kim top 
dr kim new 金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


ご質問、ご連絡はこちらまで

column line text932
 

夏の子供の健康 

夏になると、海や山へ出かけたり、野外活動の機会が多くなります。

気温は上昇し、日光に当たる時間も長くなります。

熱中症、日焼け、脱水、水の事故など、様々な病気や事故が多発するのも夏です。

夏を健康に過ごし、子供たちがのびのびと安全に遊べるように、夏の事故・病気について理解しておきましょう。
 

 

 

日焼け
 

夏になると日差しがきつくなり、紫外線の量が増加します。

紫外線は日焼けを起こすだけでなく、皮膚がんの原因にもなります。

特に小児の皮膚は紫外線に弱いので、しっかり紫外線から守るようにしましょう。

日焼け止めクリームは、UVA と UVB 両方に効果のあるもので、水の中に入っても大丈夫なもの (water resistant)、アレルギーの起こりにくいもの (hypoallergic)、匂いのないもの (fragrance-free) を選びます。

少なくとも SPF 15 から 30 以上のものを選びます。

日焼け止めクリームは外出する30分前に塗ります。

腕、足、顔など、部分ごとにしっかり塗り、顔を最後にします (子供は顔に塗られるのを嫌がることがあるので)。

外出している限り、最低2時間ごとに塗ります。

汗をかいたり、水に入ったりすると、その度ごとに塗ります。

曇りの日でも紫外線は降り注ぐので、日焼け止めクリームを使います。

他の対策としては、日光が最も強くなる午前10時から午後4時までの外出を控えたり、帽子、通気性のいい服、日傘、パラソル、サングラスなどを利用して直接日光が当たらないようにします。
 

 

 

虫刺され

夏は虫に咬まれやすい季節です。

蚊やダニなどに咬まれると、症状を起こすだけでなく、様々な病原菌を媒介して脳炎やライム病などの原因にもなります。

野外活動をする時は虫除けスプレーやクリームを使いますが、DEET または picardin の含まれた虫除け薬を使います。

ただし、DEET 30%以上のものは使わないでください。

スプレーは直接顔に噴霧しないで、一旦親の手に噴霧して、それを子供の顔に塗ってあげてください。

口の周り、目の周り、手に塗るのは避けてください。

子供の体内に入ると有害です。自然の成分でできた虫除けスプレーやクリームも存在しますが、効果は弱くなります。

そして自然のものだから安全とは限りません。

長袖の服やズボンの着用で虫刺されを予防する方法もあります。
 

 

 

熱中症
 

暑い日に外で長時間遊び、水分補給をしっかりしないと熱中症になることがあります。

熱中症は高温環境下において生じる様々な身体症状ですが、重症の場合は生命の危険性さえ出てきます。

外で遊ぶ時は水分を十分取り、何度も休憩をさせます。

例えば、15〜20分おきに休憩をさせて水分を与えます。

のどの渇き、足のひきつけ、疲れ、目まい、吐き気、嘔吐、頭痛、発熱などの症状が出た時は熱中症の可能性があります。

涼しい所に移動し (日陰で車のクーラーを使用するなど)、衣服をゆるめるか脱がせ、水分と塩分をあげ、それでも改善しない時は医療機関に連れて行ってください。

また、わずか数分でも子供を車の中に置いて出てはいけません。

日中では車の中の温度が急上昇する可能性があり、短時間の間に熱中症が進行する恐れがあります。
 

 

 

水の事故
 

毎年、830人以上の14歳以下の子供が水の事故で亡くなっています。

その水の事故のほとんどが5月から8月の間に起こっています。

自宅にプールのある人は、ゲートを作るなどして子供が1人でプールにアクセスできないようにしておきます。

子供をプールの傍や、プールで親の監視なく1人で遊ばせてはいけません。

例え子供が水泳の仕方を知っていても、溺れないわけではないのです。

泳げない子供が深いプールで遊ぶ時は、ライフジャケットを着せます。

湖、川などで遊ぶ時もライフジャケットを着せてあげてください。

浮き具の使用では溺水を予防できません。

4〜5歳になったら水泳教室などに通わせて、水泳の仕方を習わせましょう。

また、子供のいる親は、この機会に心肺蘇生 (CPR) の講習を受けてみましょう。

Red Cross (赤十字) で講習が受けられます。
 

 

 

食中毒
 

夏は食中毒を起こしやすい季節です。

牛肉、豚肉、鶏肉、卵などの生 (なま)やあまり火の通っていないもの、外に長時間置かれていた食べ物は要注意です。

食事の前に必ず手洗いをしましょう。

残り物はなるべく早く冷蔵庫に入れます。

果物、野菜はよく洗って与えます。

賞味期限の過ぎた食べ物はカビが生えてなくても捨てましょう。

生の貝類、デリーで作られたタマゴサラダ、ポテトサラダ、チキンサラダなどは要注意です。

キャンプなどの野外活動の際、山の水はどんなにきれいに見えても、そのまま子供に飲ませないでください。

寄生虫や細菌に汚染されている可能性もあります。

また、1歳未満の子供にはハチミツを与えるとボツリズムのリスクになります。

生の肉とそれ以外の食物 (果物、野菜、他のおかず) を扱うときは、共用の箸、フォーク、皿などを使わないでください。別々の箸などを使いましょう。

食中毒になると、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などの症状が出てきますが、血便、高熱、脱水、時間の経過と共に改善しない食中毒は小児科を受診してください。
 

 

 

花火による事故
 

花火による事故は夏に多く起こります。

1,800人以上の人が7月4日の独立記念日の前後に救急室を訪れていますが、その半分近くは15歳以下の小児です。

花火の事故では、やけど以外にも目の事故などがありますが、重症の場合は死の可能性も出てきます。

花火による事故を防ぐには、大人の監視下に行う、近くに水を入れたバケツを置いておくなどの方法がありますが、最善の方法は花火を使用しないということです。

因みに、サンディエゴ郡では花火を所持すること自体が違法ですので、気を付けてください。
 

 

 

事故の予防
 

自転車、子供用スクーター、ローラースケート、スケートボードなどを使って遊ぶ時は、ヘルメットを着用させてください。

また、ヘルメット以外の安全装具も着用させてあげてください。
 

 

 

トランポリンでの事故
 

毎年9万人以上の人がトランポリン関連の事故で救急室に行っています。

トランポリンの事故を防ぐには、一度に2人以上の子供を遊ばせない、子供に後方宙返りなどをさせない、6歳以下の子供に大きなトランポリンで遊ばせない — —などで対処します。
 

 

 

隠れん坊
 

子供が隠れん坊 (hide and seek) をして遊ぶ時、車のトランク、家具、古いクーラーなど、閉じこまれてしまう危険性のある場所で隠れないように指導しましょう。
 

 

 

食事
 

夏は食欲の下がる季節です。

暑いからといって、冷たいものばかり与えるのは健康には良くありません。

下痢、腹痛、食欲低下の原因になります。

夏でもバランスの良い食事を与え、特定の食品に偏らないようにしましょう。

この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。過去の「アメリカ健康ノート」の記事は、私のウェブサイトwww.usjapanmed.com またはwww.dockim.com で読むことができます。
(2012年7月1日号掲載)

​