総領事館経由で分厚い国際書留郵便が届いた。米国で三度の lawsuit を経験している私は、書留郵便 = 訴訟通知というイメージがあるので、嫌な予感がした。福島地裁からの民事訴訟関連書類。日本で裁判沙汰? それは土地問題に絡む “事件” だった (相続処理が済んでいるのに、何故?)。想定外の内容。話は昭和6年 (1931年) まで遡る。小地主だった曾祖父 (写真しか知らない) が▲さん宅の差押仮処分を申請したが、所有権移転の問題が浮上し、執行されずに約90年間、宙ぶらりんの状態が続いていたらしい。その家に住む4代目の▲さんが仮差押登記の抹消を申し立てた (実質的な債権・債務関係など現存しないのに、4世代目の▲さんは几帳面)。それには曽祖父の法定相続人 (私を含む生存する債権者) 全員の合意が必要。保全取消に異議があれば答弁書を提出し、裁判所出頭の義務が生じる。抹消に合意した私はコロナ禍中に帰国せずに済んだ。やれやれ。亡霊のように出現した曽祖父の生き様の断片。法定相続人18人の名前・住所一覧も含まれていた。幼い頃に遊んだ従弟妹たちは全員が存命。女は結婚していたり、離婚後に旧姓に戻ったり、外国で暮らしていたりと、人生の変化が滲み出ている。親族に思いを馳せる書留郵便だった。(SS)