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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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民権と市民権証書

       
 

Q 私は永住権保持者ですが、市民権を取ることを考えています。

ところで、市民権の申請書N-400のほかにN-600というフォームがあることに気付きました。

これは「市民権証書申し込み書」 と書いてあります。市民権を申請するには両方申し込まなければいけないのでしょうか?

それとも、市民権を取得した後で、市民権証書を別に申し込まなければいけないのでしょうか?

N-600は申請料が600ドルと高額なので、ちょっと心配です。

 

 

 

A 一言で言うなら、N-400は市民権を持たない市民権取得の条件を満たす永住者が、一定の手続きを経て新たにアメリカ市民になること、つまり帰化 (naturalization) するための手続きです。

N-600は、すでに法律上市民権を既に持っていると解釈されるべき人が、それを証明する書類が必要である場合に申し込んで発行してもらう、市民権を持っていることの証明書類です。

帰化手続きでは、申請後に指紋採取があり、その後面接を受け、面接時に口頭でアメリカの歴史、政治について所定の質問リストより数問が聞かれます。

また、英語力テストとしては、ごく初歩的 (中学1年生くらいのレベル?) な英語一文の書き取りがあります。

面接で承認されると、後日、集団宣誓式への招待状が届き、連邦裁判官の立会いのもとで宣誓が執り行われ、帰化が成立します。

宣誓当日まで、当事者は市民権取得のための居住条件等を満たしていなければならず、宣誓式の会場入り口でグリーンカードが回収され、宣誓式後、本人の写真とサインの入った市民権証書が配布されます。

この日から、申請者はアメリカ人となります。

一方、アメリカ市民権を生まれながらに持っている場合があります。

よく知られているのは、アメリカで出生した場合です。これは両親の国籍にかかわらず、また両親を通じて他の国籍を持っているかどうかにかかわらず、アメリカ国籍を自動的に持つ (出生地主義) ことになります。他にも、アメリカ国外で生まれたものの出生時からアメリカ人、もしくは出生後、一定の条件が満たされることによって自動的にアメリカ市民になったと解釈される場合があります。

これらには、親の片方がアメリカ人か、どちらがアメリカ人か、両方アメリカ人か、親と現在一緒にアメリカに住んでいるか、親が過去にアメリカに住んでいたか、いつ生まれたか (適用される法律が変わっているので)、現在18歳未満であるか、親が結婚しているかなど、いろいろな要素が影響するので、個々の状況を具体的に当てはめてみなければなりませんが、もし市民とされるのであれば、帰化ではなく、市民権証書を証拠として取り寄せることができます。

ただし、これには帰化手続きと同様、面接を含めて、約1年近くの審査期間が必要となります。

そこで、市民の条件を満たしているのであれば、直接アメリカのパスポートを申し込むという方法もあります。

この場合は通常のパスポート申請料を払えばよく、面接もありませんので、時間と費用の面で大きな節約になります。

とはいえ、申請者自身 (または保護者) が、本人がどのような状況でアメリカ市民になるのかを把握している必要があり、当然ながら、条件を満たしていると立証するための書類をすべて用意し、提出しなければなりません。

さらに、出生時にアメリカ市民であったという場合には、「アメリカ市民の海外出生の領事報告書」という書類を入手できます。

これは出生証明書であり、アメリカ市民権の証明でもありますが、国務省から発行されるものですので、発行にはやはり数か月ほどかかります。

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年9月16日号掲載)

     

 

 

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