窒息時の応急処置(その2) Choking =小児編= (2017.6.1)
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金 一東
日本クリニック・サンディエゴ院長 日本クリニック医師。 神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。 その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。 ご質問、ご連絡はこちらまで
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窒息時の応急処置(その2)
Choking =小児編=
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今回は小児に対する窒息時の応急処置についてですが、実は1歳以上の子供は大人と同じように対処します。
1歳以上の子供の窒息時の応急処置
<背中を5回たたく>
子供をやや前かがみにさせ、手のひらで背中 (左右の肩甲骨の間) を5回たたきます。
この方法で効果がなければ、次のハイムリッヒ法に進みます。
<腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)>
- まず窒息している子供の背後に立って、後ろから両手をその子供のお腹に回します。
- それから片手を握り、親指の側をへそとみぞおちの間くらいに置き、反対の手をその上に重ねます。
- それでお腹を持ち上げる方向に強く早く圧迫します (5回)。ただし、子供を持ち上げるくらい強く圧迫しないようにしてください。
以上の方法で効果がなければ、再び背中を5回たたき、そしてハイムリッヒ法というように繰り返し行ってください。
1歳以下の子供の窒息
1歳以下の子供の窒息の原因になる物としては、小さな物で、ボタン、コイン、風船、おもちゃの部品、腕時計用の電池などです。
完全に気管支が閉塞してしまうと、緊急処置が必要になります。
1歳以下の子供の窒息の徴候
大人と違って、のどの辺りをつかむような行為はしませんが、皮膚の色が青くなる、呼吸が苦しそう (みぞおちや肋骨間の胸の表面が呼吸のたびにへこむ)、意識がもうろうとなる、声がでない、泣くことができない、ぐったりする、などの徴候を呈します。
1歳以下の子供の窒息時の応急処置
- 自分の前腕に赤ちゃんをうつ伏せに寝かせ、大腿で支える。赤ちゃんの胸を手で支えると同時に、あごを指で支える。赤ちゃんの頭を体より下にする。
- 反対の手のひらで、赤ちゃんの背中 (左右の肩甲骨の間) を5回たたきます。
- =5回たたいても、詰まった物が出てこない時は、赤ちゃんを仰向け (あおむけ) にし、赤ちゃんの体と頭を片手で支えます。反対の手の2本指を赤ちゃんの胸の真ん中 (胸骨の上) に置き、胸を5回圧迫します。この時、胸の3分の1か2分の1の深さまで圧迫します。
- これでも詰まった物が出ない時は、また赤ちゃんをうつ伏せにして、背中をたたく行為を5回します。以上の処置を、詰まった物が出てくるか、赤ちゃんの意識がなくなるまで繰り返します。
<赤ちゃんの意識がなくなった時>
- 大声で助けを求める。
- 赤ちゃんのCPR (心肺蘇生法)を行う。救急車を要請する。
- もし、詰まった物が見える場合はそれを取り出します。
<やってはいけないこと>
- 強く咳をしている時や激しく泣いている時は、上述の応急処置を行ってはいけません。強い咳や激しく泣いて、詰まっている物が外へ出てくることがあるからです。
- 赤ちゃんが意識のはっきりしている時は、詰まった物を取り出そうとしてはいけません。
- 赤ちゃんに意識のない時は、上述の窒息の応急処置を行ってはいけません。すぐにCPR (心肺蘇生法) を行ってください。
子供の窒息の予防
3歳以下の子供に、風船や、小さな部品が取れてしまう可能性のあるおもちゃをあげないようにしてください。
乳幼児の近くに、風船、ポップコーン、コイン、ぶどう、ナッツ類、その他小さな物を置いていたり、与えないでください。
食べながらハイハイしたり、歩いたり、走ったりしないようにしてください。
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この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。 |
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(2017年6月1日号掲載) |