UFC アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ 米国のズッファ社が主催する総合格闘技大会。1993 年に第1 回大会開催。試合は5分3ラウンド、オクタゴンと呼ばれる直径9 m のケージで囲まれた八角形の舞台で行われる。勝敗の裁定はノックアウト(KO)、テクニカルノックアウト(TKO)、サブミッション、テクニカルサブミッションなど。ラウンドごとにジャッジが選手の一方に10ポイント、他方に9ポイント以下をつけ、各ラウンドの合計ポイントで勝敗を決するラウンドマスト制を採用している。 |
—— 総合格闘家になったきっかけ 高校時代の3年間は柔道をやっていました。 卒業後、プロレスラーになりたいとトレーニングを続けましたが、 新日本プロレスの入門 テストに2度も落ちてしまいました。体を鍛えるため総合格闘技のジム「和術慧舟會東京本部」に入門。練習と試合を重ねていくうちに、総合格闘技の面白さに目覚めました。 —— 総合格闘技の魅力 自分も相手も、お互い背負っているモノがあるんです。それは勝負の厳しさ。トレーニングしたり、減量したり……長く苦しい準備をして、華やかな舞台の上で闘う。でも、勝負はシビアで 白黒はっきりとついてしまう。結構ツライですよ。試合に勝てば、何事にも替えられない喜びを得られますけどね。これって、格闘技をやっているからこそ味わえる感覚なんです。 それから、総合格闘技は他の格闘技とは違って、キック、パンチ、寝技、関節技など何でもあり。つまり、本当の意味での強さがはっきりするわけです。 —— UFC の魅力 米国ズッファ社が主催する総合格闘技のUFC には、世界最高峰の選手たちが集まってきます。UFC のオクタゴンと呼ばれる八角形の舞台には金網が張ってあるのが特徴なんですが、この上に立つと圧迫感を受けます。それに、試合に勝たないと、ここから出られないという恐怖観念も。 —— トレーニングについて 総合格闘技の練習はやることがたくさんあります。走る、フィジカルトレーニングをするのはもちろんですが、ボクシング、キックボクシング、総合格闘技の練習などさまざま。それらを組み合わせた日替わりメニューを自ら作ってこなしています。一般的にアメリカの選手には指導者がいるのが普通なんですけどね。1日だいたい5~6時間はトレーニングをしています。 —— 男飯が食事の基本 減量もしなくてはなりません。なかなか辛いところです。基本は高たんぱく低カロリー。例えば、皮なしの鳥の胸肉を切って焼いて、サラダと豆腐の献立とか。納豆、マグロの赤身、イカなどもよく食べます。ブログに「今日の男飯」って、食事内容を写真付きでアップしているんです。 簡単に作って胃袋に詰め込んでいるだけの料理だから、あんまり美味しそうには見えないんですが。次の試合までには、女飯を作ってくれる人が現れればいいなぁ。 —— 負けた試合から得られるもの 試合で負けることもあります。負け試合には、必ずそれなりの理由があるもの。それをしっかり把握して、次の試合につなげるように前向きに行動することが大切です。「まだまだ強くなれる」と自分自身に言い聞かせて、努力を惜しまない。負けた時こそ強くなるチャンスなんですよ。 —— 思い出のリベンジ戦 2010 年3 月31 日に行なわれたUFC 戦でルシオ・リニャーレスに2ラウンドでTKO勝ちしました。彼とは以前にも闘ったことがあって、その時は敗北を喫してしまいましたから、リベンジができて本当に嬉しかったですね。リニャーレスに勝つと心に決めて、努力を重ねて練習してきた甲斐があったというものです。 —— 格闘家の宇野薫さんとの出会い 和術慧舟會のジムで一緒に練習していた宇野薫さんは、練習も何事に対しても一所懸命取り組む人。そんな彼を大変尊敬しています。彼のUFC 戦のセコンドについたこともあって、間近で彼の試合を見ていろいろと学びました。 宿泊先のホテルに盛り塩をすることも、彼から教えてもらったことなんです。僕も UFC の初戦から実践しています。他の格闘家とのコミュニケーション英語力は中学レベルです。ボディランゲージと万国共通の笑顔で乗りきっています。選手同士は格闘技という共通の話題があるから、コミュニケーション上の問題はそれほどありませんね。 —— 今回の試合と将来の目標 対戦相手マーク・ムニョスはパワーとスタミナがあって、アグレッシブさが売りの好選手で す。自分のペースで闘うこと、彼のペースに持ち込まれないように試合を運んでいけば良い結果に結びつくだろうと思って臨みました。試合はお互いパンチを繰り出すも、なかなか会心の一撃が決まらないシーソーゲームのまま3ラウンドが終了。2対1の判定で勝ちました。 最終ラウンドで、時間稼ぎのムニョスに対して、 前に前に出ていく姿勢を貫いたことが勝利につながったようです。この結果がUFC のタイトル戦につながればと期待しています。夢はもちろんUFC のチャンピオン。日本人ではまだ誰も達成していないので、僕がその第一人者になりたい。帰国前にアメリカンピザが食べたいな。空港にあるピザハットが好きで、アメリカでファイトするときの楽しみの一つなんです。今回は試合に勝ったので、最高の気分でピザが食べられます。皆さん、これからも応援よろしくお願いします! 岡見勇信 Yushin Okami ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2010年8月16日号に掲載) |