2023年3月18日
ニューヨーク・タイムズ紙は3月16日、新型コロナウイルス感染拡大の起源をめぐり、国際的な研究者チームが中国湖北省・武漢の市場で取引されていたタヌキとの関連の可能性を示す新たな遺伝子データを確認したと報じた。
タヌキから人に感染したことを直接示すものではないが、起源の議論に一石を投じるとしている。
2月には、米エネルギー省が確度は不十分ながら武漢のウイルス研究所から流出した「可能性が高い」との分析結果をまとめたと報じられ、研究所流出説への関心が高まった。
新たなデータにより、市場から感染が拡大した可能性にも再び注目が集まりそうだ。
NY・タイムズ紙によると、米国やオーストラリアの研究チームが3月、中国の研究者らが国際的な遺伝子データベースに登録した標本のデータを分析。
この標本は2020年1月に閉鎖された武漢の市場の壁、床、籠 (かご)、荷台の表面を綿棒で擦 (こす) って採取された。
荷台から採取した標本に新型コロナウイルスとタヌキの核酸が揃って含まれていた。
研究チームがデータを登録した中国の研究者らに連絡すると、データベースから削除されたという。
チームの研究結果はまだ公表されていない。
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日本は新型コロナウイルス対策のマスク着用ルールが緩和され、3月13日から脱マスクの日常が始まった。
中央省庁でマスクを外して仕事をする職員の姿が見られたが、ビジネス街やレジャー施設ではマスク姿で行き交う人が多く、初日は様子見での始動となった。
また日本では、新型コロナの感染症法上の位置付けが5月8日から季節性インフルエンザと同じ5類になる。
日本政府はこれまで屋内で着用を推奨していたが「着用は個人の判断に委ねる」と方針を転換した。
通勤ラッシュや医療機関を訪問する時など、感染リスクが高い状況では引き続き着用を推奨している。
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厚生労働省の専門部会は3月10日、新型コロナウイルスワクチン接種後に42歳の女性が亡くなった事例について、「ワクチンとの因果関係が否定できない」と評価した専門家の報告を了承した。
約2,000件ある新型コロナワクチン接種後の死亡報告で、因果関係が否定できないとされたのは初めて。
部会は、接種体制に影響を与える重大な懸念とは認められないとして、接種を続けることを了承した。
資料によると、愛知県愛西市在住とみられる女性が昨年11月5日にファイザー製のオミクロン株派生型「BA・5」対応ワクチンの接種を受けた。
接種の約5分後から徐々に体調が悪化し、約15分後に呼吸が停止、1時間40分後に死亡が確認された。
女性にはスギなどに対するアレルギーの体質があった。
ワクチン接種に伴う重いアレルギー反応のアナフィラキシーの疑いについて、専門家は「評価できない」とした。
女性は高度肥満や高血圧、糖尿病だったが、画像検査では死亡につながる具体的な異常は見つからなかった。
解剖はできなかったものの、接種直後に発症し、急死したことなどから「ワクチン接種と死亡との直接的因果関係は否定できない」と結論づけた。
専門家は今回、副反応疑い報告制度に基づいて医学、薬学的な観点から因果関係を評価した。
健康被害に対し金銭を支給する救済制度とは因果関係の判断が異なる場合がある。
(2023年4月1日号掲載)