米国は7月7日、連覇を懸けてオランダとの決勝戦に臨み、2-0 で勝利を収めた。
米代表選手たちは男女の賃金格差是正や性的少数者 (LGBT) の権利擁護などを訴えて社会に一石を投じ、「政治的なアスリート」 (米作家) としても注目を集める。
トランプ政権も批判し、決勝で先制ゴールを決めて大会最優秀選手に選ばれたラピノー選手 (34 /*写真中央) は、優勝して招待されてもホワイトハウスには行かないと話していた。
「語る前に、まず優勝すべきだ!」とトランプ大統領を激怒させたほどだ。
ラピノー選手は自ら同性愛を公言し、白人だが人種差別に抗議する黒人アスリートにいち早く賛同した「社会正義を目指す活動家」 (CNN-TV) だ。
米社会の分断を煽 (あお) るトランプ氏への不満を隠さない。
反発したトランプ氏は即座に「国やホワイトハウス、国旗に敬意を払うべきだ」と攻撃したが、チームメートたちが「弱者に厳しいトランプ政権は支持できない」と加勢。
ラピノー選手は大会開催中の7月3日、「私は徹底的に米国人だ」と語り、トランプ氏とは異なる形で母国を大切に考えるからこそ発言していると強調した。
女子米国代表の選手28人は大会前の3月、男子選手との賃金格差が性差別に当たるとして、米サッカー連盟を提訴した。
エースのモーガン選手 (30) は「同点ゴール」と「平等をもたらす人」などを意味する「イコライザー」の見出しでタイム誌の表紙を飾る「時の人」にもなった。
「アスリートはスポーツに集中しろと言う人がいるのは分かっている。でも、私たちはそれ以上の存在」と同誌に強い自負心を明かしたモーガン選手。
「私たちはアスリートであると同時に社会のお手本。次の世代のために道を切り開かないといけない」と語った。
トランプ大統領は7日、連覇を果たした米国代表チームに「米国は君たち全員を誇りに思う!」とツイッターで祝意を表明した。
しかし、チームをホワイトハウスに招待するかどうかについては、記者団に「まだ考えていない」と語った。
トランプ氏は「勝っても負けても招待してやる。国やホワイトハウス、国旗に敬意を払うべきだ」と、ツイッターで怒りをぶちまけていたが、姿勢を後退させた形だ。
トランプ氏は男女の賃金格差是正の訴えについて、記者団に「W杯以外での集客を見る必要がある」などと述べ、慎重な姿勢を見せた。
(2019年8月1日号掲載)