2021年 12月 07日
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American Health アメリカ健康ノート

シェーグレン症候群 (Sjogren’s Syndrome)(2020.12.1)

 

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dr kim new     金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。
その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


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シェーグレン症候群

(Sjogren’s Syndrome)

       
       

シェーグレン症候群は、眼の乾燥 (ドライアイ) や口の乾燥 (ドライマウス) を主な症状とする病気で、自己免疫疾患の一つです。

自己免疫疾患とは、ウイルスなどと戦う体の免疫機構が誤って、自分の体の組織を攻撃してしまう病気で、シェーグレン症候群の場合は、涙腺や唾液腺などが標的になり、その結果、ドライアイやドライマウスを生じてしまうのです。

全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性硬化症など他の自己免疫疾患である膠原 (こうげん) 病と関係のあることがあります。




シェーグレン症候群の原因


前述したように、シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一つですが、はっきりした原因は分かっていません。

遺伝との関与も指摘され、家族内で発症する確率は約2%です。

40歳以上の女性に多い (男性の10倍) ことから女性ホルモンとの関係を示唆する専門家もいます。

いずれにせよ、何らかの感染をきっかけとして起こるのではないかと考えられています。


シェーグレン症候群は、他の自己免疫疾患である膠原病を伴うことが多く、例えば関節リウマチのある人は約20%の確率でシェーグレン症候群が合併しています。

シェーグレン症候群以外の膠原病のない場合は、原発性 (一次性) シェーグレン症候群、他の膠原病を伴っている場合は二次性シェーグレン症候群と分類されています。


シェーグレン症候群の場合は、最初に眼の分泌腺と口の唾液腺が影響を受けますが、関節、甲状腺、腎臓、肝臓、肺、神経など他の体の組織・臓器も影響を受けることがあります。




シェーグレン症候群の症状


ドライアイとドライマウスが最も一般的な症状ですが、それ以外に、目のかゆみや異物感、舌痛、唾液腺の腫れ、発語困難、飲み込み困難、鼻腔の乾燥、ドライスキン、発熱、皮疹、長期間の乾いた咳、レイノー現象 (手指が寒冷などで白くなる) などがあります。

口の乾燥は、口の中にいっぱい綿を入れたような感じで、眼の異物感は眼に砂が入っているようなゴロゴロした感じです。


他に、神経学的異常 集中力の低下、記憶の低下、頭痛、自律神経失調、味や匂いの変化、呼吸苦、胃の不快感、自己免疫性膵炎、肝機能異常、関節痛や関節の腫れ、膣の乾燥、長期の疲労感などが起こる可能性があります。


合併症としては、繰り返す副鼻腔炎、口内カンジダ症、関節炎、間質性肺炎、間質性腎炎、虫歯、視力の低下や視力障害、肺炎や気管支炎などの呼吸器系疾患、腎臓や肝臓の障害、リンパ腫、手足の感覚障害 (末梢神経炎)、自己免疫性肝炎、胆管炎、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群、腸運動異常、筋肉痛、血管炎、日光過敏などがあります。



シェーグレン症候群の診断


診断は、問診と診察以外に、血液検査で抗核抗体、リューマチ因子、抗SS-A抗体 (シェーグレン症候群の70%の人が陽性)、抗SS-B 抗体 (同40%が陽性) などを調べます。

眼科では涙量の測定 (シルマー試験) や角膜のダメージを調べる検査を、耳鼻科ではガムテスト (ガムを10分かんで唾液量を測定する)、サクソンテスト (綿を2分かんで唾液量を測定)、唾液腺の状態を調べる唾液腺造影、唾液腺シンチグラム、口唇の一部の組織を取って調べる生検などが行われます。




シェーグレン症候群の治療


根本的治療は存在しないので、症状の緩和が主な治療になります。

市販のドライアイ用の目薬や口の乾燥用の薬をまず試みますが、効果のない時は処方箋の薬を使います。

中程度から重症のドライアイがある場合は、眼の炎症を改善するのにサイクロスポリン (商品名:Restasis)、 リフィテグラスト (Xiidra) を使います。


口の乾燥には、唾液の分泌を増やすのにピロカルピン (Salagen)、 セビメリン (Evoxac) などの内服薬が使われます。

それらの薬によって涙が増えることもあります。

副作用としては、発汗、腹痛、ほてり、多尿などです。

関節炎がある時は、非ステロイド系消炎鎮痛薬を使い、口内のカンジダには抗真菌薬を使います。


免疫を抑制する薬としては、抗マラリア薬であるハイドロキシクロロキン (Plaquenil)、関節リウマチによく使われるメソトレキセート (Trexall)  があります。

それ以外には、アザチオプリン (Imuran)、マイコフェノレート (Cellcept)、ルフルノマイド (Arava)、サイクロスポリン (Restasis) などの薬もあります。

他に、生物製剤、低分子薬物などがあり、サイクロフォスファマイド (Cytoxan)、リツキシマブ (Rituxan) が使われます。

プレドニゾンなどのステロイドもよく使われる治療薬の一つです。


内服薬でも効果のないドライアイに対しては、鼻側にある涙点をプラグで閉じて、涙を排出しなくする方法や、手術によって涙点を閉鎖する方法があります。




日常気をつけること


ドライアイには市販のドライアイ用の目薬、人工涙液、潤滑液などを使います。

ドライマウスにはシュガーレスチューインガム、梅干やレモン味のキャンディなどで唾液の分泌を促したり、人工唾を利用します。

食事ごとに歯磨きやフロッシングをして虫歯の予防をします。

鼻腔の乾燥には生理食塩水の鼻スプレー、膣の乾燥には保湿剤や潤滑液を使用します。

乾燥肌がある場合は入浴時に熱いお風呂やシャワーを避けます。

入浴後にタオルで拭くときは体に優しく当てるようにして拭きます。入浴後、数分以内に保湿剤を塗ります。

食器洗いをする時はゴム手袋を使いましょう。

エアコンのエアーや風に直接あたるのを避け、外出時にはゴーグルを着用した方がいいかもしれません。

禁煙を心がけ、コーヒーやアルコールの摂取を控えましょう。

 
この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。
 
(2020年11月1日号掲載)