Thursday, 28 March 2024

日本人との結婚と永住権申請 (2014.8.16)

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吉原 今日子

yoshihara face米国カリフォルニア州弁護士

USDにて経営学修士(MBA)を取得。
その後、法学博士(JD)を取得。

会社の経営、組織体系、人材の重要性を常に念頭に置いた法的アドバイスを行います。カリフォルニア州弁護士会、米国移民法弁護士会所属。

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日本人との結婚と永住権申請

       

Q 私は7年前に仕事を通してグリーンカードを取得しました。

日本人女性との結婚を考えています。

永住権保持者との結婚によるグリーンカード申請には2〜3年かかると聞きました。

そこで、米国市民権の取得を考えているのですが、その申請方法について詳しく教えてください。

 

 

A 現在、グリーンカード保持者を通しての申請には、おっしゃる通り2〜3年かかっています。

2011年に申請をした方々の処理を移民局が行っている状況です。

あなたの市民権取得後の申請であれば、6か月ほどで日本人の方にグリーンカードを取得させることができます。

アメリカ市民権の申請資格として、まず永住権を取得してから5年を経過している必要があります。

期間満了の3か月前から申請を開始することができるので、永住権を取得してから4年9か月を経過していれば申請の開始が可能です。

条件の詳細は下記の通りです。

① 18歳以上であること。

② 過去5年間のうち半分以上をアメリカに滞在していること。

③ 過去5年間のうち、6か月以上連続してアメリカ国外に出ていないこと。

④ 申請3か月前にアメリカ国内に滞在していること。

⑤ 所得税を申告し、支払っていること。

⑥ 道徳に反する犯罪を起こしていないこと。

 

6か月以上1年未満の不在の場合は、米国における継続的な居住を放棄したとみなされ、市民権の取得に影響を及ぼす可能性があります。

申請者が米国で継続的に居住することを放棄していないという客観的な証拠を提出することで、申請が認められる余地があります。

しかし、この立証責任は申請者にあるため、特に最近は審査が非常に厳しくなりました。

このカテゴリーに入るケースの場合、申請書に説明や証拠書類が添付されていないと、申請書自体が審査に入る前に送り返される傾向にあります。

1年以上米国を不在にした場合は、市民権を申請する条件としての継続的な米国での居住条件を満たさないとみなされます。

軽犯罪の中で却下の対象 (その可能性がある) となるのは、ドメスティック・バイオレンスと道徳に反する犯罪 (Crime Involving Moral Turpitude) の2つです。

ドメスティック ・バイオレンスとは夫婦 (離婚後の前夫 ・妻を含む) 間、あるいは恋人間の暴力行為を言います。

また、道徳に反する犯罪には、麻薬に関する犯罪 (Controlled Substances)、詐欺 (Fraud)、窃盗 (Theft)、及び暴力に関する犯罪 (Crime of Violence) などが含まれます。

従って、飲酒運転等の犯罪歴があったとしても、裁判所から下された条件を満たしていれば、それを証明することにより、ほとんどの場合は市民権を取得できます。

申請は、書類「N-400」 を記入して移民局に提出し、指紋採取を行った後、 インタビューと筆記テスト (口述試験の場合もあり) を受けます。

インタビューでは会話能力が測られ、ビザ関連の資料について質問されるほか、筆記テストで英語の読み・書き能力が測られる場合もあります。

また、米国の歴史・政治に関する基礎知識が試されるテストも行われます。

難易度はアメリカの小学校4年生程度です。

口述か筆記のどちらかで行われ、通常6割以上正解で合格です。

出題される問題はほとんど決まっていますので、事前に勉強しておくことをお勧めします。

移民局のサイトにある例題100問に加え、アメリカ大統領、副大統領、カリフォルニア州知事、 カリフォルニア州選出の連邦上院議員2人の名前がよく聞かれます。

また、「日本とアメリカが戦争した場合、どちらを守るか?」 といった興味深い質問が出題されることもあります。

なお、インタビューの際に通訳を付けることができますが、以下の条件が必要です。

・ 身体の障害を証明できる

・ 50歳以上で、合法的な永住権保持者として20年以上米国内に居住

・ 55歳以上で、合法的な永住権保持者として15年以上米国内に居住

・ 65歳以上で、合法的な永住権保持者として20年以上米国内に居住

 

合否はその場で知らされ、合格者には宣誓式の通知が郵送されます。

通常、インタビュー後の1~2か月で宣誓式となります。

指定日に指定会場で宣誓式に出席します。

会場では、アメリカの国家に関するビデオを観た後で宣誓式を行い、終了前に帰化証明書が配布されて米国市民となります。

 

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものです。各ケースのアドバイスは必ず弁護士及び専門機関にご相談下さい。

(2014年8月16日号掲載)

     

 

 

 

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