Tuesday, 30 April 2024

ドイツ表現主義

 印象主義の対極に立つ芸術潮流 社会秩序を破る反逆と矛盾がテーマ

 

German Expressionism
展示中
San Diego Museum of Art
https://www.sdmart.org/exhibition/german-expressionism/

 

印象主義 (Impressionism) と対極にある表現主義 (Expressionism) は20世紀初頭にドイツで誕生した芸術潮流。

感情表現を原点とし、市民生活の秩序を破壊するような反逆と矛盾をテーマにしている。

第一次世界大戦前のドイツにはミュンヘンの「青騎士」 (Der Blaue Reiter)、ドレスデンの「橋派」(Die Brücke=ブリュッケ) など表現主義画家のサークルが存在した。

戦争の惨状と戦後の頽廃 (たいはい) をグロテスクに表現し、ドイツとオーストリアの前衛芸術を牽引したオットー・ディクス、甘美的に描く性とエロスに死の影を予感させたグスタフ・クリムト、20世紀最大の風刺画家と称されたジョージ・グロス、ドイツ表現主義から独自の画風を確立し、スペイン風邪で命を落としたエゴン・シーレなどの作品48点を紹介する。

20世紀初頭、ドイツやオーストリアの先進的な芸術家たちは、アカデミックな伝統に囚われず、斬新なアイデアを求めてパリに向かった。

「ブリュッケ (橋派)」グループのアーティストは真のドイツ・アバンギャルドの確立を目指し、ドレスデン、ベルリンを拠点に革命的な芸術概念と反社会的な生活様式を求めながら、既成の秩序を否定していく。

彼らは現代生活の圧迫された束縛から逃れることを切望していた。

ロマン派の画家たちと同様、ブリュッケの画家たちも、自然との触れ合いこそが人間の精神を再生させるパワーの源と考えていた。

ロヴィス・コリントの「アレクサンダー・フライヘル・フォン・ライツェンシュタインの肖像」(1913年) のような依頼作品はポスト印象派に根ざしているが、アレクセイ・ヤウレンスキー、ガブリエレ・ミュンターなどの「ブルー・ライター (青騎士)」グループのメンバーは大胆で表現力豊かな色彩を好んで用いた。


ドイツ表現主義作品の収集家、ヴァンス・E・コンドン氏は次のように語っている。

「コレクションを始めた理由をよく聞かれる。初期ブリュッケの画家たちの歴史を辿っていくと、彼らは貧しいながらも自由な精神の持ち主であり、芸術活動を通して自分自身を解放していたことが分かる。彼らは同じサークルの仲間と共同生活を営みながら、空間、素材、アイデア、希望を共有していた。彼らの作風は臆面もなく官能的であり、より自由な感情表現を希求し、儀式や拘束とは無縁の世界へと羽ばたいた。そして彼らは、鮮明な色、緩やかな形、陳腐な日常生活のテーマを掲げつつ、この究極のアプローチを芸術に取り入れることに成功した」


“Snow over the Heath” by Alexej von Jawlensky, Füssen VI, Snow over the Heath, 1905. / Oil on press board. / The Estate of Vance E. Kondon and Liesbeth Giesberger. / © The San Diego Museum of Art.

チケット:
大人$15
シニア(65歳以上)*$10
軍人$10
大学生$8