September 13, 2025

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苦手

 

幼少の頃、郵便ポスト、灯台のサーチライト、夜空に炸裂する花火に、とてつもない恐怖を感じておりました。隠さずに申しますと、赤い色とフラッシュライトが苦手だったのです。身の回りに赤色系は置かず、救急車やポリスカーのギラギラから目を背け、打上げ花火も観賞用として楽しめない (音にも拒絶反応)・・そんな子供でした。河畔で花火大会が始まると大泣きし、祖母が私を連れて近場の温泉に “避難” するという手の掛かる男児。霊能者を自称する人が言うには、私の無意識下に前世の記憶が潜んでいて、光は「刀」の照り返しで、赤を忌避するのは「血」に関連した過去生が原因だとか。家系図によると先祖は武士。戦場 (いくさば) で斬殺された? 辻斬りに遭った? 主君に切腹を命じられて不本意な死を遂げた? 霊能者は勝手な想像を膨らませるだけ。カルマ説の真偽は別としても、楽しい話ではありません。ソクラテスだったかな。人間とは冥界で自らが繰り返し選んだ命の形であり「必然のイス」に座らされてから「忘却の原」を横切り、喉が渇いて「忘れ河」の水を飲んだ後に生まれ変わるとか。過去生の記憶は完全に抹殺されていながら、何かの拍子に蘇生するらしいのです。メタフィジカルな話でゴメンなさい。還暦を過ぎた今もなお、独立記念日の花火ショーが苦手な私です。(SS)
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▽ヤード、パウンド、フィート、ファーレンハイト・・、ややこしいアメリカの単位が苦手だ。いつもメートルやグラムに換算しながら、ため息をついている。世界標準のメートル法を採用していないのは、世界でたった3か国。リベリア、ミャンマー、そしてアメリカで、リベリアとミャンマーはメートル法への移行が進んでいるとのこと。アメリカでも最近は、科学や軍事の世界で、メートル法を採用。社会システムのいろいろな単位を変えるには、手間がかかるので、惰性でそのまま使っているらしい。▽人の名前や顔を覚えるのが苦手だ。相手が敵か見方かを判別できるように、人間は進化の過程で、顔を瞬時に見分ける能力を取得したらしい。旦那は、ドラマや映画に出てくる脇役の顔はもちろん、役名まで覚えてしまうのに、自分は、主人公の名前も覚えられない。脳障害のため、人の顔を覚えられない失顔症(しつがんしょう)という病気もあるそうで、俳優のブラピも、自身がこの病だと告白している。ブラピと同じかぁ!? ▽B型人間が苦手だ。血液型占いはあまり信じていないが、周りを見渡すと、不思議と “困ったヒト” がB型に多い。ヒトの話を聞かない、反省しない、自己中でマイペース、遅刻しても悪びれず、意見がコロコロ変わる・・。見事なほどに、良いことがほとんどない。かくいうこの私も、B型人間なのだ。(NS)
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子供の頃、大の苦手だった稲荷寿司。甘めの油揚げに酢飯という組み合せが美味しいとは思えず、 避けて通りたい食べ物の一つだった。普段は取り立てて問題にならなかったが、年に一度、食べることを積極的に勧められる日があって困った。それは、ピアノの先生のお宅で開催されるホームコンサートの日。生徒が集合して、演奏会をし、お昼を食べてから、近くの河原に遊びに行く楽しいイベント。私は大好きだったのだが、ランチがいつも太巻きと稲荷寿司のセットなのだ。他の子供たちは大喜びでペロッと食べてしまう。私は太巻きに入っているカンピョウやさくらでんぶも、実はあまり好きではなく、この時間が苦痛だった (笑)。先生が「全部食べたらお菓子をあげるからね」と優しく声をかける。「稲荷寿司、嫌いです」とはとても言えず、一生懸命、口に押し込んだ。今となっては懐かしい思い出。そういえば、あの頃はパイナップルの入った酢豚も嫌いだった。給食で味噌ピーナッツなるものを初めて食べた時は吐き出しそうになった。ご飯として食べるものが甘いというのがダメだった。今は稲荷寿司、大好き。酢豚、カンピョウ、さくらでんぶ、味噌ピーも美味しいと思う。あの頃の苦手は苦手でなくなり、新たに苦手なものが出てきたり。人間って不思議。(RN)
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suzuko-san
好きー嫌い。上手ー下手。得意ー苦手。どれも似たような言葉の反意語だが、各対比の語句のニュアンスは微妙に異なる。「好きこそものの上手なれ」という諺がある。それはかなりの部分で言えていると思うが、全てに当てはまるとは限らない。例えば、私はピアノ音楽が大好きで、ピアノの音色も大好き。ピアノが弾けるようになれたら、どんなに素晴らしいことかと、人生の大半でピアノを持ち続けているが、今日に至るまで真面目に練習した試しがない。一つのものに立ち向かう「こらえ性」がないのだ。本気で練習をしないから、上達するわけがない。それでも時間が有り余る時は、いつも側にあるピアノに向かいながら、せいぜいが10分程度。覚えている曲だけを弾いて、おしまい。これじゃ、上手になるわけがない。好きだけれど、下手くその類である。それはさておき、今回のテーマの「苦手」。苦手な教科、苦手な食べ物、苦手な人、苦手な操作。そうさ! 私はモノが壊れたりすると、自分で直せそうなものは、必死で修理しようと頑張る。なかなか諦めない。ところが、新しい機器が我が家に届くと、その説明書を一から読んで・・というのが大の苦手だ。コンピュータ、スマホ、アイパッド。とりあえずは使えるが、決して使いこなせてはいない。「好きだけれど苦手」のクチである。(Belle)
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jinnno-san
50代後半の方が、EメールでどのようにCC (Carbon Copy) するかを知らなかったようなので、教えずにはいられれなかった 笑。決して、その人はパソコン初心者ではなく、何年も社会で使ってきたハズなので、正直、ギョウテンだった 笑。60歳くらいのおじさんが「自分はエンジニアだけど、 携帯のテキストメッセージをグループに出す方法が分からない」と言うので、「はーい、まずは、いつものようにメッセージを出して、それから、コンタクトから誰に送るかを選んで、またコンタクトから人を選べば、1人以上の人に同じメッセージが送れるよ」 と “指導” した 笑。コンピュータ類が苦手な人はいると思うけど、まさかのまさか?って思うところで、ある人はけつまずいてるんだ、と理解。というわたしは、iPhoneを持っているんだけど、つい最近まで、“強制シャットダウン” が通常のシャットダウンだと思い込んでいて、みんなそうやって電源を切っていると信じていた。別に支障はないと思うんだけど。ご存知かどうか分からないけど、強制シャットダウンの画面には “SOS” というオプションがある。ある日、何だろうと思って押しちゃった 笑。すぐSDPD (サンディエゴ市警察) から、折り返し電話がきたわよ 笑。そして未だに、通常のシャットダウンの仕方が分からない・・笑。 (りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
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近所付き合いと、ママ友との交流が苦手だ。人と接するのが嫌いというわけでもなく、ただ苦手なのだ。毎日、子供の学校への送り迎えで、ご近所のお母さんやお父さんを見かけるが、これといって話すこともないので、挨拶だけしてサッと帰ってくるだけ。一方で、私と同時期に近所に引っ越してきた日本人の知り合いは、もう何年もこの街に住んでいるかのような雰囲気があり、学校に来るママさん全員の連絡先を知っているのでは、と思えるほど順応している。彼女自身も人と話すのが得意だと言っている。それでも「スゴイなぁ」と尊敬してしまう。アメリカに長く住んでいる人を見ていて思うことは、皆がそういうわけではないだろうが、気が強く、コミュニケーション能力の高い人が多いように思える。気が強い人というのは、どんな場面でも「イエス」と「ノー」をはっきり言える人。フェアでなかったり、自分や誰かが理不尽な扱いを受けた時などに、声を出して自己主張できる人。そして面倒見が良く、マメな行動が取れる人。ここまで書き出して思ったことは、これらの要素は私にはない。自分が損する立場に置かれている場面でも、まぁいいか・・で済まそうとしてしまう。はっきり「ノー」と言えない。こんな私が、なぜアメリカにいるのだろう・・。(SU)

(2022年7月16日号に掲載)