Friday, 29 March 2024

Immigration Law 移民法豆知識

日本から行う永住権手続き (2015.3.16)

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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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日本から行う永住権手続き

       
 

Q 学生ビザで留学していましたが、このたびアメリカ人男性と結婚したので、永住権の申請をしようと思います。

でも、父の具合が悪いので、一度日本に帰って、少し落ち着いてからアメリカへ戻るつもりです。

その期間を永住権の手続きにも充てたいと思っています。日本で申請する方法を教えてください。

 

A 既に結婚して配偶者がいて、日本で手続きを行う場合には2つの方法があります。

① 永住するための書類審査を一通り受け、大使館で「移民ビザ」 をパスポートに発給してもらう。アメリカへ入国する際、空港窓口に規定の書類を提出し、指紋を採られて「移民」 としてアメリカへ入国する。それで手続きは終了。その後、グリーンカードが送られてくる。

② 「配偶者ビザ」 を申請し、アメリカへ入国したら、移民局を通してアジャストメントの手続きを行う。

これに対して、アメリカに既に在住していれば、そのまま国内でアジャストメントオブステータスという形で申請する場合もあり、このケースは初めに書類を全部移民局へ提出し、後は指紋採取、面接となります。

アジャストメントでは手続き中ずっと、そのまま配偶者とアメリカ国内に滞在を続けることになるので、速いと感じられるかもしれません。

さて、移民ビザを取る場合では、大まかに分けて、①移民局へ配偶者が移民請願提出、② 国務省へ手数料の払い込み、③移民ビザのオンライン申請、④経済力に関する書類と関連書類一式送付、⑤健康診断 —— という別々のステップを経て面接となりますので、要領よく書類の準備を進めないと、大変長い時間がかかってしまいます。

とはいえ、ビザの発給により、すべての審査を終える形になりますので、空港の入国審査で「移民用」の窓口へ行くほかはアメリカ国内での手続きはなく、入国したら即ち永住者ということになります。

ちなみに、移民ビザの手続きでは、①の移民請願の審査期間は約5か月、④の書類審査から面接通知が発行されるまでの期間は約60日です。

一方、配偶者ビザを申請する場合は、やはりアメリカ人配偶者が移民局へビザのための請願を出しますが、本人がアメリカへ入国してから永住審査を行うということが前提のビザなので、入国しただけでは永住者にはなりません。

この配偶者ビザ請願の審査期間も移民ビザ請願の審査期間とほぼ同じです。

配偶者ビザを発給してもらった場合は、その後、他の非移民ビザ保持者と同様に入国し、後日、移民局へアジャストメントオブステータスの書類を提出します。

 

 

Q カリフォルニア州内に住む姉がアメリカ市民権を持っていますが、両親をスポンサーしてアメリカへ呼ぶことはできるでしょうか?

 

A「スポンサーしてアメリカへ呼ぶ」 とは、永住権申請のことでしょうか。

この場合も配偶者のケースと同様、アメリカ市民の両親という家族関係に基づいて、日本で移民ビザを各自発給してもらう手続きを行うことができます。

お姉さまはそのままアメリカ在住で、アメリカの移民局へ父親と母親の移民請願を別々に提出します。

その後の手続きは配偶者の場合と同じです。配偶者の場合は結婚年数が2年未満だとテンポラリーのグリーンカード (条件付永住権) となりますが、親子関係の場合は初めから10年更新のグリーンカードとなります。

親子関係の場合は「配偶者ビザ」 のような、入国後にアメリカで永住手続きを行うための渡米ビザはありませんが、既にESTAにてアメリカに入国していて滞在期間が残っていれば、そのままアジャストメントオブステータスを申請する場合もあります。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年3月16日号掲載)

     

 

 

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再申請について (2015.1.16)

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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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再申請について

       
 

Q 市民権の手続きをしていましたが、“本番” が苦手な性格で、今回も面接で緊張しすぎてうまく回答できず、不合格になってしまいました。

再度申請をすることはできるでしょうか。

 

A 虚偽の申し立てなどの理由で却下された場合を除き、政府に関する口頭質問の部分での誤回答が理由であれば、再度申請することは問題ありませんし、再申請に時間を置く必要もありません。

手数料は同額が再度必要になりますし、二度目ということによる免除事項や優遇はありませんが、面接に一度失敗したことは全くハンデになりません。

極端な話、受かるまで何度でも受け直すことは可能です。

市民権面接というと緊張なさる方もいますが、「英語のテスト」にあたるものは、中学生英語程度のごく簡単な短い一文を書き取るだけです。

また、政府に関する質問については、移民局サイトに練習問題や出題範囲とされる過去問などの情報があります。

議会や政治の仕組みなどについての質問に関しては、答えを暗記してしまえばよいので、あらかじめ内容に目を通しておけば、とくに準備クラスを受講するほどのものでもありません。

 

 

Q 他の手続きに関しても、再申請は可能でしょうか。

 

A 状況にもよりますが、就労ビザあるいは企業スポンサーによる永住権申請のための移民局請願では、出願の条件を満たしていると思われるにもかかわらず、何らかの状況が審査の際に否定的に考慮され、承認を得られなかったという場合、出願内容を多少変えて再度申請するということは、よく行われます。

以前申請が行われたこと、却下されたことはデータとして移民局の記録に残っていますが、却下されたこと自体が直接不利になるということはありません。

控訴や再考慮を求めるという手続きもありますが、法的な解釈の違いではなく、明らかに当局の初歩的な手違いによる却下でない限り、必ずしも一度出た審査結果が覆される保証はなく、再審査の時間もかかってしまいますので、いっそのこと仕切り直しをした方が、別の審査官により新たに審査されますので、効率が良いし、結果が期待できます。

 

 

Q 日本から社員を赴任させたいのですが、ビザ手続きが難航するという噂を聞きますが。

 

A マキラドーラ形態の米国法人へのご赴任の場合、日々の業務が子会社であるメキシコ法人中心になっていることが多く、「米国法人の組織が小さすぎるため、職務がマネージャーのレベルに当たるとは思われない」 などの理由で却下されることがあります。

確かに、アメリカのビザである以上、ビジネスの実体がアメリカにあり、アメリカで職務を行うという申請目的が立証されなければなりません。

一方、日系企業間でのトランスファーで、LビザとEビザの双方の条件が満たされていれば、L-1請願で移民局からの承認が得られない場合、Eビザを直接大使館に申し込むということも可能です。

この場合、L-1請願の却下は 「過去のビザ発給申請却下の有無」というEビザ申請用紙の質問事項では「ない」に当たります。

また、その逆、つまりEビザ却下後にL-1請願というシナリオもあります。

Eビザと違って、大使館はLビザの発給条件の審査は行いません (それが移民局での請願審査にあたる) ので、一度Eビザが却下されていても、虚偽の疑いなどの特別な事情がない限り、移民局がL-1請願を承認すれば、Lビザスタンプの発給を大使館が拒否することはありません。

移民局へのL-1請願、大使館へのEビザ申請のどちらを先に行うかは、個々の状況により判断されます。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年1月16日号掲載)

     

 

 

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H-1Bビザ情報 (2014.11.16)

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米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

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H-1Bビザ情報

       
 

Q 来年4月に H-1ビザ申請を考えています。

抽選の有無について諸説があるようですが?

 

A H-1Bビザは、アメリカの会計年度が更新される10月1日から有効になりますが、6か月前に請願申請が受け付けられるので、4月1日が出願開始日となります。

過去には、定員がすぐに一杯になってしまうことから、初日に間違いなく受理されるべく、前日に移民局宛の大量の出願物が送達されることになり、特に西海岸地区では、フェデックス便輸送機に収まりきらないほど大量の移民局行きの翌日便書類が発生し、送達が遅れたとか、当日に移民局でも大量の郵便物受取りの対応に追われ、宅配業者、郵便局などの送達車両の長い列ができた —— などというエピソードもありました。

出願数が定員を超えた場合に抽選となりますが、2008年に163,000件を記録した後、2009〜2012年は不景気のため、H-1B雇用も減少し、一気にH-1Bビザが定員になるという現象はなくなったかのようで、8月くらいまで請願が受け付けられていました。

しかし、それはもう夢のような話です。

その後、景気が回復するとともに、IT技術者雇用のためにH-1B需要が急増し、移民局は再度、H-1B請願受付開始と同時に瞬時に定員到達となることを見越して、混乱と集中を防ぐため、請願の受付日を4月1日から5日間としましたが、昨年にはこの5日間に、何と124,000件ものH-1B請願が殺到したのです。

今年はさらに多くの出願があり、定員の2倍近く、172,500件にも及ぶ請願が提出されました。

 

 

Q 抽選にもれた場合、申請料は戻るのですか?

来年枠への優先制度などはありますか?

 

A 抽選で選ばれなかった請願は審査を受けませんので、そのまま、書類が丸ごと返却されます。

申請料のチェックも未処理のまま返還されます。

しかし、残念ながら、次年度申請が再び抽選になった場合に、優先的に審査されるということはありません。

 

Q H-1B申請者の内訳はわかりますか?

 

A 昨年度の統計データによりますと、昨年度は何と合計494,467件ものH-1B請願が申請されました。

これは、非営利団体や研究団体、政府機関などを申請者とするため、H-1B定員の対象外になっている場合や、ビザ延長のための請願を含みますので、明らかに85,000の定員を上回ります。

申請者の職種では、システムアナリスト、プログラマー、アプリケーションディベロッパー、他にコンピューター関係職、システムディベロッパーなど、IT系が上位5位で63%を占めていました。

続いて、会計士や監査士が4%、マネージメントアナリスト、ファイナンシャルアナリスト、と1桁 (けた) 台が続きます。

州別には、カリフォルニア州が断然トップで19%、次が意外にもテキサス州で9%、3位がニューヨーク州で8%、4位がニュージャージー州、5位がイリノイ州でした。

企業別では、1位がプライスウォーターハウスクーパース社で56,495件も獲得しています。

同社は会計・監査を中心とする大手国際総合コンサルティング事務所です。

次がコグニザントテクノロジーソルーションズ (54,738件)、デロイトコンサルティング (45,847件)、そしてワイプロ、タタコンサルタンシー、インフォシスと続きます (後者3社はインドのITコンサルティング会社)。

延長申請を含むとはいえ、このように一部の大手企業により大量のH-1B請願が提出されており、ビザが独占されていることを考えると、 個々の請願が微々たるものに思えてきますが、請願者の規模にかかわらず、抽選は無作為抽出により行われますので、あなたにも同様のチャンスがあります。

 
この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2014年11月16日号掲載)

     

 

 

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Eビザで転職 (2014.9.16)

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米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

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Eビザで転職

       

Q 3年ほど前に、日本の本社からマネージャーとして海外赴任することになり、サンディエゴにやって来ました。

ところが、最近経営が悪化しているのと、仕事の内容に不満があり、せっかくアメリカに来ているので、現地での転職を考えています。

Eビザはまだ2年分残っています。

Hビザは定員があり、次年度分はもう一杯なので、承認されても来年10月まで働けないと聞きましたが、今のEビザを生かして、他の日系企業へ就職できるでしょうか。

 

 

A Eビザは、他の就労ビザ同様、企業に帰属するものですので、転職する場合は、事前に承認を得ておく必要があります。

Eビザは、同じく海外赴任の場合にも使われるLと異なり、海外関連企業での勤務経験が必要ではありませんので、系列企業以外でも、現地採用としての転職が可能です。

ただし、Eビザ申請企業の条件として、出資比率からして過半数が日本人または日本の法人が出資していることが必要です。

転職の場合、

① 国内で移民局へ雇用者変更のための請願を提出する (新しいI-94カードが発行される)、

または、② 初回のときのように、海外の領事館や大使館 (以後、大使館とします) へ、雇用者変更によるビザスタンプの再発行を直接申請する ——

の方法があります。

 

 

① の場合、アメリカ国内で手続きを行うことができ、その後帰国する必要もないので、ずっとアメリカから出ない人にとっては便利といえば便利ですが、逆にビザスタンプはそのままになりますので、その後アメリカを出国すると移民局での承認が無効になってしまうので、結局 ② を行わなければならなくなります。

つまり、今後全くアメリカから出国する予定がない、という人向けです。

② の場合は、米国法人が既にEビザの企業登録をしているかによって手順が分かれます。

企業登録、つまり日本の大使館で過去にEビザの申請を行っており、登録が有効であれば、大使館サイトを通じて、インターネットで面接予約を取り、面接日にビザ申請書および必要に応じて関連書類を持参して提出する、という形で手続きを行うことができます。

企業登録が行われていない、または失効しているという場合、まず申請書類および企業登録のための会社資料一式を直接大使館へ送付提出し、審査を待ちます。

審査期間はインターネットには8週間前後と書いてありますが、実際には2〜3週間で済むことが多いものです。

企業登録の審査が終わり、企業、本人とも条件を満たしていると判断されれば、出頭して面接を受けるための指示が大使館からFaxで届きます。

書類が不足していると思われる場合には、追加書類を提出するようにFaxが届きます。

追加書類の提出によりOKであれば、上記のように面接に関する指示があります。

ですから、もし転職先でEビザの企業登録がない場合は、準備を進めてもらい、企業登録審査が行われている間、現在の雇用関係を維持し、面接の指示があったところで一度帰国し、ビザが発給されたらアメリカへ戻り、転職、という流れになります。

 

 

Q 何か注意点はありますか。

 

A 最近、ティファナに工場を持つマキラドーラ企業に関して、Eビザの審査が厳しくなっています。

受益者本人が条件を満たしている場合でも、スポンサーとなる米国法人がアメリカ国内で実際に事業を展開していない (実態がメキシコにある) と解釈されたり、更新申請者について、過去のメキシコ出入国歴から、受益者はアメリカではなく、メキシコで仕事をしているのではないかと見られ、更新を却下されたりする例が報告されています。

アメリカで就労するためのビザであることを立証することが必要です。

 

 
この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2014年9月16日号掲載)

     

 

 

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アメリカで出生した子どもと帰国 (2014.7.16)

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上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

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アメリカで出生した子どもと帰国

       

Q 主人と私は永住権を持っています。

6か月ほど前にサンディエゴで長女を出産しました。

夏の間に一時帰国しようと思っています。

子どもの日本のパスポートは先日取得しています。

アドバイスをお願いします。

 

 

A サンディエゴで生まれた子どもは、米国国内での出生により、自動的に米国市民になることはご存知の通りです。

領事館を通して出生届、国籍留保の届けなどが必要になります。

日本人的感覚から、つい日本の手続きが先になってしまいますが、米国人でもある以上、出入国には米国のパスポートが必要です。

米国のパスポートは、郵便局の他に、カウンティ・オフィスの窓口でも申し込めます。

通常4〜6週間かかりますが、追加料金を払えば2〜3週間で発行してもらえます。

16歳未満の子どもについては、本人に加え、両親ともに出頭、または不在の親の合意書が必要になります。

申込場所、必要書類、申請用紙のダウンロードなどは passports.state.gov の国務省公式サイトをご確認ください。

なお、ネットにはパスポート取得に関する業者のサイトも数多くあるのでご注意ください。

米国のパスポートが発行されたら、米国出国時は米国のパスポートを呈示し、成田/羽田国際空港の入国審査では日本のパスポートを見せてください。

米国へ戻るときも同様で、成田/羽田では日本のパスポート、米国の入国審査では米国のパスポートを見せてください。

これは米国、日本のいずれの法律にも義務付けられていることです。

 

 

Q 日本人の子どもなので、別に米国のパスポートを取ったり、使用したりするのは面倒です。

もし、日本のパスポートだけを所有していたらどうなりますか?

 

A 日本のパスポートのみで米国を出国し、再び戻ることもできますが、入国はあくまで日本人観光客扱いとなりますので、滞在期間が90日に限られてしまいます。

これは結局、米国のパスポートを取った上で、地元の税関国境保護局 (CBP) の窓口で訂正してもらわなければならなくなりますので、始めから米国のパスポートで入ったほうが簡単ですね。

 

 

Q 今後、私たちが日本に永久帰国した場合、どうなるのでしょうか?

 

A 今後、子どもさんが日本に長く住むことになっても、米国籍が自動的に消滅することはありません。

米国のパスポートは、必要があれば東京の米国大使館などで更新していただくことになるでしょう。

ですが、逆に米国籍はそのまま残りますので、その後、社会人として収入を得ることになると、米国の税務当局へタックスリターンを提出する必要が発生します。

税務協定により、二重課税にはなりませんが、少なくとも申告を行う義務があるということです。

もし、幼少時代からずっと日本に住み続け、観光旅行以外に米国へ行くこともなく、むしろ申告義務が煩わしいので、米国籍を返上したいということであれば、国籍放棄という手続きもあります。

ただし、市民権を放棄したからといって永住権に変わるのではなく、ステータスが何もなくなります。

 

 

Q その場合、私の永住権はどうなるのでしょうか?

 

A 子どもが市民権を持っていても、放棄しても、親の永住権には直接影響しないので、日本に長く住むのであれば、米国の永住権が必要であるかの判断を求められます。

必要な場合、どのように維持するかという状況が発生します。

永住者にも世界中での収入を米国へ申告する義務がありますので、永住権を放棄したいということであれば、大使館で永住権放棄の比較的簡単な手続きを踏むことで成立します。

自主的な意図で永住権を放棄した場合は、その後、取得の条件が揃っていれば、再び取ることもできます。

 

 

 
この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2014年7月16日号掲載)

     

 

 

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