B-1ビザ (2015.6.16)

yoshiwara new
吉原 今日子

yoshihara face米国カリフォルニア州弁護士

USDにて経営学修士(MBA)を取得。
その後、法学博士(JD)を取得。

会社の経営、組織体系、人材の重要性を常に念頭に置いた法的アドバイスを行います。カリフォルニア州弁護士会、米国移民法弁護士会所属。

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B-1ビザ

       

Q 私は、主にアメリカから輸入した車を日本の会社で販売しています。

 

取引先との買い付けや商談などのため、アメリカに頻繁に来ていることから、今回の入国の際、審査官から次回は半年以上間を置くか、別のビザを取るように忠告を受けました。

 

米国内に会社を設立すれば、駐在員用のビザが取れるという話は聞きましたが、今のところ、そこまでの経費を使う必要性もなく、また取引先がアメリカの多州にまたがっているので、1か所に会社を設立するのも合理的ではありません。良い方法はないでしょうか。

 

 

 

A 基本的に、観光目的の渡米の際に使用する「ESTA(Electronic System for Travel Authorization)」に登録をして、ビザ免除 (Visa Waiver) で入国するならば、米国内で給与を得ないことを条件として短期の商用目的で出入国することができます。

 

しかし、米国内で雇用されていない場合であっても、米国に頻繁に渡航するのであれば、この「ESTA」 登録は適していません。 

 

あなたの場合、「L」 ビザや「E」 ビザの申請は将来的な計画の中に入れておき、しばらくは「B-1(Temporary Business Visitor)」ビザ、いわゆる商用ビザの申請を試みるのが得策であると思います。

 

「B-1」ビザを使用して、米国内で雇用関係に基づく就労に従事することは禁じられていますが、商談や契約を結ぶこと、また商品の買い付けや市場調査、コンファレンスの参加、訴訟手続き、短期研修などは行うことができます。 

 

「B-1」 ビザの申請には、在日米国大使館か領事館で「DS-160(Non immigration Visa Application)」を提出して申請します。

 

また「L」ビザのように、在日米国大使館や領事館への申請前に米移民局から認可を得る必要がありません。

 

「B-1」ビザを取得するには、次の全5項目を満たす必要があります。 

 

  1. 申請者が米国内で一定の限られた期間のみ滞在すること 
  2. 滞在期間終了後、米国を離れる意志があること
  3. 米国滞在期間中、母国での居住地を維持し、それを放棄する意志のないこと
  4. 米国への旅費や滞在費、および母国への帰国のための費用が十分に準備されていること
  5. 米国内で該当事業に合理的に関連した活動のみを行うこと

 

 

これらの内容は会社からの手紙で説明されるのが一般的です。

 

ただし、申請者の会社が小規模の場合は、大企業に比べて上記の内容に、より詳細な説明が求められます。 

 

一般的に 「B-1」 ビザは10 年間有効です。

 

また、1回の滞在期間が最大90日のビザ免除入国に比べ、「B-1」 ビザはそれよりも長い、通常6か月までの滞在資格が与えられます。

 

さらに、延長やステータスの変更ができないビザ免除に対し、「B-1」 ビザはそれらが米国内で可能であることが利点と言えます。

 

例えば、米国内でのビジネスが拡大して支店を持ち、さらに収入を得る必要が出てきたような場合や、滞在日数が合計で1年の半分以上になるような場合に、米国内にて「B-1」ビザから「L」ビザ、あるいは「E」ビザなどの他のステータスに変更申請を行うことができます。

 

「B-1」ビザの申請には、具体的かつ詳細な米国での滞在計画が必要です。

 

また、前述したように、滞在期間終了後に米国を離れる意志があることが問われますので、説得力のある説明が要求されます。

 

例えば、日本に家族がいるというだけでは説得力を欠き、日本に経済的な強い関係があること (あなたの場合、日本に会社があること) を説明した方が好ましいでしょう。

 

また、アメリカの取引先企業から Invitation Letter を書いてもらうのも申請の際の有効な材料になります。 

 

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものです。各ケースのアドバイスは必ず弁護士及び専門機関にご相談下さい。

(2015年6月16日号掲載)

     

 

 

 

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