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dr kim new 金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。
その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


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胆石(Gallstones) 

胆石は人間ドックなどの腹部の超音波検査やCT検査で偶然発見されることが多く、ほとんどは無症状です。

無症状の間は治療は必要なく、上腹部痛などの症状を起こすようになると外科的な胆嚢 (たんのう) 摘出が必要になってきます。
 

 

 

胆嚢と胆石

胆石は、胆嚢内で形成されますが、胆嚢は西洋梨のような形をした袋で、肝臓の下の方に位置しています。

お腹で言えば、右側の上方で肋骨の下縁辺りにあります。

肝臓で作られた胆汁は、脂肪の消化を助ける働きがありますが、一旦胆嚢の中に貯められて濃縮されます。

そして、食事の際に胆嚢から排泄されて、胆嚢管・総胆管を通じて十二指腸である小腸に流れ出ます。
 

 

 

胆石の形成
 

胆石は胆汁から形成されますが、胆汁は、水分、コレステロール、脂肪、胆汁酸、タンパク質、それにビリルビンから構成されます。

胆汁酸は脂肪を分解し、ビリルビンは胆汁と便を黄色〜茶色の色に染めます。

もし、胆汁にコレステロール、胆汁酸やビリルビンが高度に濃縮されると結石を形成します。

胆石には、主に2つのタイプがあります。

コレステロール結石と、色素結石 (ビリルビンカルシウム結石) です。

コレステロール結石は黄緑色で、コレステロールが固くなってできたものです。

胆石の7〜8割はコレステロール結石で、日本人の間でも増えてきています。

色素結石は小さく濃厚な色です。

赤血球内にあるヘモグロビンが分解されてビリルビンになり、胆汁に含まれるわけですが、これにカルシウムが結合すると結石を形成します。

胆石は、胆汁内のコレステロールやビリルビンの濃度が高いという以外にも、胆嚢からの胆汁の排出が不完全な場合、胆嚢内の胆汁が濃縮され、胆石ができやすくなります。
 

胆石は砂のように小さく何百も存在することもあれば、ゴルフボール大の大きさになることもあります。

また、両方存在することもあります。
 

 

 

胆石のできやすい人
 

胆石ができやすいリスクとしては、女性、妊娠、避妊ピルやホルモン補充療法、胆石の家族歴、肥満、コレステロールや脂肪の摂取量が多い、食物繊維の低い食事、急速な体重減少、60歳以上、コレステロールを下げるある種の薬を服用している、糖尿病などがあります。
 

 

 

胆石による症状

胆石が胆嚢の出口や胆嚢管・総胆管に詰まると、胆汁の流れを止めてしまいます。

そして胆汁が流れなくなると、胆嚢、胆管、まれには肝臓に炎症が起こります。

また、総胆管とつながっている膵管 (膵臓からの管) の出口を塞いでしまうと膵炎を起こしてしまいます。

総胆管に胆石が長く詰まったままになっていると、胆嚢、総胆管、膵臓、肝臓に感染やダメージが起こります。

この感染は敗血症となり、命にかかわる重症な感染症になります。発熱、黄疸、持続性の痛みがあると要注意です。

胆石によるもっとも多い症状は実は無症状で、胆石保持者のほとんどの人には症状がありません。

症状が出るとしたら、上腹部痛、みぞおちの痛み、発熱、吐き気、嘔吐、寒気などです。

特に脂肪分の高い食事をした後に症状が出やすくなります。

痛みは腹部以外にも、上背部痛や右肩下の痛みなどがあります。腹痛は30分から数時間続きます。

合併症には、胆嚢炎、総胆管炎、膵炎、敗血症などがあります。
 

 

 

胆石の診断
 

胆石の診断には、まず腹部の超音波検査が使われますが、場合によっては、腹部の CT、シンチグラフィー (HIDAスキャン)、ERCPと呼ばれる内視鏡検査 (同時に総胆管に詰まった胆石を取ることができます)、MRI (MRCPという胆道系を見る検査が使われます)、血液検査などがあります。
 

 

 

胆石の治療
 

胆石があっても症状のない場合、治療は不要です。

胆石による腹痛 (胆石発作) がある場合、胆嚢摘出手術の適応になります。

現在では、ほとんどの胆嚢摘出手術は、ラパロスコピーという方法で行われます。

これは、お腹にいくつか小さな穴をあけ、内視鏡 (カメラ) を挿入し、モニターでお腹の中の状態を見ながら、他の穴から挿入した器具で胆嚢を摘出します。

従来のお腹を切開する手術法に比べて、入院期間が飛躍的に短くなりました。

アメリカでは手術当日1泊入院するだけです。

そして、数日家で過ごした後で普通の日常生活を送ることができます。

ただし、感染や重度の炎症などがある場合は従来の腹部切開による手術になります。

腹部切開による胆嚢摘出を受けた場合は、入院期間は3〜5日、その後も数週間は家での療養が必要です。

手術による合併症で一番多いのは胆管の損傷で、総胆管に傷がついた場合は胆汁が腹腔内に漏れ、手術後に痛みや感染を起こします。

軽度の損傷の場合は再手術が要らないですが、それ以上の場合は追加手術が必要になることがあります。

総胆管に胆石が詰まっている場合は、胆嚢摘出術の前に、胃腸科の専門医がERCPという方法で内視鏡によって胆石を除去します。
 

 

 

手術以外の方法
 

全身状態が悪く、外科的手術が受けられない場合、コレステロール胆石に対して胆石溶解療法があります。

これには、胆汁酸から作られた薬であるウルソデオキシコール酸を含む薬 (ursodiol =Actigall 商品名、chenodiol =Chenix 商品名) を使います。数か月から数年の治療期間が必要です。

両方の薬とも下痢の副作用があります。

chenodiol の場合は、一時的に血中コレステロールと肝臓酵素の値を高めることがあります。

胆石溶解療法は、治療期間が長い上、再発率も高いので第1選択の治療法ではありません。

直接胆嚢内にメチルテリブチルエーテル (methyl teri-butyl ether) という溶解剤を注射する方法があります。

1〜3日で胆石を溶解させる可能性がありますが、ただし小さな胆石の場合に限ります。

まだ実験的な方法です。

胆嚢摘出術を受けた後も、正常な生活が送れますが、肝臓で作られた胆汁を貯蔵する場所がなくなるので、胆汁は総胆管を通じて常時十二指腸に流れることになります。

下痢や腹痛などの合併症が起こることもあります。
 

 

 

胆石の予防
 

  • 食事を抜かない —— 食事を抜くと胆石ができやすくなるので、食事は毎日3度きちんと食べましょう。

     
  • 極端なダイエットはしない —— 体重は徐々に下げていきましょう。急激に体重を下げると胆石ができやすくなります。1週間で0.5キロから1キロ程度で体重を下げます。

     
  • 適正体重を守る —— 肥満は胆石ができやすくなります。

     
  • 食事の改善 —— コレステロール・飽和脂肪酸の含まれた食事 (肉、バターなど) を減らし、不飽和脂肪酸の多く含まれた食事 (魚、ナッツ類、オリーブ油など) や食物繊維を多く取るようにします。ビタミンC、Eやカルシウムの不足している人は、それらを補充するようにします。(ただし、それらのビタミンを必要以上に摂取しても胆石の予防になるという報告はありません)
この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。過去の「アメリカ健康ノート」の記事は、私のウェブサイトwww.usjapanmed.com またはwww.dockim.com で読むことができます。
(2012年9月1日号掲載)

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