髄膜炎 Meningitis (2007.1.16)

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hamasaki_fece.jpg 浜崎美耶子

シャープ・ヘルスケア国際部スタッフ

シャープ・ヘルスケア国際部日本人コミュニティー・スペシャリスト。
上智大学英文科卒。ニューヨーク州イサカ・カレッジ大学院にて言語病理学で修士修得。その後も メリーランド大学、SDSUでオーディオロジー(聴能学)を勉強。
1990年以来7年間に渡って、日本からの医師、看護婦、その他のヘルスケアワーカーを対象にしたシャープ国際部主催の研修会の通訳、講師を務めた。


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髄膜炎 Meningitis
稀とはいえ、一刻を争う様な重病。学校、軍隊など、団体生活に入る前に予防注射を
髄膜炎は、主に、頭脳と脊椎を裏打ちする3つの層から成る膜に起きる炎症を言います。頭蓋骨を貫通する様な外傷や、術後、或いは長期間の入院生活後等に起こる事が多いのですが、その他、慢性の中耳炎や、副鼻腔炎等を起こすバクテリアが血流を通して脳に到着して髄膜を冒す場合もあります。それから、免疫無防 備の人や、慢性腎不全の人の場合にも髄膜炎を起こす原因となる事があります。


髄膜炎の原因

髄膜炎は、ウイルス性とバクテリア性と、はっきりと2つのタイプに分けられます。


A) ウイルス性:ウイルス性の髄膜炎は滅多に死に至る様な重病ではありませんが、バクテリア性のものに比べて、はるかに一般的です。この種の髄膜炎を起こすウイルスには様々なものがあり、咳やクシャミ等を通して人から人へ伝染します。汚染されたプールの水、下水、その他の不潔な環境によっても伝染する事があります。
ウイルス性の髄膜炎には抗生物質は効果がありません。時が来れば完治しますが、頭痛や倦怠感、気分の落ち込み等が完全によくなるまでには時間がかかるかも知れません。


B) バクテリア性:バクテリア性の髄膜炎は、稀ながらも、かかれば致命症となる可能性がある様な重症のものです。 バクテリアは咳やクシャミ、或いはキスをする等、被患者の肺や咽頭部からの分泌物に密接なコンタクトをする事によって伝染します。但し、バクテリアは体外 に一旦出てしまうと、長期間生存する事はできません。ですから、プール等でこの種のバクテリアを拾うという事はありません。

髄膜炎を起こすバクテリアは数多くありますが、大抵の場合、次の4つのカテゴリに分けられます。


  1. 髄膜炎菌 (meningococcus):人口の約5%が鼻咽頭喉 頭部に髄膜炎菌を保菌しており、クシャミや咳、或いはキス等の密接なコンタクトによって伝染します。でも、不思議な事に、全ての保菌者が髄膜炎にかかる訳 ではなく、極く少数の保菌者だけが髄膜炎にかかるのです。このバクテリアにより髄膜炎にかかる人は、大抵の場合、生後1年未満の赤ちゃんがほとんどです が、学校や軍隊などの狭い空間に多くの人が集まる所にも発生します。|

  2. 肺炎球菌 (pneumococcus):成人に起こる髄膜炎の一番一般的なのがこの肺炎球菌による髄膜炎です。リスクの高い人は、慢性の中耳炎、副鼻腔炎、脳外傷、髄膜炎の再発者や肺炎球菌による肺炎を患っている人です。

  3. B型連鎖球菌 (group B streptococcus):50才以上の人で、特に何か持病のある人の間では益々よく見られる様になった髄膜炎。また、新生児にも見られる。

  4. リステリア菌 (Listeria monocytogenes):新生児、妊婦、60才以上の人、または免疫無防備の人の間に、最近、よく見られる様になったもの。


髄膜炎の症状

  • 頭痛
  • 吐き気と嘔吐
  • 硬直した首
  • まぶしい光に耐えられない
  • 精神の混乱
  • 関節痛
  • 眠気がする
  • 引きつけ
  • 食欲がない
  • いらいらして気嫌が悪い

尚、小さな子供の場合は、コミュニケーションが難しいので、早期発見は困難ですが、髄膜炎の疑いがあれば一刻を争って医師に相談をしましょう。発見や治療が遅れると、精神薄弱や小児麻痺等の様な、取り返しのつかない大事に至る可能性があります。


髄膜炎の診断法


特に、髄膜炎の場合は、初期のうちに診断がなされ、直ちに治療を始める事が大切です。髄膜炎の診断は、大概の場合、脊椎を穿刺(せんし)する事によって脊椎中の液体のサンプルを取り出し、それを分析してバクテリアの種類をアイデンティファイします。


髄膜炎の治療法


髄膜炎には色々な種類があり、重症度も異なります。ですから、治療法は、炎症を起こす原因となっているバクテリアの種類にもよりますし、また、ウイルスが原因の場合には、バクテリア性のものとは全然治療法が異なってきます。

一般的に言って、バクテリア性の髄膜炎の場合には、診断が下りたら、直ちに抗生物質でもって治療をします。時によっては、患者と密接なコンタクトを持つ家 族や、その他の人にも抗生物質が処方される場合もあります。それに反して、髄膜炎がウイルス性と判断された場合には、抗生物質は効果がないので用いられま せん。


髄膜炎の予防


髄膜炎は現在のところ、アメリカではそれほど一般的ではないので、ワクチンは次の様なハイリスクの人たちにだけ薦められています。
  1. 脾臓のない子供
  2. 大学生
  3. 軍隊に入隊前の人
  4. アフリカの一部で髄膜炎の発生率が高い国々に旅行する人
  5. B型インフルエンザ菌と髄膜炎菌による髄膜炎にかかった子供の家族
(シャープ・ヘルスケアの健康ホームページから)

(2007年1月16日号掲載)