食事の仕方 (Dietary Guidelines) (2012.5.1)

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dr kim new 金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


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食事の仕方
(Dietary Guidelines) 

健康増進と病気予防のために

誤った食事と運動不足は、肥満、心血管系の病気 (心筋梗塞、脳梗塞など)、高血圧、2型糖尿病、骨粗しょう症、がんなどの原因になります。

一般のアメリカ人もアメリカ在住の私たちも、食事内容には多くの共通点があります。

摂取する塩分が多い、固形脂肪 (固形脂) からのカロリーが多い、糖分の摂取が多い、精白された穀物をよく食べる——などです。

健康的な食事とは、塩分、固形脂肪、砂糖、精白された穀物の摂取量を下げ、野菜、果物、豆類、全粒穀物、無脂肪または低脂肪のミルクとヨーグルト、シーフード、ナッツ類と種子の摂取を多くします。

以下は、アメリカの政府機関が発行した食事のガイドラインに沿った食事の指南です。
 

 

 

摂取を抑えた方がいい栄養素

▽ナトリウム

ナトリウム (食塩=塩化ナトリウムの成分) は体に必要ですが、取り過ぎると高血圧の原因になります。ソーセージやハムなどの加工食品に多く含まれるので、なるべく新鮮な食品を摂取します。

ナトリウムの1日摂取量は2.3グラム (食塩量に換算して5.8グラム) 以下にします。

50歳以上の人、糖尿病、高血圧、慢性腎臓病のある人は1.5グラム (食塩量としては3.6グラム) 以下です。

 

▽脂肪

脂肪は必須脂肪酸 (体内で生成できない脂肪酸) を供給し、ビタミンA、D、E、Kの吸収を助けます。

しかし、摂取量が多すぎたり、脂肪の種類によっては肥満や他の生活習慣病の原因になります。

脂肪は脂肪酸 (fatty acids) で構成され、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸 (単価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸) が含まれています。

動物性脂肪は飽和脂肪酸を多く含み、心血管系の疾患のリスクになります。

植物性脂肪は不飽和脂肪酸を多く含み、心血管系の疾患のリスクを下げます。
 

  • トランス脂肪酸

    トランス脂肪酸 (trans fatty acids) は自然の食品にも含まれますが、油である不飽和脂肪酸を固形化することによって人工的にも生成されます。

    トランス脂肪酸を多く摂取すると悪玉コレステロールを増やし、心血管系の病気のリスクになります。

    トランス脂肪酸は、マーガリン (スティック状のもの)、スナック食品、肉、乳製品など含まれます。



     
  • コレステロール

    コレステロールは体に必要な栄養素ですが、体内で十分量生成されるので、食事で摂取する必要はありません。

    コレステロールは肉や卵など動物性食品に多く含まれています。

    心血管系の病気のリスクになるので、1日の摂取量は300mg以下に抑えます。

  • 固形脂肪

    飽和脂肪酸とトランス脂肪酸を含む脂肪は室温では固形状 (固形脂肪) で、心血管系の病気のリスクを上げるので、固形脂肪の摂取量を減らします。

    固形脂肪には、ココナツオイル、バター、牛肉の脂肪、ラード、スティック状のマーガリン、ショートニングなどがあります。

    ケーキ、ピザ、チーズ、ソーセージ、ベーコン、フレンチフライなどの食品に含まれます。

 

 

▽砂糖と添加糖分

糖分は、食品に添加されたり、加工食品に多く含まれます。

添加された糖分は、果物に含まれる果糖のように、特にそれ以外の栄養素を体に与えるわけではありません。

糖分はカロリー過多や虫歯のリスクになります。

添加糖分には、砂糖、コーンシロップ、メープルシロップ、フルクトース、デキストロースなどがあります。

添加糖分は、ソーダ類、ケーキ、クッキーなどに含まれています。
 

 

▽精白された穀物

穀物が精白されると、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが失われます。

精白された穀物を使った食品としては、白米、白食パン、ケーキ、クッキー、ドーナツ、ピザ、トーティラスなどがあります。
 

 

▽アルコール

アルコールは少量だと、心血管系の病気のリスクを下げたり、他の病気のリスクを下げますが、飲酒運転、事故、暴力沙汰、乳がんのリスクなります。

適量を超えるとアルコールによる健康の障害が著明になってきます。アルコールの適量は、1日当り、男性でコップ2ドリンク以内。

女性は1ドリンク以内です。
 

 

 

より多く摂取した方がよい栄養素

▽野菜と果物

野菜と果物には、葉酸、マグネシウム、カリウム、食物繊維、ビタミンA、C、Kなどいろいろな栄養素が含まれます。

野菜と果物の摂取は、多くの慢性疾患のリスクを下げたり、心血管系の疾患やある種のがんの予防になります。

野菜と果物には余計に添加されているものがなく、カロリーも低めです。

果物はなるべく新鮮なものがいいのですが、缶詰め、乾燥や冷凍果物でもかまいません。

ジュースは100%ジュースにします。

野菜の一種である豆類は、鉄分、亜鉛などの栄養素以外にタンパク質を豊富に含んでいるので、大事な食品です。
 

 

▽精白されていない穀物(全粒穀物)

全粒穀物は、鉄分、マグネシウム、セレニウム、ビタミンB群、食物繊維などを含んでいます。

全粒穀物を食べると、心血管系の疾患のリスクを下げます。

全粒穀物には、玄米、全粒粉のパン、全粒粉のシリアル、全粒のオートミルやライ麦などがあります。
 

 

▽ミルクと乳製品(栄養強化された豆乳も含む)

ミルクや乳製品には、カルシウム、ビタミンD、カリウムなどの栄養素が含まれています。

ミルクや乳製品の摂取は骨の健康を保ち、心血管系の病気、糖尿病、高血圧のリスクを下げます。

成人の場合、1日当り3カップの無脂肪または低脂肪 (1%) のミルク、ヨーグルトなどの乳製品が勧められています。
 

 

 

▽タンパク質

タンパク質は、シーフード、肉類、家禽類、卵、豆類、大豆製品、ナッツ類、種子、ミルク、乳製品などに含まれていますが、これらの食品にはビタミンB群、ビタミンE、鉄分、亜鉛、マグネシウムなども含まれています。

ピーナツや他のナッツ類は心血管系の疾患のリスクを下げますが、多く食べるとカロリー超過になります。
 

 

 

▽シーフード

魚、エビ、カニなどのシーフードにはオメガ3脂肪酸 (エイコサペンタエン酸=EPA、ドコサヘキサエン酸=DHA) が多く含まれています。

EPAとDAHの摂取は心疾患による死亡率を下げます。

EPAとDAHを多く含み、メチル水銀を少なく含むシーフードを摂取します。

サケ、アンチョビー、ニシン、イワシ、カキ、マス、サバ (ただし king mackerel を除く) などです。

また、オメガ3脂肪酸は、妊娠中や授乳中の女性が摂取すると、胎児や赤ちゃんの視力や認知能力の発達に良いとされています。

ただし、妊婦及び授乳中の女性は、アマダイ類、サメ、メカジキ、king mackerel (サバの一種) は避けた方がいいでしょう。

マグロは大丈夫ですが1週間に180グラム以下にします。
 

 

 

▽油

不飽和脂肪酸を含む脂肪は、室温では液体 (油) です。

油の摂取によって総コレステロールと悪玉コレステロール (LDL) は下がります。

油は自然には、オリーブ、ナッツ類、シーフードに含まれます。

また、キャノーラ、コーン、オリーブ、ピーナッツ、サフラワー、大豆、ひまわりなどの植物から抽出されます。

ココナツ油、ヤシ油は飽和脂肪酸を多く含みます。
 

 

 

▽カリウム

カリウムには血圧を下げる、腎結石のリスクを下げる、骨密度の低下を防ぐなどの効果があります。

腎臓病のある人やある種の薬を服用している人は、必要以上のカリウムが摂取できないので医師に相談をしてください。

カリウムは、野菜、くだもの、ミルク、乳製品に多く含まれます。
 

 

 

▽食物繊維

豆類、他の野菜、果物、全粒穀物、ナッツ類などにも含まれます。

食物繊維は便通を良くするだけでなく、心血管系の疾患、肥満、糖尿病などのリスクを下げます。
 

 

 

▽カルシウム

カルシウムは骨の健康のために必要です。

それ以外にも、神経の機能、血管の収縮と弛緩、筋肉の収縮に必要です。ミルクと乳製品に多く含まれます。

小魚などには多くのカルシウムが含まれますが、実際に体に吸収されるのは少量です。
 

 

 

▽ビタミンD

カルシウムと共に骨の健康に必要です。

特に高齢者の骨折のリスクを下げます。ミルク、ヨーグルト、シリアル、マーガリン、オレンジジュース、豆乳などに含まれます。
 

 

 

▽鉄分

妊娠可能年齢の女性、妊婦、授乳中の女性は特に鉄分が必要ですが、鉄分の多い食べもの、鉄分の吸収を助けるビタミンCの多く含まれた食べ物を摂取します。

鉄分の多い食べ物としては、脂肪の少ない肉、家禽 (かきん)、シーフードなどです。

ホワイトビーン、ホウレン草なども鉄分が豊富ですが、含まれている鉄分はノンヘム鉄で、少し吸収されにくくなっています。
 

 

 

▽葉酸

葉酸の摂取によって、先天的な神経管閉鎖障害が少なくなってきました。

妊娠可能年齢の女性は、1日当り400mcg、妊娠中の女性は600mcgの葉酸を摂取します。

葉酸の含まれた食品としては、豆類、オレンジ、オレンジジュース、濃緑野菜などがあります。
 

 

 

▽ビタミンB12

50歳以上の人は、食物に自然に含まれているビタミンB12の吸収が良くないことがあるので、ビタミンB12が含まれているシリアルやサプリメントを取ることが薦められています。

この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。過去の「アメリカ健康ノート」の記事は、私のウェブサイトwww.usjapanmed.com またはwww.dockim.com で読むことができます。
(2012年5月1日号掲載)

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