Thursday, 28 March 2024

Immigration Law 移民法豆知識

技術者のアメリカ赴任 (2012.3.16)

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ishinabe_face.gif 石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として10 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、5 年前に独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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技術者のアメリカ赴任

Q. 7年の経験を持つシニアエンジニアを、本社から当社、日系会社のアメリカ法人へ赴任させることが決まりましたが、ビザを取得できるかが心配です。

技術系には L-1B ビザがあったと思いますが、最近ビザの審査が厳しいと聞いていますので、実情を教えてください。
 

 

A.  確かに「特別な知識を持つ専門職」者を対象とした L-1B ビザがありますが、最近は移民局で請願審査の基準が非常に高くなっており、社内や同業者でも特別視されるような、特殊あるいは特別な知識や技術を持ち合わせており、社内でも特別な地位に就いているということが立証できなければなりません。

請願が却下されたり、膨大な量の追加質問を受け、それらの質問状に対応する代わりに請願者 (雇用者) が自主的に請願をキャンセルするケースも多いことが報告されています。

そのような現状を考えれば、他のビザが可能なら、そちらを使うべきでしょう。

該当者はエンジニアということですが、理系の大卒の方であれば、ポジションと専攻分野が一致していれば、まず H-1B がお勧めです。

ただし、現在 H-1B の年間発行数が定員に達しており、次年度分ビザのための請願受付は4月2日から始まりますが、承認されても、有効期間は10月1日からとなります。

新規請願は3年間有効で、その後、さらに3年の延長が可能です。

10月まで赴任を延ばせないという場合、この方は部下監督責任や、部署の責任を任されているでしょうか。

そうであれば、L-1A (マネージャーまたはエグゼクティブ) の条件を満たしている可能性があります。

日本では管理職として扱われていないとしても、上記が該当すれば、移民法で定義するところのマネージャーと解釈される可能性があります。

L-1A の請願でも、マネージャーの解釈をめぐって、本社での経験または赴任後の職務がマネージャーレベルであるかどうかを立証することは、確かに以前よりは審査が厳しくなっていますが、L-1B ほどではありません。

組織図や詳細な職務の説明、部下のリストなどにより、移民局を説得することは可能です。

L-1A ビザでは新規申請で3年間、その後2年ずつの延長が2回可能で、合計7年間の赴任期間をカバーすることができます。

また、マネージャーレベルであれば、さらに可能性として、E-2 ビザもあります。

過去にアメリカ大使館または領事館で、他の社員がEビザの発給を受けている場合は、Eビザ申請企業としての企業登録がまだ有効な可能性があります。

そうであれば、個人申請用紙の他に、必要事項をサポートレターでしっかり説明すればよく、あとは面接で基本的な質問に答えていただくだけです (ビザ申請のシステムが3月末にリニューアルされるため、現在、面接予約が取りにくくなっています。3月23日以降のビザ面接については、新システムで3月23日以降に申請料を振り込んでからでないと予約を取れません。従って、新システム起動後も、4月中はアクセスが集中してシステムエラーが出たり、サイトにつながらないなどの不具合が生じる可能性があります)。

企業登録が失効している、またはこれから新規登録を行う場合は、企業が条件を満たしていることを立証する一連の書類が必要となりますが、会社資料および個人ビザ申請資料などを指定の順でバインダーに整理して大使館へ直接送付し、その後、通常約2週間で結果が大使館からファクスされますので、移民局の審査よりは速いと言えましょう。

条件が満たされていれば面接に出頭せよとの指示ですし、他に書類が必要であれば、その旨指定されます。

Eビザは5年間有効ですが、滞在期間は入国後2年間ですので、期限前に帰国&入国をし直すか、米国内で延長のための請願提出を忘れないようにしてください。

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2012年3月16日号掲載)

 

 

 

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永住者の急な帰任 (2012.1.16)

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ishinabe_face.gif 石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として10 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、5 年前に独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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永住者の急な帰任

Q. 私は会社のスポンサーで永住権を取得し、ここ数年アメリカに住んでいましたが、このたび本社へ帰任することになりました。

永住権をどう扱えばいいか教えてください。
 

 

A.  まず、永住権を維持したいのか、放棄した方がいいのか、ご自分の状況に則して考えてみてください。

アメリカ出国後、しばらくアメリカへ戻れないようであれば、とりあえずご帰任前に再入国許可証を申請しておく方が賢明でしょう(発行は申請後から約3〜4か月)。

逆に、ご帰任後も頻繁にアメリカへ来る用事があるのであれば、そのまま永住権を維持できるかもしれません。

ただ、3〜4か月に1度くらい渡米していても、滞在日数が少ないために入国審査でいろいろ質問されたり、警告に近いことを言われる場合もあります。

目安として、渡米の間隔が6か月以上になるのであれば、再入国許可証を取得しておく方がいいでしょう。

とはいえ、再入国許可証の手続きには指紋採取が必要ですので、ご出国予定日までに済ませることができなければ、一度帰国した後で、指紋採取のために再度渡米しなければならないことになります。

再入国許可証は通常、承認された日から2年間有効です。

ところで、これはグリーンカードを制限するものではありませんので、再入国許可証を申請して発行を待っている間、あるいは発行後の有効期間中も、渡米の機会があれば普通に入国できます。

また、その後一度更新することもできますが、再度指紋採取のための渡米が必要になります。

2度目以降の更新が可能であるかは個々のケースによります。

尚、再入国許可証の取得をせずに、ご出国期間が丸1年を超えると永住権を放棄したとみなされます。

ですから、今後の渡米の頻度、その後またアメリカへ永住者として居住する可能性があるかどうかなども合わせて、計画を立てることをお勧めします。

一方、永住権を持っていると、税法上は世界中のどこで得た収入でも、アメリカ税務局への申告義務があります。

税法協定により二重課税は避けられるはずですが、このような義務そのものが煩わしく、税率その他の理由からいっそのこと永住権を放棄したほうが余計なトラブルがなくてよい、と思われるかもしれません。
 

永住権を放棄するのは意外なほどに簡単です。

また、ご帰任後いつまでにという手続き上の締め切りはありません。

前述のように、1年以上アメリカに戻らなければ、放棄の手続きをしなくてもグリーンカードは使えなくなりますが、手続きをすることにより、状況をはっきりさせることができます。

大使館の公式サイトより、永住権放棄のためのI-407という2ページの簡単なフォームをダウンロードし、大使館で毎週金曜日の午前中 (8:30から12:00まで) に受け付けてもらえます。

予約は不要で、申請料はかかりません。

書類を提出する時に領事との簡単な面接があり、永住権の放棄が自分の自主的な意図によるものであることを確認され、グリーンカードを返上し、その日から永住民ではなくなります。
 

尚、将来再び永住権の申請をする機会が生じた場合、永住権を過去に認められ、その後放棄したことは記録としては残りますが、刑法上の理由による剥奪などと異なり、自主的な放棄がその後の取得に不利になることはありません。

また、永住権放棄後は他の一般旅行客と同じ扱いになりますので、過去に移民法のバイオレーションがなければ、ビザ免除により90日間の観光滞在が可能ですし、条件を満たしていれば就労ビザを取得することも可能です。 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2012年1月16日号掲載)

 

 

 

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グリーンカードの更新 (2011.11.16)

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ishinabe_face.gif     石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住20余年。

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グリーンカードの更新
       

Q. 私が持っているのは古いバージョンのグリーンカードです。

先日、一時帰国から戻った際に、空港で更新するように言われましたが、今から手続きをするとペナルティーがかかるのでしょうか。
 

 

A. 永住者のグリーンカードは、1989年8月から10年間の失効期限を持つようになりました。

それ以前のカードは期限なしです。

2007年8月に、移民局は一定の受付期間 (4か月) を設定し、これらの期限無しのカード保持者に再発行の手続きを義務付けようと仮法案を発表しましたが、諸事情により実現せず、結局昔のカードも、そのまま無期限で有効となっています。
 

今のところ、古バージョンのカード保持者は、適宜再発行手続きを行い、期限付きのカードを作り直してもらうこと —— となっていますが、期限はありませんので、いつ申し込んでもペナルティーがかかることはありません。
 

ただし、グリーンカード更新をお申し込みになると、面接等はありませんが、永住条件を維持している確認のために、再度指紋採取によるセキュリティーチェックが行われます。

飲酒運転 (DUI) による逮捕の経験などがあった場合、関連の法廷書類が必要になりますので、それらの書類を準備してからお申し込みになった方がいいでしょう。
 

 

 

Q. 最近のグリーンカードはデザインが変わったと聞きましたが。


A. 1989年以降、グリーンカードはデザインが何度か変わっており、その後「Alien Registration Receipt Card」というカードの名称は「Permanent Resident Card」となり、カードの色はピンクがかっていました。
 

昨年5月に大幅にリニューアルし、カードがその名の通り緑色になり、「アメリカ合衆国 パーマネントレジデント」と上部に大きくプリントされています。

裏にも保持者の縮小写真が入っており、全体的に多色刷りや透かし模様を取り入れ、偽造防止とデータ読み取りのために最新の技術が駆使されています。
 

 

 

Q. 期限付きのグリーンカードを持っており、来年更新ですが、これからしばらく帰国する予定です。日本で申し込みできるでしょうか。
 

 

A. グリーンカード更新は6か月前からお申し込みができますが、アメリカ国内で手続きを行うことになっています。

日本からでも、インターネットでの手続きによりお申し込みはできますが、その後、移民局指紋所で指紋採取に出頭しなければなりませんので、有効期間が残っていれば、アメリカへ戻ってから手続きをする方がお勧めです。
 

そうでなければ、指紋採取のために一度渡米していただくことになります。

グリーンカードのための指紋採取は米国外のアメリカ大使館などで行うことができません。

指紋採取には移民局が日時を指定してきますが、通知持参であれば、通常、指定日時以外でも、特に混雑していない限り受付けてもらうことができますので、当日の都合がつかない場合、再度指紋通知を発行してもらう必要はありません。
 

 

 

Q. インターネットでの申し込み方法を教えてください。


A. 移民局公式サイト (www.uscis.gov) から行うことができます。

インターネットでフォームを電子送信するためには、事前に無料登録でアカウントを作ります。

その後、更新のためのI-90のフォームを送信し、クレジットカードで申請料を払い込みます。
 

最後にレシート通知を必ずプリントしてください。

保管用に一部余分にプリントした後、レシート通知とグリーンカードのコピーを速やかに指定の住所に送付してください。

 

 
この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2011年11月16日号掲載)

     

 

 

 

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