▽長年使用していた冷蔵庫が故障した。代替品と無償交換してくれる保証書があり、出費せずに新品を得られて喜んでいたが、その「お得感」は時代遅れかも —。IoT (インターネット・オブ・シングズ) の世を迎え、家電製品に搭載したセンサーと通信機能をネットにつなぐことで、日常生活の省力化と利便性が急速に高まっている。将来的には、初めから各家庭に冷蔵庫が無料で配られるという (!)。ミルクやバターが不足すると、センサーが働いて流通業界に情報が送られ、必要品が自動的に届けられる。家電メーカーはマージンを稼ぐ業態へ移行すると予想され、買い物の概念が “製品を買う” から “サービスを買う” へ大きくシフトするらしい。▽人生最後の大きな買い物と言えば、お墓? 家墓があり、墓守 (はかもり) を次世代に継いでいけるなら問題ないが、私のように子供がいないと、先祖の「永代供養」あるいは「墓じまい」の決断を迫られる。それでなくとも、月々の墓地管理費や檀家が負担する菩提寺の修繕費用が遺族の自由度を圧迫する。日本では少子化の現実から、墓じまいビジネスが活況を呈してきた。「葬送」と「処分」の境界線を明確にし、先祖の威厳が失われない賢明な選択をしたい。ここでも買い物の概念が “墓石を買う” から “墓じまいのサービスを買う” へ大転換している。(SS)