アスレチックス戦での登板を終え、チームメートと笑顔を見せる牧田和久投手(右から2人目)=3月5日、アリゾナ州ピオリア |
ブルワーズ戦の2番手でメジャー初登板し、好救援した牧田投手 =3月30日、ペトコパーク ©Kyodo |
スプリングキャンプでコーチらが見守る中、フリー打撃に登板した牧田投手 =2月27日、アリゾナ州ピオリア |
MLB相手に継投で無安打無得点試合を達成し、笑顔を見せる(右から)先発の則本投手、2番手の西投手、3番手の牧田投手、最後を締めた西野投手 =2014年11月15日、東京ドーム |
報道陣に投球フォームを披露する、西武 から大リーグのパドレスへ移籍が決まっ た牧田投手=1月10日、埼玉県所沢市の 球団事務所xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx |
静岡県焼津市出身。1984年11月10日生。33歳。177cm/83kg。右投げ/右打ち。
静清工高1年時に下手投げに転向。平成国際大、日本通運を経て2011年ドラフト2位で西武入団。
プロ1年目は55試合に登板、22セーブを記録して新人王受賞。2年目には先発へ転向し13勝。2016年から中継ぎを担当。西武時代の通算成績は7シーズンで276試合に登板し、53勝49敗、25セーブ、防御率2.83。2013、2017年のWBC日本代表。パドレスとは2年契約で 年俸190万ドル+出来高。独身。
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メジャーを目指す
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)への出場からメジャーへの夢が芽生えました。2013年、2017年の大会に選出されましたが、その思いが高まったのは昨年のオランダ戦。アンドレルトン ・ シモンズ (エンゼルス) やザンダー ・ ボガーツ(レッドソックス)などの有力メジャーリーガーを抑えることができ、自信を持ちました。
サブマリン投法
高校、大学、社会人、プロと、アンダースロー投手として野球人生を送ってきました。パワーピッチャーが多いメジャーの中で、極端に遅いボールを投げられるのは強味だと思います。カーブやチェンジアップなど多くの球種を織り交ぜて、高めの直球を投じれば緩急がつくし、打者のタイミングを外すことができます。ロングヒットを打たれないことを一番に心掛けているので、低めを狙いたい気持ちが強いのですが、それだけでは抑えられない。打者の不得意なゾーンと球種を研究して万全にしていけば、自分の特性が生かされると信じています。
魔球と言われるボール
メジャーの打者は地面スレスレから投げ込まれるボールに慣れていないと思います。自分の球はスピードはないけれど、ボールが来るべき角度から来ないので戸惑っているのかもしれません。要するに、ボールが浮き上がってくるように見える錯覚が武器になっているという確信があります。スピードが出ていないのに、いかに速く見せるかという攻め方をしているので、魔球と言われているのかも。対戦機会が増えれば相手もデータを分析してくるので、対策として、常に自分で考えてピッチング内容を変えていく必要があります。今のところ、自分のピッチングを積極的に進めていこうと思いますね。
日本のプロ野球との違い
土の質もあるけれけど、メジャーのマウンドは硬く、日本のは柔らかい。でも、どちらが投げやすいという実感はないですね。日本と比べると、メジャーの練習用施設は規模が大きくて充実しています。国土の広さの違いかな(笑)。パ・リーグの千葉マリンスタジアムでは風速10〜15メートルの強い浜風の中で投げたこともありました。ペトコパークも海に近いボールパークですが、投球が風に影響されることは全くありません。
対戦したいメジャーリーガー
イチローさん。野球を始めた小学校時代からのファンですし、何と言っても球界のレジェンドですから、ぜひ対戦してみたい。
メジャー1年目の目標
西武時代もそうでしたが、具体的な数字や目標は持っていません。チームのために貢献するだけですから。その積み重ねがチャンピオンへの道につながっていくと思うので、一戦一戦に最善を尽くしていきたいですね。
パドレスはどんなチーム
とても若いチームですし雰囲気も良いですね。投手陣やエリック・ホズマー(一塁手)、フレディ・ガルビス(遊撃手)とは仲良くさせてもらっています。アンディ・グリーン監督は日本でプレーされたこともあり(2007年・日本ハム)、言葉の分からない異国で野球をする選手の心境をとても理解してくれているので有難いと思っています。
コミュニケーション
まだ言葉に慣れていないので、チームメートとは満面の笑顔であいさつするように心掛けています。無表情だと印象が悪くなるし、とにかく笑顔で振るまうしかないなぁ…と思いますけど(笑)。
サンディエゴの印象
美しい街ですね。そして、気候が良いのに驚きました。昼夜の寒暖の差を少し感じますが、本当に過ごしやすい街だと思っています。治安が良いと聞いていますし、街の様子をゆっくり見て回る時間ができたら、もっとサンディエゴの魅力を実感できると思います。
ファンへのメッセージ
勝負の世界なので、敗戦を喫したときに選手が感じる悔しさは大きなものです。それは日本のプロ野球もメジャーも同じです。ファンの皆さんも悔しいと思いますが、負けたときほど「次は頑張れ!」と激励の声を掛けていただけると、とても力になります。選手が気持を切り替えて、明日に希望を持つことができる原動力はファンの応援に他なりません。勝てるチームというのは、投打が噛み合うというように、まず盤石な投手力ありきなので、ピッチャーの立場として「しっかり頑張らないと!」と身が引き締まります。投手は敵を無得点に抑える決意でマウンドに立っています。全身全霊で戦った結果が敗戦となったとしても、健闘を讃え、選手たちを信じて、温かい視線と熱い声援を送ってくれるファンこそ、何にも替えがたい存在です。
(2018年4月16日号に掲載)